が12月9日(金)に、東京・Zeppブルーシアター六本木で幕を開けたA NEW MUSICAL『CROSS HEART(クロスハート)』。本作は2007年に「CLUB SEVEN SP(4th)」にて上演されたミニミュージカル「ワン・ハート」をもとに、玉野和紀(脚本・演出・出演)が新たに書き下ろしたオリジナルミュージカル。W主演の中山優馬と屋良朝幸を迎え、現代から「100年戦争」真っ只中の1428年のフランスにタイムスリップする大学生たちの愛と友情と戦いが描かれる。初日前に行われた公開ゲネプロと囲み会見の模様をレポートする。
囲み会見で中山は、初日を迎える感想を聞かれ「稽古を存分にさせていただいたので、初日が開くのが楽しみです」と開幕の興奮を抑え切れない様子。屋良は「ライブバージョンから含めて2ヶ月くらい稽古しているので、やっと本公演としてステージに立てるなと思っています」と、感慨深げに語った。
本作は2016年11月、東京・EX THEATER ROPPONGIにてライブバージョンが上演となり、今回が満を持しての本公演となる。屋良は報道陣からライブバージョンとの違いを尋ねられ「ライブバージョンより殺陣の分量が増えてるし、剣も前回より重くしてるんです。殺陣終りの舞台袖では二人とも腕が上がんない状態になっています(笑)」と、バージョンアップしたポイントと苦労を明かし、中山は「でもその分リアリティーは増したはず」と作品の魅力をアピールした。
本作の見どころは迫力の戦闘シーンはもちろんのこと、それと交差するように展開するドラマチックな物語展開だろう。100年戦争を背景に、武力で支配を拡げるブルゴーニュ派とそれから独立しようとするリベルテ派の派閥争いが登場人物の愛と友情を分断してしまう。
セザール(中山)を筆頭にブルゴーニュ派に所属するティエリ(大湖せしる)、エルネスト(中河内雅貴)、ロドリグ(寺西拓人)、ジルベール(福井貴一)と、リュック(屋良)率いるリベルテ派のカミーユ(唯月ふうか)、ニコラ(大山真志)、マクシム(諸星翔希)、アルセーヌ(蘭乃はな)は、同じ村民でありながら、思想の違いでお互いを強く憎み合う。
運命の悪戯に翻弄され戦いあう若者たちの姿は切なくも美しい。囲み取材で中山は「お芝居をしている自分も感動してしまう」と物語について語っていたが、衝撃のラストも含め、涙なしでは見られない。
またダンスが苦手だという中山は、稽古場で屋良と猛特訓をしたようで「筋肉とダンスのことは本当にうるさいんですよ(笑)」と報道陣に対して茶目っ気たっぷりに笑っていたが、中山と屋良の息のあった歌とダンスは見応え十分。他にも、独特な存在感で物語を見つめるミカエル役の玉野のダップダンスや大湖と蘭乃の圧巻の歌声など、見どころは盛りだくさんだ。
最後に中山が「全力を賭けて挑んでいる舞台になっています。クリスマスの日もやっているので、ぜひ見に来てください!」と強く意気込み、囲み取材を締めた。若者たちのほとばしる情熱が交錯する『CROSS HEART(クロスハート)』。それぞれの運命の行く先を、ぜひ劇場で確かめてほしい。
A NEW MUSICAL『CROSS HEART(クロスハート)』東京公演は、12月28日(水)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演。2017年1月6日(金)から1月8日(日)までは、森ノ宮ピロティホールにて大阪公演が行われる。
(取材・文・撮影/大宮ガスト)