集英社より、インタビュー集「2.5.次元のトップランナーたち」が刊行されている。これを記念し、2019年3月17日(日)に東京都内でトークイベントが開催された。登壇者は、演劇プロデューサー・松田誠(株式会社ネルケプランニング 代表取締役会長、一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会代表理事)、演出家の茅野イサム、作曲・編曲家の和田俊輔、俳優・佐藤流司の4人。2.5次元ミュージカルには欠かせない“トップランナー”4人の熱のこもったトークをアーカイブレポートする。
※進行役は、「2.5.次元のトップランナーたち」著者の門倉紫麻さん
※一部、読みやすいように編集を加えています
※「2.5.次元のトップランナーたち」の内容を踏まえた構成となっています
2.5次元は応援してくださる皆さんが可能性を生んでくれる
――この4人が揃うというのは、すごくレアですね。
松田:和田さんと茅野さんは、今日初めて会ったと言っていました。
和田:そうです、初めましてでした。
松田:流司は全員と仕事してるでしょ?
佐藤:そうですね、皆さんとお仕事させていただいていますが、揃ってということはないですね。
――貴重な機会をありがとうございます。まず、本が出たあとに何か反響があったか伺えますか?
佐藤:共演者が読んでくれていたりしましたね。
茅野:僕は周りのスタッフが読んで、喜んでくれていました。
和田:僕も「おもしろかった」という感想をよく見ました。
松田:自分が書いたものが何かしら印刷物になることはあるんですが、帯になることはなかなかないので(笑)。流司と二人、写真が帯になっていることが感慨深いですし、嬉しいです。
――イベントに来てくださっている方は、もともと2.5次元ミュージカルをご存知の方が多いと思いますが、まずは2.5次元とは?というところからお話ししていただけますか。
松田:2.5次元というのは、基本的には漫画やアニメやゲームなど2次元のものを、舞台化する=生身の俳優さんが演じることを言います。2.5次元というのはファンの方が作った呼称で、自然発生した言葉ですね。
――携わっている皆さんとしては、2.5次元のどんなところがおもしろいと感じていますか?
松田:2.5次元には可能性がいっぱいあるなと思っています。いろんな人と出会えるし。見たことない絵を作ったり見たことない衣裳を着たり、というのは楽しい。茅野さんも和田さんも僕も小劇場出身なので、お金がない中、衣裳も自前、セットも自分で作っていたんですよ。だから、2.5次元ではいろんなことをできるのが演劇人としてとても楽しい。今、こうやって皆さんが応援してくれていることが、いろんな可能性を生んでいるなあと思います。
和田:僕は、2.5次元は作品の本質をとらえて、そこから何を捨てて何をやるかということが、ストレートだなと思っています。松田さんが本の中でおっしゃっていたことなんですが、省略の芸術。劇団に所属していた頃より、2.5次元は思考回路が整頓されるというか。
茅野:2.5は資金も潤沢なので、今まで自分がやっていた演劇ではできないことに挑戦できるという意味で、作り手としてすごく楽しいです。
――本の中で、茅野さんが「役者とキャラクターがスパークする瞬間を見たい」とおっしゃっていたことがすごく印象的でした。
茅野:演劇をずっとやってきた中で、キャラクターというのは台本の中から立ち上げていくしかないものだったんですが、2.5次元では、原作の絵や、声優さんが命を吹き込んでくださっていたりして先に形がある。だから、ただの活字から立ち上げるより、もう少し(先にある形に)寄せようという気持ちが湧いてくる。もちろん、お客さんにもそういうことを期待されている部分もあると思うんですが、生身の人間がやる以上、キャラクターと役者の肉体が、いい意味でぶつかり合って欲しいと思うんですよ。
――佐藤さんはキャラクターの奴隷になってはいけない、とおっしゃっていましたね。
佐藤:2.5次元は登竜門であり、断頭台にもなる。いつも「ハイリスク・ハイリターン」って言ってるんですけど。非常にたくさんの人の目に触れる機会があるから、俺を含めギラギラしてる人が多い。役者、スタッフさんはもちろん、お客さんも。
松田:お客さんの熱量も大きいよね。
茅野:僕が役者としてお芝居をやっていた頃は、ちょうど小劇場ブームだったんです。その頃の雰囲気と今の2.5次元、似てるな~と思いません?小劇場にお客さんが注目してくれるようになって、役者たちも「俺たちで新しい流れを作るんだ!文化を作るんだ!」ってギラギラしていた時代を過ごしてきたので、流司が言っている“ギラギラ”がすごくよく分かる。
松田:新しいものを見たいって欲求って、絶対にあるじゃないですか。小劇場ブームの時、みんなが「新しいものはここにある」と思っていたように、今は2.5次元がその立場になっている。我々もどうなるか分からない中で、新しいものを毎回作っていますが、お客さんからも「それを見たい」と思ってくださっている“圧”みたいなものを感じます。流司、圧はどうするんだっけ?
