加藤健一×風間杜夫対談!加藤健一事務所『バカのカベ~フランス風~』「一緒の舞台に立つのは30年ぶり!」

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加藤健一事務所vol.93『バカのカベ~フランス風~』が2015年4月24日(金)より、東京・本多劇場を皮切りに上演される。観客の笑いで劇場が揺れた伝説の初演から2年半、加藤自身が「初演の千秋楽の幕が下りた時から待ちわびてきた」と語るほどの、待望の再演だ。珠玉のコメディのカムバックまでのラストスパート、怒涛の稽古の合間を縫って、加藤健一と風間杜夫に話を聞いた。

風間杜夫、加藤健一『バカのカベ~フランス風~』

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――前回(2012年11月)公演の終了と同時に加藤さんは「すぐ再演したい」と思われたそうですが、2年半後の今、再演に至ったきっかけを教えてください。

加藤:元々、初演が終わった時に2、3年後にまたやろうというのは決めていたんです。他のお芝居や映像なんかの兼ね合いもあって時期を見計らっていて、風間さんのスケジュールが空いたので、今だ!と思ったんです。予定通り2年半後に再演できてよかったです。

――稽古初日から風間さんと加藤さんのコンビネーションは絶妙だったと伺いましたが、お二人ご自身は久しぶりの稽古ではどう思われましたか?

加藤:今回の稽古自体はとくにかしこまった感じもなく、自然に入りましたね。初演の時は30年ぶりだったんですよ。普段会ってはいたんですけど、一緒の舞台に立つのは30年ぶりということで、ちょっと特別な感じはありました。何しろ風間さんは「外国人はやらない」っていうから、そんなに長くかかってしまったんですけど(笑)。今回ももちろん2年半ぶりに会うってわけではなく、互いのお芝居を観に行ったりしてよく会ってはいるんでね。

風間:言っても2年半前のことですから、身体で覚えているだろうと思っていたら、すっかり忘れていました。恐ろしいですね。台詞を思い出すというか、一度しゃべっているから、始まればすらすら出てくるのかと思ったら…。やっぱり、外国人は難しいですね(笑)

風間杜夫、加藤健一『バカのカベ~フランス風~』

――加藤さんは冒険劇『ペリクリーズ』から、風間さんはシリアスな『死と乙女』から今回の役柄となりますが、切り替えや役作りはどのように工夫されているのでしょうか?
 
加藤:どちらかというと、『ペリクリーズ』みたいな方が自分にとってはあまりない感じで、今回みたいなのはよくやるので、いつもに戻ったような感じ。ただ、観に来た人が「これくらい笑うだろう」って思う予想の10倍は笑ったっていう芝居を作りたいので、そこの苦労は結構ありますね。

風間:僕は正直、かなり以前に観客としてこの作品を観た時は、何てつまんない芝居なんだろうと思いましたが、自分がやってみるとすごく面白い。やっぱり役者によって違うなと思いましたね(笑)

<一同爆笑>

風間:というのは冗談で、この作品は台本を演出の鵜山さん自身が翻訳されているんですよ。意訳というか、僕たち日本人の感覚に近いように台詞が翻訳されているので、いわゆる翻訳ものっていうクセがない。そこがお客さんにもウケたポイントの一つだと思います。

風間杜夫『バカのカベ~フランス風~』

――じゃあ外国作品でも安心ですね!(笑)

風間:そうですね、感覚的に入りやすいです。でも、外国作品はやっぱり、名前がね、覚えられないんですよ!カタカナだから。僕は競馬もやらないです、カタカナ覚えられないから。(笑)

――風間さんのピエールと加藤さんのフランソワ、それぞれご自身と共通するところはあったりするのでしょうか?

加藤:この作品は、風間さん演じるピエールが自分の晩餐にバカを呼んで楽しもうということで、僕が演じるフランソワがやってくるんですけど、話が進むにつれて“これってフランソワより呼んだピエールの方がバカなんじゃないか?”って見えてくる芝居なんですよ。

風間杜夫、加藤健一『バカのカベ~フランス風~』

――なるほど。“バカ”の意味合いが深いですね。

加藤:養老孟司さんの「バカの壁」って本もそうですが、人って自分のバカには気付かない。自分のことは本当に分からないもので、みんなが自分のことを「あいつ、バカだ」って思っていても、自分だけはまともだって思っている。そういう人間の滑稽さというか、本質的な部分で共通点はたくさんあると思います。

加藤健一『バカのカベ~フランス風~』

風間:そうですね、このお芝居で、人のことをあまりなめてはいかんと思いました…。

――今回は地方公演も予定されていますね。地方公演で楽しみにされていることはありますか?

