2016年12月から2017年1月にかけて東京と大阪で上演される『CROSS HEART(クロスハート)』。本作は、作・演出・振付を手がける玉野和紀が、過去に『CLUB SEVEN SP(4th)』内で上演したミニミュージカル『ワン・ハート』をモチーフに書き下ろされたもので、当時から一本化を望む声が多く寄せられていた作品だ。今回、本作が初のミュージカル出演となる中山優馬と、玉野の過去作品『道化の瞳』にも出演していた屋良朝幸をW主演に迎え、新たな愛と友情と戦いの物語として動き出す。
ストーリーの中では、現代の日本と百年戦争真っ只中のフランスが時空を超えて交錯(クロス)する。大学3年生の榎本駿役とブルゴーニュ派のエルネストの2役を演じるのは、中河内雅貴。大学2年生の西川大介役とリベルテ派のニコラを演じるのは大山真志。玉野作品の常連でもある二人に本作の魅力や、公演に先駆け11月11日(金)から上演される「Live Version」について話を聞いた。
――お二人は、これまで何度も共演されていますよね。先日も、お酒の場で熱いお話をされていたと伺いました。
中河内:そうそう。稽古終わりに飲みに行ったんですよ。・・・俺がただ飲みに行きたかっただけなんだけどね(笑)!
大山:初めは普通に飲んでるだけだったんですけど、次第に真面目な話になっていって・・・。作品を創る上で、そういう話を真正面から出来る人がいるって、貴重なことだと思いましたね。
――稽古後だと、特に話に熱を帯びそうですね。今は、公演に先駆けて行われる「Live Version」の稽古真っ最中ですか?
大山:そうです。今は歌のシーンを繋げているところですが、そろそろ殺陣が入って全貌が見えてくるのかな・・・という段階です。楽曲はすべてオリジナルなので、ストーリーの中に出てくる“派閥”の歌があったり、思いが通じ合った人たちが時空を超えて一緒に歌う曲があったりします。
中河内:すごくいい雰囲気だよね。皆で楽しみながらやっています。初共演の方も多いので、きっちり対話して稽古場を作っていかないと、いい作品はできないんですよね。
だから今は、自分を出しつつ、皆を盛り上げるという役回りに重きを置いてやっています。
大山:僕も、雅さんと玉野さん以外は初めてお会いする方ばかりですね。だいぶ皆さんとお話をさせていただく機会が増えました。
色んな分野の第一線で活躍されている方々が集まっているので、お話を聞く度に刺激をもらっています。
――本公演の稽古はこれからですが、配役についてはどう思われましたか?今回は、現代に生きる学生とフランスの戦士と時空を超えた二役を演じられるんですよね。
中河内:玉野さんって、今までもなんですが、出演者のキャラクターを踏まえて、要所要所に当て書きの部分を入れられるんですよ。なので、演じる役には自分に近い部分があることが多いです。それって、おもしろさもあるんですが、同時にとても難しいことでもあるんですよね。
大山:僕の演じる役は、現代でも過去でも、どちらかというと・・・イジられキャラっぽいです。多分それが、玉野さんが僕に対して持っているイメージなのかなって(笑)。だから、素直にお芝居をしたら、役にすぐノッていけると思います。演じやすく作ってくださっていると思いますね。
――玉野さんにとって、よくご存知のお二人が座組みの中にいることは、とても大きそうですね。
中河内:そうですね。確かに、現場の空気感ややり方を分かっているだけに、できることが多いかと。
大山:雅さんは、それをいち早く感じ取って、引っ張ってくれています。
中河内:自分が楽しくない現場って嫌じゃないですか。真面目にやることは大前提として、その中にも抜けた感や遊び心がないと、ずっと緊張してばかりになる。その状態で1~2ヶ月過ごすのは辛いよね。だから、ある種のメリハリをつけられれば一番いいなと。
――物語の内容も、友情に愛に戦いにと、とても密度の濃い関係性が描かれますもんね。今回の共演者の方々についてはどうでしょうか?