佐藤:圧はスルーっすね。俺、この言葉がすごく好きなんですよ。スルーというのは、気にすると追い込まれちゃうから、そうならないようにっていう意味合いなんですけど。
松田:全部受け止めるのは大変だよね。特に、役者は800人とか1,000人のお客さんのエネルギーを全部受け止めるんだから。流司は一人で舞台に立ったりすること(ミュージカル『刀剣乱舞』 加州清光 単騎出陣)もあるわけだし。
佐藤:そうですね。800人とか1,000人くらいが距離は近いのに人はたくさんいて、一番プレッシャーのかかる人数だったりします。逆に武道館くらいになると大丈夫なんですが。
松田:このトークイベントくらいの人数(約300人)はどうなの?
佐藤:がっつり緊張できる人数ですね(笑)。
――ここにきて、松田さんの『情熱大陸』出演や刀剣男士の『紅白歌合戦』出演で2.5次元の知名度が上がっているなという印象があります。佐藤さんは、紅白の思い出はありますか?
佐藤:リハ中の立ち位置の確認から、僕らは刀剣男士の姿でいたので、本当に「この時代に来た人たち」って感じでした(笑)。
茅野:すごく注目されていました。歩くと「あれが刀剣男士か・・・!」って。
佐藤:それから、洸がNHKの食堂のお姉さま方にめちゃくちゃ話しかけられてました。洸は年上の方にめっちゃ好かれるんですよね。なので、しっかり置いて帰りました(笑)。
松田:(笑)。紅白は独特な緊張感があったよね。俺は思っていたけど、普通は、お芝居で紅白に出るなんて思ってもみないじゃないですか!すごいことだよ、本当に。みんな頼もしかったです。
和田:僕も紅白見ました。すごいな~って。たくさん出ている場面があったのに、みんなキレイだから、流司くんがどれか分からなかったんです(笑)。
佐藤:(笑)。
チラシはお客さんの判断基準であり、クリエイションの指針
――ここで、ミュージカル『刀剣乱舞』の舞台写真を見てみましょう。
佐藤:(写真を見て)これはトライアル公演ですね。
――どの公演か、写真ですぐ分かるんですね。
松田:ウィッグとかで分かるんだよね。流司にとってこのメンバーは、もうすごい仲間でしょ?
佐藤:仲間ですね。役者の知り合いでも、一番一緒にいる6人じゃないかな。
松田:喧嘩したりするの?
佐藤:えっ?!しないですよ。
茅野:しないの?ちょっと大きい人と。
佐藤:ありましたね・・・(笑)。パリ(ミュージカル『刀剣乱舞』~阿津賀志山異聞2018 巴里~/2018年7月)で、キュートな前歯の大きい人(佐伯大地さん)と。
茅野:大した喧嘩じゃなかったけどね(笑)。
佐藤:刀剣乱舞(ミュージカル『刀剣乱舞』)に対して、お互い熱くなってしまって。次の日、モナリザの鉛筆をお詫びに買いました。
――ミュージカル『刀剣乱舞』は、海外でも人気が高まっていますよね。佐藤さんは、お一人でアジアツアーをされます。
佐藤:こわ~い!マジ、来てください。マカオ、上海、タイに行きます。
松田:タイで公演をするのは、多分2.5次元作品史上初めてじゃないかな。以前、インドのイベントに、刀剣男士が出陣したんですけどね。この魅力は世界に通じるんだなと思いました。ニューヨークでもやりたいよね。
佐藤:やりたいですね。
――本の中で、松田さんはチラシに思いを込めておられるとおっしゃっていました。
松田:だって、皆さんチラシ見ますよね?ビジュアルで本気度を見るでしょ。このカンパニーはゆるいなとか、本気でやってるなとか、判断基準になってるんですよ。チラシって稽古が始まるより早いタイミングで作るので、意外にクリエイション、演出面に影響するんです。
茅野:チラシを見て、舞台美術や装置を合わせることもありますね。
松田:例えばハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」のチラシだと、チーム戦が勝負なので“チーム推し”なんですよ。個よりは集団を推す。『犬夜叉』の場合は、犬夜叉を主役に。チラシが作品を表していますね。『犬夜叉』は僕の大好きなチラシ。茅野さんが演出でね。このチラシどうでしたか?
茅野:すごく良かったですよ。これを見て「こういうふうにしなきゃ」と思いましたね。
2.5次元の音楽は受け皿が広い
――まもなく、演劇「ハイキュー!!」の新シリーズも始まりますね。和田さんは、戸美学園の曲が作っていてすごく楽しいとおっしゃっていたかと思うんですが。
和田:すごく楽しいです。誰も作らないような曲を作れるのが楽しい。これも2.5次元ならではの魅力だったりするんですが、あまりNGがないんです。いろんな仕事をやっている中で、2.5次元は制作陣もお客さん側もすごく受け皿が広い。作品に対する曲のハマり具合の受け皿も広いので、どんな可能性も試すことができるんです。
松田:演劇「ハイキュー!!」にとって、音楽は特別な位置にありますよね。意味合いの強さが、普通のお芝居の音楽とは違う。
茅野:音楽が芝居を構築しているんですよ。だから、僕は見た時に「うぉお!」って衝撃を受けたんですけど。音楽があって、映像があって、バレーボール部員たちの普通のお芝居じゃ見られない動きが全部ハマっていて。「これは俺には作れない、新しい演劇だ」って思いました。
佐藤:須賀(須賀健太)くんとか達成(木村達成)くんとか、知り合いが出ていたので、演劇「ハイキュー!!」は何作か見ました。めちゃくちゃおもしろいです。原作は読んだことがないんですけど、それでも楽しめるし。みんな身体能力がすごい。
松田:演劇「ハイキュー!!」は、八百屋舞台(傾斜のある舞台)だから、役者さんたちはすごくしんどいと思います。でも稽古場でも、みんな仲が良いし、ノリも良くて。和田さんは、前作(ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所〞)で一緒にツアーも回ったんでしょ?
