女性チャンネル♪LaLa TVで放送されたちょっと風変わりなアニメ『キョートカクテル』。京都木屋町の路地裏にある“カエル”がマスターを務めるバーを舞台に、客の男と女が恋に酔いしれる、ほんのり甘くてちょっとビターなカクテル(=ラブストーリー)を(ツッコミと共に)お届けする番組だが、この度めでたくもシーズン2が決定!そこで本作を生み出したヨーロッパ企画の石田剛太と“突っ込み役”諏訪雅に話を伺ってきた。過去、石田にはシーズン1スタート時に単独インタビューをしたが、諏訪の登場で今回はどんな話が飛び出すか…!?
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――初めはラブストーリーの部分は真面目に書いていたんですか?
石田:あの、今でもそうですし、ホント良く言われますけど、マジなんですよ。
諏訪:石田だけ真面目。
石田:いやいやいや(笑)
諏訪:ショートムービーを撮る大会があったんですけど、石田だけなんか変な恋愛ムービーを取ってて「何これ!」みたいな。「石田っていじられまくる傾向があるよね」って話してて。
そうしたらマネージャーが「それ、ラジオドラマでやりましょう!」って。もともと石田は真面目で、そのあたりがなんか祭り上げられてるというか、いじる前提でマネージャーも言ったというか・・・。
――石田さんはいじる前提だなっていうのはわかっていましたか?
石田:わかったというか、「なんかいじられてるなあ」って思っていただけで・・・。僕は普通に「いい話やしなぁ」って(笑)
諏訪:マジで「ロマンチックやん!」って時はありますよ。
石田:でもそれをいじられるのわかってるから、内面はいけてる男女のやりとりをイメージしつつ、キャラをちょっと不細工な男女にするとか、
諏訪:あの絵を描くってことは、“世界観”をいじってるんですよ。
石田:前に僕一人で取材させてもらった時も変な空気になりましたもん。「あ、こいつマジで恋愛観語ってるな」みたいな。それで今日諏訪さんにいてもらってる。「この人ネタで言っているんじゃないんだな?」ってまた思われちゃうから。
――(エンタステージで)以前取材させていただいた時も、恋愛を熱く語っていただいて。
諏訪:ええ!そうなの?彼女2年ぐらいハワイにいて帰ってこないのに?
石田:そうだね・・・帰ってこないね(笑)最近連絡もないし。
――石田さんの実体験やエピソードもこの作品に入ってるんですか?
石田:もともと男女はこうあるべきだとか、僕の中の恋愛観は織り混ぜていますね。本で読んでいいなって思ったものもあります。シーズン1でいうと、“朝、(京都の)大原に行く”とかはホントにありましたし。
彼女があそこに行きたいって言ったのは、前に他の男と行ったんだなって・・・そんな体験ありませんか?(笑)前の彼氏のデートコースとか、ここ行ったら楽しいんだよーとか、前の彼氏との思い出の場所に連れてこられた時の、なんていうか・・・
諏訪:うーん、優越感もありながら、ちょっとさみしさもあるというか。
――他のメンバーの実体験も?
石田:そうですね。シーズン2は他のメンバーにいろいろ取材して。僕のエピソードも枯渇してきたので、メンバーのエピソードを入れてますね。
――諏訪さんのエピソードは入ってますか?
諏訪:僕のはないですね。なんだろう・・・恋愛経験をあんまりしてないから?
石田:いや、ロマンチックな恋愛をしてないから(笑)。僕の聞く限りではね。あとあまり言わないし。
諏訪:確かにそんなに言わないね。
石田:僕の聞く限りでは、人づてに「こんなことあったよ~」って聞くくらいかな。この前は、京都にすごいおいしいタイ料理屋さんがあって、そこに彼女と一緒に行ったらしいんですよ。おそらく別れ話をするためにね。それをメンバーの一人が目撃したらしいんですよ。すごいおいしいタイ料理目の前にして、諏訪さんずっと下向いてたって(笑)
それもう、アニメでやりようないな・・・って。
諏訪:すごい食いしん坊のやつが、まったく手をつけないみたいな?