中河内:中山優馬くんが、今回ミュージカルに初主演をするので、彼がこの舞台をやり終えた時に「やってよかった」と思えるような作品にしたいんです。本人も、顔合わせの時から「この作品を自分の代表作にしたい」っていうすごく強い気持ちを持っているので。その姿を見ると、僕たちはしっかりサポートしていける存在でいなければって思いますね。それが作品として、カンパニーとして、一体となるために僕たちがするべきことだと思います。
大山:僕もそう思っています。自分たちが(このカンパニーに)いる意味というのは、役を演じている時も、離れている時も常に考えさせられますね。
中河内:・・・玉野さんをいじったりさせてもらえるのも、僕くらいだからね。親しみを込めて言いますが、玉野さんは“かまってちゃん”なんですよ!こういうことを言えるのも、長い付き合いの中で許される人間関係を築いてきていると思っているから(笑)。
大山:確かに、そうですね(笑)!元々短編だった作品が、一つのミュージカルになって大々的に世に出ていくってことはあまりない、貴重な機会だと思うんですよ。そこに「代表作にしたい」って言っている中山くんがいて・・・。雅さんと同じように、よい作品にするために自分の役回りをしっかり全うしたいですね。Live Ver.公演を経て、本公演でさらに深みを出していければと思っています。
――本公演の前にLive Ver.公演があるっていうのも珍しいですよね。
中河内:僕も、こういう経験は初めてですね!ちょっとドキドキしています(笑)。お客さんたちの中に前情報がほとんどないまま、本編の要素も紡いでいくので、とても斬新ですよ。
大山:僕たちですらどんなものに仕上がるのか、まだ完全には分かっていないんです(笑)。でもある意味、これも挑戦だと思っています。
中河内:今まさに、Live Ver.公演に向けて、皆で案や意見を出し合って「Liveだから出来ること」っていうのを考えているところなんです。本公演への期待を高めてもらうためにも、そこをしっかりやっていかないとね。
――本編の方も、すでに役柄が公開されていますが、百年戦争の時代には、中河内さん演じるエルネストはブルゴーニュ派、大山さん演じるニコラはリベルテ派と、お二人は対立される関係ですね。
大山:僕のいるリベルテ派は、自由を愛する平和主義で比較的穏やかな派閥。雅さんのいるブルゴーニュ派は血気盛んな派閥なんですよ(笑)。雅さんと戦うシーンが結構多いみたいで・・・。
中河内:二つの派閥がバチバチ火花を散らすというよりは、僕ら(ブルゴーニュ派)が誰に対してもつっかかっていくような空気を持っている感じですね。
大山:どちらも求めているものは「平和」なんですけど、どこかに属して平和を求めるのか、自由こそがすべてなのかという、考えの違いから争ってしまうというお話なんですよ。そして、争いごとをふっかけ出すのはだいたい雅さん(エルネスト)っていう・・・(笑)。
――さっき、玉野さんは「当て書き」をされるというお話が出ましたが・・・(笑)。
中河内:そうなんですよ!ひどい当て書きなんですよ(笑)!でも、このメンバーの中で何かあった時に、誰が特攻隊長になるんだろうって考えた時、やっぱり自分が最初に「やれー!」って飛び込んでいくだろうなって正直思いました(笑)。やっぱり、玉野さんは僕のことをすごく分かっていらっしゃいますね~。
――物語には恋愛要素も含まれていますが、愛の物語という側面からの見どころはいかがでしょうか?
中河内:やはり、愛のすれ違いでしょうか・・・『クロスハート』なだけに。お互いが想い合っていても遠ざかってしまう、みんなクロスしちゃうんですよ。
大山:あれ・・・、ちょっと待って。僕の役、クロスしないんですけど・・・!一人で想っているだけだ…、全然『クロスハート』してない(笑)!
中河内:真志だけは『ワン・ハート』なんだよ。他の皆は『クロスハート』だけど(笑)。
大山:僕だけ取り残されてない・・・?
中河内:そんなことないよ!『ワン・ハート』があっての、『クロスハート』だから!!重要な役だよ?大事な仲間だし!
大山:いや、立場的には敵だわ(笑)!
――敵同士の役柄ながら息ぴったり!そして、「言い得て妙」です(笑)。現代のシーンもどんな感じになるのか楽しみですね。
大山:そうですね~!稽古が始まっていなくても、過去の物語の部分については多少イメージができるんですけど、現代の部分は未知数なので。
中河内:そうだね。客席にそれぞれ違う時代の物語をどう伝えていくか、演出がどうなっていくのかとかも、まだまだ分からないからね。
大山:時代がまったく違うから、その振れ幅もおもしろく見せたいですね。
――最後に、Live ver.公演、本公演ともに楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします!
大山:僕たち自身、日本のオリジナルミュージカルとして“挑戦的な作品”になると思っています。まずは、Live Ver.公演で、どれだけお客さんを物語に引きつけられるかというのが最初の勝負。本公演が楽しみになるような公演にしようと思いますし、本公演への大きな煽りになればと思っています。現代と過去を行き来する物語ですが、きっと見やすく楽しい作品になると思います。ぜひ、劇場に会いに来てください!
中河内:この座組みにはジャニーズの才能豊かなメンバーが4人もいるので、日々感化される部分があります。本番でも、稽古場以上の爆発力を見せてくれるでしょうから、それに負けないように自分たちの色も出していきたい。そして、お客さんが自分たちの存在を知ってくれるきっかけにもなればいいなと思っています。玉野さんによるオリジナルミュージカルとして、次につながる作品になれば・・・皆さん、どうぞよろしくお願いいたします(笑)!
◆公演情報
A New Musical『CROSS HEART(クロスハート)』
【作・演出・振付・出演】玉野和紀
【出演】
中山優馬 屋良朝幸/唯月ふうか 大湖せしる/中河内雅貴 大山真志/
諸星翔希 寺西拓人/蘭乃はな/福井貴一
【公演日程】
☆Live Version
11月11日(金)~11月13日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI
☆東京公演
12月9日(金)~12月28日(水) Zeppブルーシアター六本木
☆大阪公演
1月6日(金)~1月8日(日) 森ノ宮ピロティホール
オフィシャルHP
http://www.musical-crossheart.com/