和田:そうです。
松田:生で曲を弾いていたんだよね。
茅野:贅沢ですよね~。一番の贅沢!
和田:やっちゃいましたね~。
松田:しかもその時のノリで、曲を変えたりしたんでしょ?
和田:変えました。43回、全部違う曲にするって言い張っちゃって(笑)。突然曲を変えるので、役者も演出も大変だったと思います。多分、全公演印象は違うものになったと思います。
――本の中でも語っていただきましたが、演劇「ハイキュー!!」では、最初から最後までの演出プランを和田さんが最初に出されるというお話が衝撃でした。茅野さんは、そういうやり方をしたことはありますか?
茅野:ないですね。演劇「ハイキュー!!」は、振付の方が先行して作っているのかなと思っていたんですが、その前に音楽があるから、ああなってるんだなって、本を読んでよく分かりました。
佐藤流司、演じた役との親和性
――ライブ・スペクタクル「NARUTOナルト-」も、和田さんが作曲されていますが、佐藤さんはいかがでしたか?
佐藤:結構王道な、気持ちが盛り上がっていく曲もあれば、トリッキーな曲もあって。意外とメインテーマが難しかったりしました。
和田:一言も言わなかったですけど、めちゃくちゃ流司くん良かったんですよ。
松田:何で一言も言わなかったんですか?
和田:すっごい怖かったんで・・・(笑)。
――佐藤さんは、いつだってサスケ役をやりたいとおっしゃっていましたね。
佐藤:サスケ、大好きです。常に放出できるというか・・・個人的には怒りのお芝居が一番楽しいですね。
松田:サスケの演技は絶対気持ちいいよね。男性だったらやりたくなりますよ。
和田:僕は全然思わないですね・・・(笑)。
松田:(笑)。
茅野:僕は世代的に全然「NARUTOナルト-」を読んだことがなく、舞台で初めて「NARUTOナルト-」に触れたんです。その時も、流司はサスケみたいな難しそうな顔をしていて。ちょっと近寄りがたい、怖い感じだなあと思いました。だから佐藤流司は、加州清光に合っているのかな?と思っていましたね。
松田:流司は冷静な俳優さんだと思うんですけど、サスケをやってる時は普段もサスケになってたよね。
佐藤:ずっとピリピリしてました。
和田:それがめちゃめちゃ怖くてブルブルしてました(笑)。
佐藤:やめてください(笑)。
和田:嫌々歌ってないかなあって・・・。でも、本当に流司くん歌ってくれてありがとう、と思いました。特に最後のお兄ちゃん(イタチ)とのデュエット。
佐藤:あれはすごかったです。
松田:イタチ役の良知(良知真次)くんが、ものすごいミュージカルの人だからね。本当に兄弟みたいだった。
――続いて、佐藤さんが出ていた頃のミュージカル『テニスの王子様』のチラシです。中面には佐藤さんの写真が載っているんですが、松田さんがそれを見て「大人の顔になった」とおっしゃっていました。
佐藤:確かに、この頃はまだ顔が幼かったですよね。
松田:子どもみたいな顔だったもん。2013年か・・・懐かしい。結構いろんなところに行ったね。
佐藤:行きましたね~、60公演超え。
松田:財前 光って、あまり台詞がない役だけど、一番台詞が少なかった公演はどれくらいだったの?
佐藤:3時間半の全国決勝公演で、台詞6個です。
松田:6個?!それも逆にすごい。キャラとして、あまり応援に参加することもないもんね。
佐藤:でも、財前 光との出会いは良いものでした。
――ミュージカル『刀剣乱舞』のビジュアルは、いつもバッと揃っていて完成度が高いですよね。
松田:根本的に、チラシはかっこよくないとダメだと思っているんです。ミュージカル『刀剣乱舞』は特に、雰囲気とかではなく、全員が本当にかっこいいことが重要だと思っているので、毎回そういうつもりで作っています。
茅野:ビジュアルは、稽古に入るかなり前に撮るので大変ですね。役者はもちろん、刀の構え方を見るために殺陣師がついてくださっていますし、稽古する前からスタッフの皆さんが先行して作りこんでくださってるんですよね。
佐藤:俺の記憶だと、刀剣乱舞のビジュアル撮影の時の殺陣師はイルカ先生だった気がします。イッチーさん(市瀬秀和)。
松田:ビジュアル撮影の時点で、決めポーズを作らなきゃいけないんですよね。例えば、蜻蛉切役のspiくんは、槍のような長いものを持った経験がなかった。どの辺りを持つかも分からない段階でビジュアルを撮らなければいけなかったので、大変だったと思います。それから、最近の若い子はチャンバラをやっていないんですよね。俺とか茅野さんの世代は、昼休みに棒とかでチャンバラごっこをやってたんですよ。
佐藤:棒でしばき合うってことですか?