石田:言い寄られてめっちゃ落ち込んでるみたいなね。
――石田さんは恋愛を語りたいタイプですよ…ね!?
石田:語りたいっていうか・・・。聞きたいし語りたいって感じですね。
諏訪:だからすごいオープンですよね。ラジオでも彼女とこうだったとか話すし、メンバーにも普通に話すし。石田だけオッケーみたいな。
――諏訪さんは逆にそういう部分に照れがあるように思います。「オレ、そんなの語らないよ」という。
諏訪:そういう感じだと思いますね。
――それゆえに常連客が「気持ち悪い」ってツッコむ場面が多いという。
石田:結構言ってるんですか?(笑)
諏訪:うん、結構(笑)
――シーズン1の同棲のエピソード、すごかったですよね。
石田:うん(笑)あれもまさに僕の恋愛で、彼女が化粧するとこをみるのが好きなんですよ。綺麗になるための努力をしてるとこというか、あのアイラインを引く時の上向いてすごい不細工になるわけですよ。そこがね。
諏訪:不細工になるって思ってるほうがすごいよ。普通に素敵だなって思えばいいのに。一瞬不細工になるなって思ってるんでしょ?
石田:いや、どんな綺麗な人でも不細工になる瞬間だなって。ジェーン・バーキンだって、マスカラを塗る時だって、こう上向いて不細工になるなって。そういうのっていいですよね。
諏訪:不細工になるって・・・。外見のことばっかり言ってる。
石田:いやいや(笑)その瞬間を僕だけが見ることができるんですよ?同棲してたらですけどね。同棲しているけどあえて待ち合わせをするっていうときでも、待ち合わせ場所であった時に「あ、こんな服着てきたんだ」ってなるし・・・(笑)
――石田さんがおっしゃることはわかるんですけど、それを別にこの場で語らなくても…(笑)
諏訪:取材なのに・・・語っちゃだめって(笑)
石田:語らせてくださいよ。
諏訪:まあいろいろありますよね、女性の仕草とか。僕、あのアニメみてると「うるさい!」って感じる。「わかってるわかってる!」みたいな(笑)
――「バブル」の頃って石田さんご自身はその世代ではないと思いますが、なぜ好きなんですか?
石田:うちの父親がちょっとロマンチストというか、そういうのがあるんですよ。なんか“クサい”というか。
母親の名前が“るり”って言うんですよ。確か僕が中学の時に父親が「これお前にやるよ」って使ってた辞書をくれたんです。それでなんとなく辞書をペラペラしてたら・・・ふと気づいて。
“瑠璃(るり)”ってとこに線が引いてあったんですよ。それを見て「うちの父親は嫁の名前に線を引いてるんだ。なかなかロマンチストだなあ」って。
――それを素直に受け止めたんですか?
石田:素直にっていうか、そうですね。
――どうです?
諏訪:うぇぇぇぇぇぇ!!!!って感じ(笑)
石田:えー!(笑)でも、「いいなー」って感じになりました。愛し合ってるなって。
諏訪:僕、逆にそういう、見たくないところ見ちゃったら憤りを感じますね。でもそれを見て「いいな」って思っちゃうんでしょ?
石田:なんか父親が本当に母親のことを好きなんだなって。あとはバブルの時代だとトレーナーを肩から掛けるとか、そういうファッションが好きなんですよね。
――バブル時代は、女性といえば「ボディコン」でしたが、ああいうファッションも好きなんですか?
石田:ボディコンはなぁ。どっちかっていうとダボッとしたトレーナーとかが好きですね。薄いぴちっとしたジーパンに、
オーバーサイズの白いトレーナーみたいな。最近また流行ってきているんですけどね。白いニットで肩が若干落ちてるみたいな。
諏訪:ハンカチとかもだよね?ハンカチいいよー!って言ってる割には、一回もハンカチを使ってるところをみたことがないけどね。いつもいつも見せるだけ(笑)それで手をふいたりとかみたことないね。
――そういう石田さん像を、諏訪さんはどうみているんですか?
