舞台『デルフィニア戦記』第一章、蕨野友也インタビュー!「小説の意図をしっかり汲んだものを」

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2017年1月20日(金)から東京・天王洲 銀河劇場にて舞台『デルフィニア戦記』第一章が上演される。原作は、ライトノベル作家・茅田砂胡の代表作『デルフィニア戦記シリーズ』で、デルフィニア国をめぐる政変、友情、正義のぶつかり合いなどを壮大なスケールで描いたファンタジー小説。1993年から全18巻が刊行され累計300万部を超える人気作が、シリーズ誕生から20年以上の時を経てついに舞台化される。

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー

ウォル役を務めるのは、『仮面ライダードライブ』の敵幹部ハート役で知られる蕨野友也。本公演では座長も担う蕨野に、作品にかける思いや意気込みなどを聞いた。

――舞台は2013年の『るるる♪』以来となりますが、今の心境はいかがですか?

色々な意味で、一気にハードルが上がったなと思います。『るるる♪』では笹塚ファクトリーで主演をやらせていただいたのですが、そこからだいぶ時間が経って、すごい大きな劇場でやることに対してまだ実感が沸かないんですよね。周りにお話をすると、銀河劇場でやれることはスゴイ!と言われるんですけど、僕自身、それがあまり理解できていなくて・・・。もちろん、銀河劇場に芝居を観に行ったことはあるので、すごく広くて綺麗な劇場というイメージなんですけど、今度は自分があっち側に立つということが、どうもまだ実感できていないんですよね。舞台は今回が2回目ではありますが、緊張とプレッシャーは常にあります。

――「デルフィニア戦記」という大きな作品の座長を務めることについては?

たぶん、「本当に足りないよコイツ!」と思われることが、たくさんあると思うんですよね。正直に言うと、やっぱり眠れないですよ(笑)。僕の経験が浅いというのが、一番の理由なんですけど。そういうプレッシャーの中で、座長としてみんなを引っ張らなきゃいけないんですよね。だから、経験が少ないというネガティブ要素を考え過ぎても、仕方がないなと思ったんです。決まったからにはやると。あとは気持ちの部分で「いかに負けないか」ということだけでしか戦うところがなくて。

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー_4

――『仮面ライダードライブ』のハートも王様然としたキャラクターだったので、今回のウォルも、蕨野さんにピッタリという印象を受けました。

そう言っていただけると嬉しいですね。なるべくその印象のままで終えたいです(笑)。原作のファンの方たち全員を納得させることは、多分難しいことだと思うんですけど、観ていただいた後に「ウォル役の人って初めて観るけど、あの人で良かったね」と言ってもらえるようにがんばりたいですね。もちろん、その逆もあると思いますけど・・・。それも、すべて素直に受け入れようと思っています。

――ビジュアルも素敵です。

衣裳に関しては本当に素晴らしいですよ。僕らしい衣裳を皆で考えました。これが似合うなとか、これはちょっと違うなとか、剣はどっちの方が良いかとか、細部まで意見を出し合いました。小説の表紙などで「ウォルの衣装ってこういうのだよね」というイメージがあると思いますよね。今回、それとはまた少し違ったテイストで衣裳を選んでいます。

――小説とは違う、舞台「デルフィニア戦記」としてのおもしろさは何でしょうか?

国を追放されたウォルが、国を取り戻して、そして、お父さんも助け出さないといけない。そのためには仲間が必要なんですけど、その仲間が勝手に集まってきてくれる。それはウォルの懐の大きさだったり、持ち前の明るさだったり、男らしさというものなんですけど、それが繊細に描かれているのが「デルフィニア戦記」なんですよね。それを読んだことがない人にも楽しんでもらえるように、僕らが演じるウォルやリィたちと一緒に「国を取り戻す」という目線で舞台を観てもらえたらと思います。お客さんには、僕らの仲間の一人として、一緒に戦うという感覚で観てくれたら、より楽しめるんじゃないかなと思います。

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー_3

――今回の舞台は第一章と銘打つように、シリーズ作品化も期待できますね。

僕がそれを自覚したのは、リィ役の佃井さんと一緒に撮影をした時なんですよ。前から聞いていたはずなんですけど、それを忘れてしまっていて、撮影のパネルを見た時に「えっ?!第一章?あ、そうなんですか・・・!!」みたいになってしまって(笑)。でも、あまり次のことは考えていないんですよね。第二章、第三章に繋げたいなとかは考えていないんです。まず、本公演の話となる小説の1巻から4巻を、舞台上でちゃんと完結させようと思っています。役を全うできるかどうかというところで勝負したいので、まだ続編を気にする余裕もないんですよね。

――蕨野さんは、これまで現代劇を中心に活躍されていますが、ファンタジー作品に出演されることについての心構えなどはありますか?