松田:棒でしばき合うことに喜びを感じていたんだよ(笑)。俺たちの頃には時代劇もたくさんあったから。
茅野:『仮面の忍者 赤影』とか、子ども向けの時代劇もありましたね。
松田:そう。だから、自然と棒を刀のように振って遊んでいたの。今の若い子たちは、そういう経験をしてないから、刀を振る経験がなかったでしょ?
佐藤:なかったです。剣道の授業は少しだけありましたけど、二刀流が一番強いんだろうと思って、二刀流をしていました(笑)。
才能のある人に2.5次元の世界へ来てほしい
――続いて、お互いの本に書かれていた部分を読んで、どう思ったのかということをお伺いしたいです。松田さんはどういう部分が印象に残りましたか?
松田:茅野さんのところは、厳しくも愛がある演出家さんなんで、分かるなあと思いながら読んでました。茅野さんとはずっと一緒にやっているから分かるんですが、茅野さんらしいことがいっぱい書いてあって。和田さんの話には、急に俺に呼び出されて、2.5次元を熱く語られたというエピソードがありましたよね。「和田くん、こんなことがあるんだよ」って書いてあったんだけど、俺、1回も“和田さん”のこと“和田くん”って呼んだことないよ。どれだけ俺のことが怖かったんだろう(笑)。
和田:だって怖いでしょ!
松田:和田さんは全体的に怖がりすぎ(笑)。
和田:だって、突然呼び出されるんですよ。東京のど真ん中に(笑)!圧はありましたけど、とっても楽しい1時間でした。ちょうど1時間だったことをすごく覚えてるんですけど。「1時間も話したぞ、この人・・・」って(笑)。
松田:でもその後、結果的に2.5次元をやることになりましたもんね。
和田:それまで松田さんと仕事をしたことがなかったので、何でこんな急に呼び出してきたんだろう?と思っていたんですが、2.5次元ミュージカル協会のパンフレットを出しながら、ひたすら熱く、「おもしろいんだ、和田さん!」っていう話を1時間するんです(笑)。「一休さんがすごい」だとか、「日本にはこんなコンテンツがたくさん眠ってるんだ」とか。で、「また今度一緒に漫画読もう!」で終わったんですよ。
松田:仕事を決めたわけじゃなくね(笑)。
和田:もう、すっごいことをされたなって思いました(笑)。
松田:和田さんはすごい才能のある方だから、ぜひ2.5次元の世界に来てほしいなって思ったんですよね。
和田:茅野さんも同じように引き込まれたんですよね。
茅野:そうですね。突然電話がかかってきて「紀伊國屋ホールをこの時期にとってあるんですが、好きなこと何やってもいいので演出やりませんか?」って。「何やったらいいですか?」と聞いても、「何やってもいいです」と言うから、じゃあ、やろうと。その時は2.5次元作品ではなく、普段僕がやっているようなすごく渋い芝居だったんですけど、とても楽しくやらせていただきました。そうしたら、打ち上げで松田さんに「もう離しませんからね」って言われて(笑)。すごい口説き文句ですよね。
松田:流司もそうだけど、才能がある人に、2.5次元に携わってほしいと思っているので。
――佐藤さんは松田さんのことを「日曜のお父ちゃんみたい」と言っておられましたが。
佐藤:その通りです。
松田:和田さんに対しては?
佐藤:和田さんはこれまで挨拶をさせてもらうくらいだったんですが、須賀(健太)ちゃんと仲良さそうだなって思ってます。
松田:茅野さんは?
佐藤:茅野さんも、日曜のお父さんって感じ(笑)。俺、結構親が好きなんですよね。だから、尊敬する人を親みたいだなって思うことがよくあるんですよ。
男として見てるから、ライバル
――本の中では「鬼」とか「ライオン」とかおっしゃっていましたが、茅野さんはご覧になってどう思われましたか?
茅野:遠慮なく言うところが流司らしいなと(笑)。
佐藤:褒め言葉ですよ。百獣の王ですからね。
松田:鬼は?
佐藤:鬼はまあ・・・そうっすね(笑)。
一同:(笑)!
茅野:本人も本の中で言っていたんですが、流司は昭和っぽい。僕らの世代の男っぽいんですよ。だから付き合いやすいですね。これだけ歳が違っても、飲み屋で一番話しやすいと思っていて、2人で飲んだりもしています。
佐藤:初めてご飯に連れていってもらった時は「大丈夫かな?緊張してあまり喋れなかったらどうしよう」と思っていたんですが、結局、終電を超えてましたね(笑)。
――飲みの席ではどんな話をされるんですか?