諏訪:石田は真面目にやって、それを「ツッコんで」っていう。(『キョートカクテル』と)一緒ですよね、図式が。一歩引いて、おぉ・・・みたいな。それがこともあろうにシーズン2になるとは。予想できましたか?
石田:いやいや。そうだろうなと思いましたよ(笑)女性はロマンを求めてるんですよ(笑)
――視聴者は石田さんが作り出すラブ・ストーリーに惹かれたのか、それとも最後の諏訪さんのツッコミに惹かれたのか・・・?
石田:最後は「ツッコミ」で爽快に思えるっていう部分は確かにあると思うんですよね。ただ8割以上の人は、酔いしれてますよ、このストーリーに。
――8割もですか・・・
石田:結局、ツッコミいれながらも、「これいいなぁ」って思ってる人もいるはず。
諏訪:こんなこと言っといて、シーズン2ではツッコミパートが増えて、そっちのほうに寄せてるっていうね。
――監督としてもツッコミをくみ取ってる部分があるという?
石田:結構早い段階でツッコみたくなるみたいで。最後まで待てないみたいな。
諏訪:3分も待てないみたいな、ね。
石田:そうそう!だから間に入れようか、みたいな。マスターのカエルと、ヒロシのやり取りを入れて、まだまだあるから続きを、みたいな感じでやってますね、シーズン2は。
――シーズン1を見ていると、ストーリーやキャラクターの印象が強すぎて、背景の京都の風景が入ってこないんですよね。それでもう一回見てみようっていうのが続いて。これは狙いなんですか?
石田:いやいや狙いじゃないですよ(笑)
――例えば京都の方とかは、ロケーションが「あぁ京都なんだな」っていう感覚があったり?
石田:あると思いますよ。それとプロデューサーの山田雅子さんから、「女子は京都が好きだから、全部京都のどこかの場所にしたら面白い」って言っていただいて。僕も京都はよくデートで行ったりとか、バーで飲んだり、ごはん食べたり、常連さんみたいな感じなので。でも見た人から「京都いいですね」とか「鴨川いいですね」とか言っていただきますね。
――絵へのこだわりはありますか?
石田:絵はもうイラスト担当のヨーロッパ企画メンバー・角田貴志にお任せですね。なんとなくのイメージはあってそれを伝えたりはするんですけど。
回によってこんな感じがいいなとか伝えますけどね。ウディ・アレンってあんなビジュアルでめっちゃ持てまくるじゃないですか。ミア・ファローは背も高くてすらっとしてて美人で・・・で、あの才能しかないウディ・アレンとちゃんと恋愛になる。変だなとか思いながらも、見ていくうちにすんなり入っていくというか。
――そういったイメージを伝えて、そのまま予想通り出てくるものなんですか?
石田:そうですね。面白い顔してるなぁって(笑)女性の顔とか特にね。「ひどい顔だな、これ」って。
最近東京でお仕事させていただくことが多いんですけど、駅の構内とか、エスカレーターでも抱き合ってる人がいるんですよね。そのカップルってだいたい美男美女じゃない。海外とかは美男美女がキスとかしてるじゃないですか。日本では見ないんですよね。でもそういうところを僕はリアルだなと思いますし…。恋愛に客観性はいらないと思いますよね。
諏訪:名言出ました。
石田:ほんとに主観で貫いてほしいですよね。
諏訪:(吹替えの時は)ビジュアルなしでやるので、ビジュアルに対してのツッコミがない。まずビジュアル突っ込むだろ!っていうね。一度シーズン2でビジュアルをいじってみたんですけど、ちょっと外見をいじるっていうのはなんか違うなと。それでやめましたね。
石田:ちなみにそれは(某有名芸能人の名前)ですね。
諏訪:絶対それネタ元、明かしちゃだめでしょ!(笑)
――いままで怒られたことはないですか?
石田:今のとこ苦情はないですよ。ロケをしたバーの方にはすごく喜んでもらえますし。
――元カノや今カノにも怒られません?
