一緒にドラムを叩いて大盛り上がり!来日9年目の『ドラムストラック』演出家&キャストにインタビュー!

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2008年の日本初演以来、9年連続で来日公演を行っている南アフリカ発の体感型ドラムエンターテインメント『ドラムストラック』。7月の名古屋公演を終え、現在は8月の地方公演、そしてその後の東京公演を控えている。この、観客も一緒にドラムを叩いて楽しめる大人気のステージを立ち上げた演出家のウォレン・リーベルマンと、メインキャストのタイニー・モディセに、今回の来日公演に向けた新たな挑戦について聞いた。

『ドラムストラック』ウォレン&タイニー_2

目次

日本公演に向けた、新しいチャレンジ

――9回目の来日公演ですね!今回の公演向けにいろいろな準備をされたそうですが?

ウォレン:公演を企画してくれた日本のプロデューサーに、1ヶ月ほど南アフリカに来てもらったんだ。そこでワークショップをしながら、どうすれば日本のお客様にもっと『ドラムストラック』が受け入れてもらえるのかを一緒に考えた。その時にプロデューサーから「もっとパワフルにしたらどうか」とアドバイスをもらったりして、日本の方に喜んでもらえる要素をたくさん取り入れたよ。

タイニー:新しい試みもたくさんしているわね。

ウォレン:そうだね。2001年の初演からずっとオープニングは変えなかったけれど、今年は思い切ってガラリと変えたんだ。今まではゆっくりとショーがスタートして徐々にお客様を巻き込んでいくスタイルだったけれど、今回はいきなりドカーン!と大きく始まる。それからものすごく速いペースで盛り上がってから、「ゆっくりドラムを試してみましょう」と、お客様と一緒に楽しむ感じだね。

『ドラムストラック』舞台写真

――お客さんが叩くリズムも、去年より難しくなっているとか?

タイニー:そうよ。『ドラムストラック』はお客様みんなで一緒にジェンベを叩くんだけど、今年は今までよりもっと複雑なリズムになっているの。

ウォレン:みんなに「絶対できないよ」「やめようよ」って言われたよね。僕だってなかなか叩けなかったし(笑)。

タイニー:そうだったわね(笑)。すごく練習したもの。・・・・・・でも驚いたことに、7月に名古屋で公演した時、お客様たちが1度説明しただけですぐに叩けるようになったの!他の国で同じことをしたらけっこう時間がかかったのに!

ウォレン:びっくりしたよね、1回しか説明していないんだよ!?

タイニー:前から感じているんだけど、アフリカと日本ってどこか通じるところがあると思うの。私たちは「このリズムを叩くのは難しいだろう」と心配していたのに、日本のお客様はすんなり出来ちゃった。不思議よね。絶対になにかコネクションがあるとしか思えないわ。もしかして、心臓の鼓動が同じなのかしら。

ウォレン:お互いに必要とし合っている国だからかもしれないね。南アフリカと日本って、まったく似ていないからこそ補い合えるものがあると思うんだよ。

『ドラムストラック』ウォレン

――南アフリカと日本、どんな部分が似ていないですか?

ウォレン:たとえば日本はアフリカと違って、頑張って仕事をするという努力や合理性があるし、南アフリカは、すぐに心を開いて自由に話をしたりコミュニケーションを取る“オープンマインド”な精神を持っているんだ。そうした互いの良さから学べることがあるからこそ、補い合えるというか、しっくりくるんじゃないかな。

タイニー:まったく似ていないわよね。

ウォレン:そうだね。日本は“頭”、アフリカは“心”で考える・・・・・・という感じかな。本来はどちらも一緒に動かなければバランスが悪いんだけどね(笑)。

――では、初めて日本に来た時に文化の違いに驚いたこともあります?

タイニー:ええ。初来日はおよそ10年前だけど、最初の印象は「日本の方達はとてもシャイで大人しい」だったの。でも、この10年でそれも変わったと思うわ。

ウォレン:今はすごく心がフリーになったよね。きっとドラムストラックのおかげだね(笑)!