佐藤:今までのミュージカル『刀剣乱舞』のことを振り返ったり、思い出話をしつつ、今後のこともしゃべる、みたいな感じです。
松田:流司は茅野さんのことをお父さんと思っているけど、茅野さんは別に流司を息子のようだとは思っていないでしょ?
茅野:全然。
松田:俺も、流司のことは全然息子のようだとは思ってない。男として見てるから、ライバルです。
茅野:本当ですよ、流司に負けたくないって思っています。
松田:和田さんは誰かに負けたくない!とか、思わないでしょ?
和田:めちゃくちゃ思いますよ!僕、毎日嫉妬と敗北感に塗れて生きています。
松田:他の音楽家さんにってこと?
和田:そうですね。
松田:役者に対して、こいつに負けたくない!みたいな気持ちを持つことはありますか?
和田:流司くんに対しては、めちゃくちゃ思いますね。流司くんは、魅力がすごい。僕も魅力のある人間になりたいなと思うので、流司くんに負けたくないなと・・・。魅力って、作った物に出てくると思うんです。流司くんを見ていると、この若さでこんなに魅力を携えて、どこまで行くんだ?と思えて、悔しくてしょうがないですね。
松田:おっさん3人とも、そう思ってたわ(笑)。
佐藤:ありがたいですね・・・。
松田:流司っておもしろくて、すごく大人っぽい部分と、子どものような部分がある。それがまた、絶妙なバランスなんですよね。
――本の中でも名言が出ていましたね。佐藤さんは猫のふりをしてるけど犬だと。
松田:流司は、自分では「猫だ」と言っているけれど、俺は「犬」だと思うんだよ。猫に見える犬。
茅野:「真剣乱舞祭」とかだと、キャストが20人近くいて、みんな僕が行くと挨拶してくれるんですけど、その中でも流司が一番「おはようございます!」って犬みたい。だから、ついかわいいなって思っちゃうんだよね。流司、最近俺と芝居やってないからまたやりたいな。
佐藤:ぜひお願いします。やりたいです。
4人で芝居を作るとしたら?
――この4人で舞台を作るとしたらどんな舞台を作りますか?
松田:流司が演出して、和田さんが主演みたいなの、斬新じゃない?和田さんの芝居見たい。やったことはないんですか?
和田:あります。それ、積極的に黒歴史にしたいのに!
松田:やっぱりそうなんだ。茅野さんもがっつり役者やってたんですもんね。流司は、茅野さんが役者をやってる映像は見たことないでしょ?
佐藤:見たことないです。若い頃の茅野さんの写真は見せてもらったことがあるんですけど、めっちゃ美青年でした。超美青年。華奢だし、かっこよかったです。
松田:役者の頃の映像を流司たちに見られるの嫌じゃない?
茅野:絶対嫌ですね。偉そうなことを言えなくなる(笑)。
佐藤:じゃあ、4人で四畳半の部屋に住んでるってお芝居しましょう。四畳半なので、通る時も身体を縮こめて、狭い感じの演技をして。
――茅野さんは、その四畳半芝居を演出するとして、どうしますか?
茅野:昔のお芝居って、四畳半みたいなお芝居多かったんですよ。うちがやってたのは、金魚すくいのポイを延々ひたすら作ってるお芝居。
松田:流司は華やかだから、地味な役とかやってもおもしろいかもね。やっぱり、華やかな人は華やかな役をやることがが多いから。さえない役をやってほしいな。
佐藤:ぶつかられて「ああっ、すみません!」みたいな。
茅野:カツアゲされる側とか。
松田:めっちゃおもしろい!ジャンプしろよ、とかカツアゲされる(笑)。
佐藤:で、家に帰ったらポイを作る。それで食っていく。ポイで得た金を、ジャンプして取られる。悲しい。相当悲しい(笑)。
――そういう舞台だったらどういう曲ができますか?
和田:そうですね・・・。泣ける曲をあてるとおもしろくないですよね。浮かんではいるんですけど、言葉では出てこない・・・。
松田:和田さんはそもそも楽譜を書くんですか?
和田:僕はコンピューターに打ち込んでいきます。
松田:思いついたフレーズを弾くんですか?
和田:そうです。感覚もありますし、ロジックもあります。
――本書の取材の時も、その場でどんどん音を重ねて作っておられて。こんなにどんどんやっていかれるんだって思いました。
和田:感情や風景を音に変換するスイッチがもうできているので、スイッチを入れようと思ったらパンッて入れられるんですよね。だから今も、四畳半のスイッチ入れたら、この音楽か、ってなる。
一同:すごい・・・!
和田:いやいや、そんなものですよね。
茅野:音楽って上手く言葉で表せないので、演出家としては、作曲家にこんな音楽が欲しいとイメージを共有するのがすごく難しいんですよね。
和田:そうですね。自分の話になって恐縮ですが、僕は多分、言葉が分かる方だと思うんですよ。だから茅野さんとご一緒させていただきたいな~って。
茅野:ぜひぜひ。流司くんとのお芝居でね。四畳半のお芝居を(笑)。
2.5次元の今後をどう見る?