石田:ないですよ。全然。でもどっかちょっと可愛らしいから。LINEスタンプを作ろうとかも。
――音声付ですか?
石田:いや、吹き出し文字ですね。「ラブソング一曲分の話をしようか?」とか。
諏訪:“ラブソング一曲分の話”って、時間なのか、内容なのかって話ですよね。一曲分だから5分くらいの話をするのか、そんな内容の話をするのかっていう。
石田:いやいや両方です。一曲分の、どんな恋愛してきたの?みたいな会話ですね。
――そんな…しゃべりますかね?
石田:しゃべりますよ!聞きたいですもん。
諏訪:逆に取材したいですよね。
石田:飲みにいったりしたら聞きますよね。どんな恋愛してきたの?とか。探り探り聞いて、デートとかどんなところ行くのが好きなのかとかを聞き出していく。そうするとすごくしゃべってくれますね。女性は語りたがってると思いますよ。
――石田さんの取材やエピソードが続く限り、シーズンは続くのでしょうか?
石田:そうですね。
――最終的にはどこを目指していますか?もしかしてリアルを目指しているとか?
石田:あぁ・・・でもいいですよね、ああいうの。
――その結果、ヨーロッパ企画を脱退することも?
石田:いやいや、十分やりながらでもできると思うんですけど(笑)
みなさんに共感してもらえるように、恋愛のエピソードを積んで、酔いしれさせたいです。
――諏訪さんはどうですか?「酔いしれるものではない」という部分では?
諏訪:それはちゃんと世に伝えていく。「使命」のような。
――なんだかんだであの常連客も恋愛しますもんね。
諏訪:割としますね。
――シーズン2のこれまでとは違う見どころがあれば教えてください。
石田:やっぱりツッコミどころが増えてるってところかな。やり取りが増えてますからね。
――名前も明かされるんですよね?
石田:そうですね。シーズン1でヒロシって呼んでなかったですからね。
諏訪:へー!そーなんだ。明かされるんだ。面白いなこれ(笑)
石田:常連客も恋愛をして変わっていったりとかね。以前、クリスマスバージョンを特別編でやったんですけど、あれは完全にヒロシのエピソード。彼女がすごく可愛い女の子で。それがどうなっていくとかは、やっていくうちに考えて、ですね。
諏訪:シーズン2でカエルの話もあるんでしょ?
石田:そうですね。カエルの話もちゃんと。
諏訪:カエルをツッコめなくて、そういう世界観だと思ってたらいろいろ出てきて。これ言っていいんだ!みたいな(笑)
自由だな~って。言っちゃいけない部分かと思いましたよ。
――カエルだろ?とかのツッコミって脚本にはなってるんですか?
諏訪:基本的には脚本になっているんですけど、プラス気になるとこを自分で突っ込むみたいな感じですね。
台本通りですけど、比較的自由にね。
石田:僕が女性の髪形についてどうしても語りたくて。髪の毛束ねるときにヘアゴム口にくわえるんですよ。その仕草が
めちゃくちゃ好きで、これをこいつに語らせたらって。でもこいつカエルだしなーって。それでヒロシが突っ込まないのもおかしいなと思って、「お前カエルじゃん」みたいな。
――でもなんでカエルなのかってとこは明かされないんですよね。そこをやったら面白いかも。
石田:あ、面白いですねそれ。最初はイメージというか、人間にするよりカエルのほうが雰囲気が柔らかくなるんじゃないかって案が出て、意図的にしたんですけど。書いてるうちになんでカエルなんだろって思います。
『紅の豚』みたいなことを考えたら、なぜかカエルになってしまった…みたいな感じに後付けでオマージュにしちゃおうかな?
『キョートカクテル』シーズン2
女性チャンネル♪LaLa TVにて2015年6月15日(月)スタート 毎週月曜24:45~
声の出演:高阪勝之・福井菜月・石田剛太・諏訪雅
脚本・監督:石田剛太
演出:柴田有麿・角田行平・山口淳太
イラスト:角田貴志
フラッシュアニメ制作:西村直子・森本萌黄
音楽:村角ダイチ