『ドラムストラック』タイニー

――『ドラムストラック』に参加すると、すごく心がオープンになる気がします。タイニーさんをはじめ、皆さんが心を開いているからでしょうね。

タイニー:アフリカは“心”だからよ。私にとって、パフォーマンスをすることは人生の使命なの。仕事ではなく、自分の持っているものを皆と分かち合うためにステージに立っているわ。目の前にいる人たちと“LOVE”をシェアしようという気持ちで、心の奥深くから楽しんでいるの。もちろん、公演が続くと疲れることもあるけど(笑)。それでも実際にステージに立ってお客様の笑っている姿が見えると、それだけで嬉しくなって元気が出てくるし、それはキャストみんなが同じ気持ちだと思う。そんなところにも“LOVE”がこもっていると思うわ。

ウォレン:また今回は、とても力強いキャストが揃っていてすごく良いチームだと思うよ。キャスト一人ひとりのレベルが高い。シンガーや、ダンサーや、ドラマーや、コメディアンや・・・・・・(にやりと笑う)

――あなた、ですね!

ウォレン:そう、演出家もね(笑)!

タイニー:(爆笑)

ウォレン:誰もがしっかりとした技術を持っているから強いんだ。世界水準の優秀なドラマーであり、なおかつ、歌えて踊れて何でもできるパフォーマーたちさ。これほどの人材を集めるのは大変なことだよ。通常、優秀なシンガーやダンサーをそれぞれ集めると40人くらいのキャストが必要になってしまう。でも『ドラムストラック』には、11人ですべてのパフォーマンスができるほど優秀な人材が集まっているのさ。

――まさにベストチームというわけですね。

ウォレン:もちろんベストチームだよ!なかでも僕が一番強いけどね(笑)。

タイニー:みんなのレベルが高いから、ステージに立っていてもストレスがないの。素晴らしいメンバーと一緒に、去年よりもさらに音楽のルーツを掘り下げてきたわ。

ウォレン:初めのうちはちょっと手さぐりだったけれど、今年に入って4公演を経て、お客様が入った空気感もわかってきたから、より素晴らしくなっていると思うよ。

ドラムを叩くと人生が変わる!?

『ドラムストラック』舞台写真_2

――アフリカの打楽器「ジェンベ」は、みなさんにとって身近な楽器なんですか?

タイニー:全員ではないわ。ただ、アフリカの文化にはドラムを叩くことでコミュニケーションをとっていたというルーツもあるから、日本よりもドラムに触れる機会は多いと思う。でも、どこにでもあるというよりは、芸術科目の一環として触れることが多いの。

――ドラムのどんなところに惹かれたんですか?

ウォレン:僕がドラムを選んだんじゃない、ドラムが僕を選んだんだ!

――ロマンティックですね!

ウォレン:(笑)

タイニー:絶対にそうだと思うわ!ウォレンはドラマーじゃないけど、彼が「こうすれば絶対に観客に受け入れてもらえる」と言ったことはその通りになるもの。だからきっと、本当にドラムに選ばれた人なのよ。

ウォレン:でも「今年は心配だな」ってずっと言っていたんだ。一つひとつのリズムが難しすぎて、お客様はついてこられないかもしれないと思っていたから・・・。それなのに、日本のお客様はすんなり叩けちゃったんだ。本当にすごいことだよ!

『ドラムストラック』

――タイニーさんはどうして『ドラムストラック』に参加したんですか?

タイニー:ドラムを叩く機会があって、それを見てくれた人が「あの子は誰だ?」と誘ってくれたの。当時はまだ19歳だったわ。

ウォレン:そういえばまだ10代だったよね!すごく目を引いたんだよ。

タイニー:あら、嬉しい!

