2017年1月20日(金)より東京・天王洲 銀河劇場にて舞台『デルフィニア戦記』第一章が開幕した。本作は1993年に発表されて以来、全18巻シリーズ累計320万部を突破しているライトノベル作家・茅田砂胡の代表作『デルフィニア戦記シリーズ』を原作とした人気冒険ファンタジー待望の初舞台化作品。その初日前に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、蕨野友也、佃井皆美、細貝圭、山本亨が登壇した。
脚本・演出は、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」などで知られる児玉明子。デルフィニア国を舞台に、国を追われることとなった国王・ウォルが、人との出会いや別れを経験しながら、国を取り戻すために奔走する冒険ファンタジーが描かれる。
会見では、大人気シリーズ原作の初舞台化となる本作について、主演のウォル役を演じる蕨野は「原作の世界観を演出の児玉さんが大いに描いてくれています。そこはファンの方たちの期待を裏切らないものになっていると思います」と自信を覗かせるコメント。その言葉通りに、舞台版は、原作ファンを大切にしつつ、テンポの良いストーリー展開により、初めて『デルフィニア戦記』に触れる方にも楽しめるように仕上がっていた。
多くの登場人物が繰りなす物語も魅力の本作。それぞれの演じる役の見どころについて、蕨野は「小林勝也さん演じるフェルナン伯爵との最後のシーンは、原作のファンの方たちの投票でも1、2を争う印象的なシーンということなので、僕自身も小説を読んで、気持ちを込めて演じられるようにと思いました」とアピール。
原作ファンであり、特に演じるリィが大好きと公言している佃井は「改めて自分が演じるとなった時に、持っていたリィという役のイメージを深く追求していくのが大変であり、楽しかったです。リィを通して見る世界がものすごく新鮮に感じられる時があって、楽しかったです」と役作りについて明かした。そんな彼女によって、自由奔放なリィの魅力が舞台上で存分に表現されている。
続いて、騎士団の団長ナシアスを演じる細貝は「ナシアスで言えば、親友であるバルロ(林剛史)との対立です。今までお互いを信頼してきた仲間と対立し、戦わなければならない。その気持ちの揺れなどをすごく考えました」と、友情と戦いの間で揺れ動くナシアスの見どころを挙げた。
ウォルの宿敵ペールゼンを演じる山本は「彼は権力者になりたかったのではなく、彼なりに正義があったと思います。そこがバックに見えれば、ありがたいなと思います」と演じる役の思いを語った。そのペールゼンとウォルが戦うシーンは、佃井も手に汗握るシーンだと会見で語るほど。まさにクライマックスにふさわしいシーンとなっている。
そして、蕨野が会見で自信を見せた殺陣のシーンは迫力満点。蕨野演じるウォルの力強さと、佃井の縦横無尽な動きに目を奪われる。その二人以外にも、それぞれ個性的な立ち回りが楽しめ、公開されていたビジュアルよりも、殺陣で動く姿の方がより魅力的に感じられた。さらに、一人一人の殺陣だけでなく、敵味方入り乱れての激しい乱戦は非常に見応えたっぷりだ。
会見では、稽古中のエピソードとして蕨野が「立ち回りが初めてだったので、最初、5回ぐらい剣を振っただけで、立てなくなってしまったことがありました(笑)。蕨野が成長したというところを見せれると思います」と殺陣の激しさを打ち明けた。
そんな蕨野について、山本は「稽古が進むにつれて、蕨野くんが冷たい感じだったんです(笑)」とぼやくと、蕨野は「そんな、違いますよ(笑)」と慌てて否定し、会場は爆笑。続けて山本が「後で聞いたら、ペールゼンは親の仇役なので、内面から作っていたらしいです」と裏話を披露した。
このほかの出演は、山口大地、林剛史、須藤公一、綾那、三田村賢二、大原康裕、大沢逸美、小林勝也、など。
魅力的なキャラクターともに紡がれる壮大な物語と大迫力の殺陣により舞台上に実現した波瀾万丈の一大戦記の第一章。続編をぜひ期待したくなる作品だ。
舞台『デルフィニア戦記』第一章は、1月29日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。
(C)茅田砂胡(C★NOVELS/中公文庫)・舞台「デルフィニア戦記」製作委員会