――これからの2.5次元について気になっている方もたくさんいると思いますが、本の中で4人とも「今がブーム、バブルなんじゃないか」と冷静な見方をしておられることに驚きました。
松田:この会場に足を運んでくださった方は、2.5次元作品をたくさん見て、応援してくださってる方々だと思うんですが、まだまだ見たことがない人も多いです。劇場に来ないと体感できないことなので、とにかく一度、劇場へ来てもらいたいなと思います。もちろん、観た人全員には刺さらないだろうけど、刺さる人もいるだろうから、今よりもっと多くの人に見てほしいし、せっかく日本で生まれたこの2.5次元を世界の人にも見てほしい。今は2.5次元ってすごいですよねと言ってもらうこと多いですが、僕自身はまだスタート地点にいるような感覚です。
茅野:自分も役者でしたが、僕らは今の2.5次元の俳優のように歌ったり踊ったりできなかったですし、こんなに年中舞台に立っているような感覚はなかったので、面と向かっては言わないですが、本当にすごいなと思っています。この中から、今までいなかった新しい舞台俳優が育ってくるだろうなと期待しています。
同時に、今、2.5次元を支えているのは僕らのような何十年も演劇をやってきた人間です。2.5次元にこんなにお客さんが来てくださるようになったのは嬉しいんですが、地道にやってるお芝居の方にあまりお客さんが行っていない。僕らの次の世代が育たなくてはいけないのに、この後のクリエイターが育ちにくい状況になっています。だから、2.5次元を見て演劇っておもしろいなと思って、他の演劇や小劇場作品を見に行ってくださる方が増えると、もっと裾野が広がって、次の世代に繋がっていくのに、と心配しています。
和田:僕は2.5次元という枠がなくなっていけばいいと思っていて。バブルがはじけて2.5次元というジャンルがなくなるのではなく、はじけて世界中に浸透すればいいんですよね。音楽の世界でもそれは往々にしてあって、最近で言えばEDMというジャンルは10年くらい前にバブルがはじけたんですが、今ではどの音楽を聞いてもそのスピリッツが残っていて、また別の音楽に進化してるんです。フォークソングであれ、どんなジャンルの音楽にもEDMが入っている。音楽では歴史上、それが繰り返されていて、どんどんアップデートされているので、2.5次元という新しいジャンルも、いろんなところに浸透して、また別のジャンルが生まれていったら良いなって思います。
佐藤:やっぱり2.5次元って、役者に賞味期限があると思うんですよ。例えば、サスケ役を30歳になっても演じることは多分無理です。だからこそ、今出来ているうちにいろいろ新しいことをやって切り開いていかないといけないなって。じゃないと、2.5次元における自分の人生が、満足しないまま終わってしまうから。だから、満足出来る結果になるまで、とにかく今は急いでやっていくしかないなと思っています。
松田:流司は本当に頼もしい存在ですよ。2.5次元自体をステップとして考えている役者さんもいて、それも全然悪いことだとは思ってないんだけど、流司ほど2.5次元のことを真剣に考えている俳優はいないんじゃないかと思うぐらい、この世界のことを考えてくれています。(僕らの関係は)役者とプロデューサーというよりは、一緒に走ってる同士だなってよく思います。
――では、もし一から自由に劇場を作れるとしたら、必要条件は何ですか?夢の劇場への希望があれば、お聞きしたいです。
佐藤:ミュージカル『刀剣乱舞』をやっている時に思ったんですけど、舞台自体が城になっていて、例えば最初の本丸のシーンは1階で畳に座りながらお客さんが見てる。いざ合戦が始まった時は、2階に移動して観てもらう。戦いが熾烈を極めていくのを見ながら3階に上ったら、そこが荒地になっている、とか。最後はまた1階に戻って、本丸で喋って終わり、みたいな劇場があったらいいな。
茅野:それに近いものをラスベガスで観たことがありますよ。そういう建物のつくりで、お芝居というよりショーなんですけどね。それはすごくおもしろいなと思いました。
松田:流司は、芝居をやる時のキャパシティは何人くらいが理想?
佐藤:理想ですか?理想は2,000人。梅田芸術劇場の大ホールとか、感動しましたね。
松田:今、東京には2,000人のキャパシティがある劇場が少ないんですよ。ホールと名がついているところくらいかな。皆さんご存知だと思いますが、そもそも劇場不足なんですよ。今、劇場が減ったり閉まったりしていて。でも、オリンピックが終わったら作った施設が余るから、劇場になっていくんじゃないかなあと思いますけどね。
茅野:都内にある劇場は狭い土地の中に作っているので、舞台はあるんだけど実は袖がすごく狭い、バックヤードがない、タッパが低い、そういった劇場が多いです。本当は舞台と同じくらい上下にある、みたいなのが理想なんですけれども。
松田:パリに行った時に、日本から来てくださったツアーの人たちに向けて、俺と茅野さんと作家の御笠ノ忠次さんと振り付けの本山新之助さんで、トークショーをやったんです。最後にお客さんのお見送りもしたんですが、その時も劇場作ってくださいとたくさん言われました。確かに、劇場があったらもっと公演も打てるな、と思いましたね。チケットが取れないという現状があるので、何とかしたいなというのもありますが。
質問コーナー:4人に聞いてみたいこと
――お客さんから事前に質問をいただいているのですが、おもしろいものがたくさんあったので、その中からいくつかお伺いできればと思います。まずは、「就活中なのですが、オーディションなどの面接時、何を思って向かわれるのですか?また、採用の方は役者さんのどこを見ているのですか?」という質問から。
佐藤:いつも「落ちても次がある」と思いながら行ってます。
松田:面接をする側としては、見てるのはその人がしゃべっている時だけじゃないね。むしろ、しゃべっている人じゃないところを見ません?