ウォレン:彼女は昔からすごく魅力的なドラマーだよ。本当に、いつだって素晴らしいドラマーなんだ。

タイニー:わあ~!今までそんなこと言われたことなかった!ありがとう!

ウォレン:(笑)

タイニー:私にとって、今までの人生で『ドラムストラック』に出会ったことが最高の出来事よ。初めて『ドラムストラック』に参加してから、ずっと楽しい思いをさせてくれているんだもの。

ウォレン:ブロードウェイも出たし、世界中をまわったよね。中国やオーストラリア・・・・・・ほかにもたくさん。

タイニー:いろんな方にショーを観てもらって、「人生が変わった」「殻を破れた」と言ってもらえることが何より嬉しいの。そのたびに「ああ、『ドラムストラック』をやってて良かった。本当にこれが私の使命なんだ」と思うわ。

アフリカの“心”を感じてください

『ドラムストラック』タイニー_2

――9年目の来日、どんなふうに過ごされていますか?

タイニー:私はもう、日本に住んでいるような気持ちだから・・・・・・。

ウォレン:僕は9回も来ているのにまだ1度も行ってない場所があるよ・・・・・・温泉さ!すごく行きたいんだ!

タイニー:いいわね。私は日本のスタッフさん達のお家に行って、みんなの家族に会いたいかな。お家にも泊まってみたいわ。クルーのみんなとは9年の付き合いで、家族みたいだもの。

ウォレン:南アフリカでは家族間の交流が多いから、そうすることは自然だよね。日本だとレストランに行くけど、向こうではよくお互いの家に行くんだ。連絡もせずに突然「来たよー!」と訪問して、そのまま居座っちゃう(笑)。

タイニー:去年の12月は母と一緒にケープタウンにあるウォレンのお家に行って、そのまましばらく居ちゃった(笑)。

ウォレン:楽しかったなあ。

タイニー:『ドラムストラック』って本当の家族のような付き合いになるわよね。きっと、ドラムを叩くことで一体感が生まれるからね。

ウォレン:世界中どこでも、誰とでも強い繋がりを築けるよね。たとえば、子どもが小さい頃、お母さんは一緒に歌ったりするだろ?それで親子の絆が深まると思うんだけど、ある時、歌をやめてしまう。でもドラムを叩けば、大人になっても一体になることができるんだ。

『ドラムストラック』舞台写真_3

――ドラムなら、楽譜が読めなくても楽しめそうですね。

ウォレン:そうだね。でも南アフリカには「パフォーマー」というカテゴリーは無いから、あまり楽譜を読んで勉強したりはしないよ。ドラマーがいたらみんなが一緒に加わるのが伝統なんだ。たぶんアフリカ全体がそうなんじゃないかな。ドラムを叩く時は楽譜を見たりせず、耳で聞いてハートで感じて、湧き上がってくるものを演奏している感じさ。

――気負わず、その場を楽しめばいいんですね!では最後に一言、メッセージをいただけますか?

タイニー:ぜひぜひ会場に来て!絶対に楽しめると思うから!ドラムを叩いていると、明日やその先のこと・・・いろんなことを忘れられるの。“その瞬間を生きる”という体験をしに来て欲しいわ。劇場を出る時には、きっと笑顔になっているはずよ。

ウォレン:完璧なメッセージだなあ!右に同じ、だね。日本のお客様、ぜひ観に来て下さい。そして、ちょっぴりのアフリカのハートを持って帰ってもらいたいな。

『ドラムストラック』ウォレン&タイニー

◆『ドラムストラック』公演情報
【石川公演】8月11日(木・祝) 本多の森ホール
【大阪公演】8月15日(月) 新歌舞伎座
【東京公演】8月17日(水)~8月28日(日) 天王洲 銀河劇場

☆公式サイトはこちら!
http://hpot.jp/stage/drumstruck2016

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この記事を書いた人

高知出身。大学の演劇コースを卒業後、雑誌編集者・インタビューライター・シナリオライターとして活動。

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