加藤:お芝居の場合は生なので、映像と違って、東京でやったらほとんど東京の人しか観られないじゃないですか。なので、地方のプロデューサーが呼んで下さっていくつかの場所で出来るっていうことはすごく嬉しいですね。当たり前ですが、こういう機会がないと、僕たちの作品を地方の人に観てもらえるなんてことはないですから。

風間:北海道から始まりまして、東北、関西と。時期的に気候もいいですし、旅行気分です。ひとつのお芝居を、たくさんの劇場で出来るということがあまりないので楽しみですね。

――最後に、公演に向けての意気込みと見どころをお聞かせ下さい!

加藤:初演で劇場が揺れるような笑いを経験しているので、再演では、笑いの部分では安心して役作りに集中しています。とにかく今は「あの生き物は一体何だろう」と、惹きつけられてしまうような役が出来るように心がけてます。またひとつパワーアップしてお届けできたらと思っています。

風間:何しろ再演なので、座組の緊密度といいますか芝居のチームワークの高さはお客さんにも感じていただけるんじゃないかなと思っています。まあ、自分で言うのもなんですが、何と言っても加藤さんと僕のコンビネーション!これは絶妙ですから。是非観に来て頂きたいと思います。

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風間杜夫、加藤健一『バカのカベ~フランス風~』


<プロフィール>
加藤健一

1949年10月31日生まれ。静岡県出身。高校卒業後、半年間のサラリーマン生活を経て、劇団俳優小劇場の養成所に入所。その後、劇団新芸を結成し、劇団つかこうへい事務所の作品にも出演。1980年に一人芝居『審判』を上演するため、加藤健一事務所を設立。これまで文化庁芸術選奨新人賞、第11回読売演劇大賞優秀男優賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞などさまざまな賞を受賞。2007年に紫綬褒章を受章。年間3、4本のペースで公演を行い、主役を演じ続けている。

風間杜夫
1949年4月26日生まれ。東京都出身。59~66年子役として活動。早大演劇科、俳小附属養成所を経て、72年「表現劇場」を旗揚げ。77年よりつかこうへい作品の主軸俳優として人気を博す。82年映画『蒲田行進曲』で脚光を浴びて以来、その演技力で高い評価を得て、数多くの演劇、映像作品をはじめ、幅広いジャンルで活躍。主な作品は、映画『初夜と蓮根』『青天の霹靂』、テレビドラマ『ごめんね青春!』『マッサン』、舞台『正義の味方』『ジュリエット通り』『死と乙女』など。これまで、紀伊國屋演劇賞個人賞、第58回文化庁芸術祭演劇部門大賞、第11回読売演劇大賞 最優秀男優賞など受賞。2003年には紫綬褒章を受章。

<あらすじ>
――パリのおしゃれなマンションに暮らすピエール(風間)には、一風変わった習慣があった。週に一度、これぞ!!と思う「バカ」をパーティーに連れて来て、笑い者にして楽しむという、ちょっと悪趣味なマイブームだ。
今夜のパーティーのゲストは、フランソワ(加藤)。国税庁勤めの変わり者だ。
しかし、パーティーを前にして、ピエールが突然ギックリ腰になってしまう…。
そこへやって来たフランソワは、ピエールの窮地を助けようと試みるが、やることなすこと、すべてが裏目に出てしまう。さらには、電話の向こうから色男のメノー(平田満)が乱入!事態はとんでもない方向に進み出す。

<出演>
風間杜夫、加藤健一、平田満[声の出演]、新井康弘、清水明彦(文学座)、西川浩幸(演劇集団キャラメルボックス)、日下由美、加藤忍

<演出>
鵜山仁

加藤健一事務所vol.93『バカのカベ~フランス風~』
<東京公演>
4月24日(金)~5月3日(日) 東京・本多劇場

<北海道・岩見沢公演>
5月11日(月)北海道まなみーる”岩見沢文化センター 中ホール
※この他、北海道、東北、近畿の演劇鑑賞会の公演もあります。

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