茅野:絶対見ますね。後ろに控えてる時をよく見ています。
松田:だから、油断しない方がいい。入ってくる時、出ていく時なんて、実はしゃべっている時よりも見ているから。
茅野:そういった場面の方が、その人が分かるんですよ。前に出る時って、ちょっと自分を作っちゃうじゃないですか。僕らは、役者が“どういう人か”を知りたいわけです。どんな人か分からないと、演出できないから。緊張するのも分かるんですが、よく見せようとすると作ったその人しか見えないから、そういう方は選ばないんです。もちろんその人が魅力的でなくてはだめなんですけど、例え失敗したとしても、その人自身のことがよく見えたら“この人と仕事をしたい”と思うことが多いですね。
松田:オーディションって無理にがんばろうとしてしまうんだけど、自分を見せる場なので、背伸びしてもしょうがないんですよね。会社の就職面接もそうなんですが、自分で役者を選ぶ時は、常に「エネルギーがあるか」を見ています。ベクトルが間違っていてもいいから、エネルギーのある人がいい。就職の面接でも、しずしず入っていって、急にコメントだけ元気に言っても背伸びがバレてしまうと思うので、気持ちを伝えるためには、テンション高く、エネルギーを持って臨んだ方がいいんじゃないかなと思いますね。
――「大事な仕事の前のルーティンがあれば教えてください」という質問もきています。
松田:俺、あんまりルーティンってないんですよね。
茅野:ヒゲを剃るとか?
松田:ヒゲは剃りますね。ヒゲ剃るのは、験担ぎですね。商談とか、誰かを説得する時はその前にヒゲを剃るって決めています。役者さんが本番前にやる気合入れ、あれと同じですね。
佐藤:俺は、1日2回、夜寝る前と朝起きてからお風呂に入るんですけど。すごく朝に弱いので、朝シャワーに入ってちゃんと頭を起こしてから外出するという感じですかね。
松田:割と普通のことだよね(笑)。
――佐藤さんは大音量で音楽を聞くことがあるそうで。
佐藤:そうです、耳ぶっ壊れるくらいの音量で。本番前にイヤホンで聞いています。集中するため、テンションを上げるために。ヒップホップとかを本番前に聞きます。寝る前はバラードを聞くって感じですね。音楽が好きなので。
松田:茅野さんにルーティンがいっぱいあったらおもしろいね(笑)。
茅野:本当にないんですよね・・・。何もそういうことを考えたことがないですね。
松田:僕ら、わりと自由人なので、緊張はしなくはないけど人よりそういう意識はちょっと薄いかもしれないですね。和田さんは?
和田:結論としてはない、なんですけど・・・。ルーティンではないんですが、服装って自由なものじゃないですか。だからどんな服装でいてもいいんですけど、外見をきちっと決めるというのは、人間の心にも影響を及ぼすんですよね。それがスーツとかフォーマルなものじゃなくてもいいと思うんですけど、何かに向かう時に外見をきちんと自分なりに決めることで、一つ心が形づけられるというのはありますよね。
松田:確かに、和田さんは打ち合わせでも、だらだらした格好で来ることが全然ないです。いつもオシャレ。
和田:いやいやいや(笑)。でも、外見で気持ちも変わりますよね。だから大事な日は外見をきちっと決めます。
松田:茅野さんは“初日服”がありますよね。
茅野:ありますね。芝居のたびにスーツを新調して、初日にそれを卸して着る、というのがルーティンですかね。
――では次の質問にいきます。「がんばれない時はどうしたらいいですか?」
茅野:僕は寝ます。今日の俺は駄目だ、そういうところは自分に甘いので「明日の自分、がんばれ」って寝ちゃいますね。
和田:僕もほとんど一緒です。僕の場合はそれにプラスして、もっと駄目なものをその日吸収します。
茅野:もっともっと辛くなっておく、ってことですか?