出演させていただいた映画『クローズ ZERO2』は漫画が原作でしたけど、ファンタジー作品は、初めてです。作品を読んでいる皆さんの中に「デルフィニア戦記」というイメージがあると思うんですけど、それに全部を合わせにいこうとは思っていないんですよ。かといって、僕自身が小説を読んだ時に描いたイメージを、皆さんに押しつけるスタンスも違うと思うんですよね。ですから、なるべく茅田先生が書いた小説の意図をしっかり汲んだものを表現して、そのまま本から出てきたような感じにはしたいなと思っています。

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー_2

――「デルフィニア戦記」はファンタジー戦記なので、アクションも現代劇とは違いますね。

そうですね。だからこそ、アクションなどでは、ケガがないようにしなきゃいけないと思っています。映画『クローズ ZERO2』の時は、戦う相手役の方とよくご飯を食べたり、泊まったりしていました。コミュニケーションをきちんと取って、「痛くないか」とか「こういう風にしていいか」とか、現場で常に相談をできるような関係性を作ろうと意識していたんですよ。間違って当たっても、謝らないというスタンスなので(笑)。舞台でも、そうしたいなと思っています。とはいえ、共演者の皆さんは舞台経験が豊富なので、立ち回りとかも慣れていて、へっちゃらだと思うんですよ。僕の方がご迷惑をかけてしまうことも多いかもしれませんが、一つ一つ丁寧にやっていきたいですね。流れ作業にはしたくないなと思っています。

――蕨野さんが今回作り上げるウォルの動きが、「デルフィニア戦記」ファンにとってウォルが最初に動くイメージになると思います。

その通りですよね。そう言われれば言われるほどプレッシャーがかかります・・・(笑)。でも、それは僕が背負わなければいけないことだと思うし、ファンの方を裏切らないためにも、踏ん張りどころだと思います。ただ、気を張りすぎると息抜きがちゃんとできるかが心配ですね。舞台稽古中とかちょっとした時間に休憩できるかなとか、ずっと張り詰めていそうな気がします。主演という立ち位置、大きい劇場と、自分が経験したことのない状況が一気に揃った中で、自分がしっかり機能するかなという心配はあるんですけど、そこも楽しんでやりたいなと思いますね。ポジティブに考えて、家に帰ってからフッと笑えるような時間を過ごしたいです。

――役者が楽しんで演じていると、観ている側もそれを感じて、より作品を楽しめると思います。

そうですよね。毎晩寝られないぐらい緊張はしているんですけど、楽しみたいなという自分もいるんですよね。『仮面ライダードライブ』の時もそうでしたよ。楽しかったですから。決して馴れ合っているわけではないんですが、仕事の中に築いている絆というか、関係性があるんですよ。『仮面ライダードライブ』の撮影が終わった今でもキャストで集まったりするんですけど、理由ってそこなんじゃないかな。

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー_5

――それでは最後に、舞台を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

今回の舞台が2度目で、座長もやらせていただきます。今まで観たことのない舞台を皆様にお届けしたいと思います。「デルフィニア戦記」の素晴らしさと、壮大さを実現していこうと思っていますので、ぜひ劇場へお越しください。

◆公演情報
舞台『デルフィニア戦記』第一章
1月20日(金)~1月29日(日) 東京・天王洲 銀河劇場
【出演】蕨野友也、佃井皆美、細貝圭、山口大地、林剛史、須藤公一、綾那、三田村賢二、大原康裕、大沢逸美、小林勝也、山本亨、ほか

舞台『デルフィニア戦記』第一章・蕨野友也インタビュー_6

(C)茅田砂胡(C★NOVELS/中公文庫)・舞台「デルフィニア戦記」製作委員会

(撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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