和田:そうです。その日のうちに自分ができないことに、ちゃんと直面しておく。寝たらそれがきちんと整理されているので。
茅野:それ、すっごく分かります。僕、傍に小人さんがいるような気がするんですよ。寝ている間に、小人さんが僕の代わりに勝手に仕事してくれているので(笑)。
佐藤:俺は、逆にすっごくネガティブになります。「本当に俺は何もできない、死んだほうがましだ」みたいなことを考えます。ちゃんと落ちるところまで落ちる。散々自分を罵倒したあと、そうしたものを今度は親や友達に聞いてもらって、吸収してもらうことが多いですね。
松田:へえ、言葉にするんだ。
佐藤:そうですね。でも、不特定多数に言うのではなく、親とか大事な親友に打ち明ける。そうすると、大分楽になりますね。
松田:僕は、仕事をしてる瞬間に1回切り替わる瞬間があるんですよ。制作の仕事はトラブルを解決する仕事だから、常に謝ったり、揉めているところに行ったりするんです。うちの社員たちも、それがしんどくなってくる。でも、それって考え方一つなんです。俺は「水のトラブル解決クラシアンだ」って言ってるんだけど。「クラシアン」って、トラブルが発生して初めて存在価値が生まれる。「出番です!」ってなるじゃないですか。俺の仕事も同じ。
そう思うと気が楽になって、今は困ったことがあると聞くと「出番だ!」って思うし、やる気になります。まじめな話、そういうことも含めて人生じゃないですか。辛いこととか、できなかったこと、嫌なことも含めて生きるってことでしょ?そう考えを切り替えたら、すごく楽になるんですよ。「ああ、生きてるな」って思えるようになる。俺は、ダメな時をネガティブにとらえずに、生きてることを楽しんだ方がいいんじゃないかなあと思います。
――最後に「応援してるファンは何を気を付ければいいですか?」という愛ある質問です。私たちにできることは何ですか?という意味なのかと思ったのですが。
松田:お芝居って、お客さんがいて初めて成立するんですよ。今日もそうだけど、皆さんがいて初めてこのトークショーは成立する。それと同じで、お芝居もどんなに稽古をしても、衣裳を着ても、お客さんがいないと完成しないんです。だから、応援するというよりは、参加するって思ってもらった方がいいんじゃないかな。俺は、一番重要な最後の登場人物はお客さんってだって、心から思いますし。ゲネプロって駄目なこと多いじゃないですか(笑)。
茅野:ゲネは役者も一番緊張するんですよね。
松田:お客さんがいる時とは完成度が違うというか。だから、一緒に作っていると思ってもらった方がいいと思いますね。
茅野:極端なことを言うと、観客は敵だ、みたいな時代があったんですね。敵というか、作り手はお客さんと戦う。刃を突き合わせて、向こうも「何見せてくれんだ?」ってすごんでいるような。実際に角棒を持ったお客さんがいるような時代も見ていますから、今はものすごく幸せだなと思います。僕は、お芝居が始まる前からロビーに出ていたりするんですが、やっぱり、お客さんって劇場に足を踏み入れた時からすごく幸せそうにしているんですよね。僕らが何かを見せる前から幸せでいてくれるって、僕らにとって幸せな状況だなっていつも思いますね。
和田:あくまでも僕の意見なんですが、僕は、やっている側として厳しい意見を聞きたいんです。2.5次元バブルという話でいえば、裸の王様になりがちというか、何をやっても褒められてしまうという状況もあるので。そこに対して驕りもないし、乗っかるつもりもまったくないんですが、いい意見ばかりが目についちゃう。あえて厳しい意見を言ってほしいというわけではないんですが、冷静な、ファンだからこそ語れるみたいな人が出てきたら嬉しいなと。僕はそういう人の感想は読むので、罵倒ではなく、そういうことが冷静な言葉で書かれていると嬉しいです。
佐藤:2.5次元では特にあるんですけど・・・観劇にいらっしゃる時に、きわどい洋服やセクシーすぎる洋服は着て来ないでください。何故かというと、こちらはキャラクターを背負っているので、(そういう方が視界に入ると)その辺り一帯を絶対に見なくなるんです。客席降りなどでそういう方を見つけてしまうと、そこはもう絶対見ない。この話は、他の役者ともしたことがあるんですが、やっぱりその辺り一帯を見られなくなるよね、って言ってました。
例えば、サスケがセクシーな服を着た女性を見ますか?と考えたら、見ないじゃないですか。俺自身もそんなサスケは見たくないから、周りのお客さんも含め、その辺りをガン無視するようになるんですよ。たまにいらっしゃるんですが、見れなくなっちゃうので・・・っていう話でした。
松田:応援してくれる気持ちは嬉しいし、それで十分。空気って何かちょっとしたことで崩れてしまう、すごく脆いものなんですよね。だからそこは「みんなで一緒に見る」というメンタリティを持っていてもらった方がいいかもしれないね。
――貴重なお話をありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
松田:これからも2.5次元を応援してください。我々としてもおもしろいものを作っていきますので!今後ともよろしくお願いいたします。
門倉さんの著書は、より深く“トップランナー”の言葉を掘り下げ、切り込んだ内容となっています。まだ読んでいない方は、ぜひご一読ください!
◆書籍情報
「2.5次元のトップランナーたち」松田誠、茅野イサム、和田俊輔、佐藤流司
【著者】門倉紫麻
【判型】四六判ソフト
【頁数】カラー16P+本文208P
【ISBN】978-4-08-781661-7
【価格】本体1,500円+税
【発売日】2018年12月14日
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)