藤沢文翁原作・脚本・演出、東宝演劇部制作のタッグによって生まれた音楽朗読劇のトップブランド「VOICARION(ヴォイサリオン)」。その立ち上げ公演を飾った名作『Mr.Prisoner(ミスター・プリズナー)』の再々演が、2024年8月21日(水)に開幕し、上川隆也、林原めぐみ、山寺宏一というオリジナルレジェンドキャストが再集結した。
プレミア音楽朗読劇 VOICARION(ヴォイサリオン)とは
プレミア音楽朗読劇VOICARIONとは、劇作家・演出家の藤沢文翁が東宝株式会社とタッグを組み、2016年にスタートさせたシリーズ。役者がマイク前に立ち、台本を持って演じる「朗読」スタイルで、一流の役者たちの表現力と、同じく出演者の一人として物語を彩る生演奏、美しい照明・美術、役者一人一人に合わせ丁寧に仕立てられた衣裳によって、観客の持つ無限の想像力を掻き立てる公演として、人気を博している。
『Mr.Prisoner』は、19世紀の英国を舞台とした物語。ロンドン塔(Tower of London)地下3階には光を通さない分厚い鉄扉の独居房があった。そこには一人の囚人が幽閉されていて、囚人の周囲には、不思議な指示が出されていたという。
「牢屋番は耳の不自由なものにせよ」
囚人番号252号。彼は、「絶対に声を聞いてはならない囚人」と呼ばれていた――。
初演から8年の時を経て、強い信頼関係で結ばれた上川隆也・林原めぐみ・山寺宏一の共演
出演者一人目は、日本を代表する国民的俳優・上川隆也。本作の初演を経て「声で伝えることに対する意識がガラリと変わった」という上川が、その日の微細な息遣いや音楽の音色の違いまでもを感じ取り発する言葉は、朗読劇ということを忘れさせるような奥行きや深みで観る者に語りかける。
そして、彼をもってしてなお「追いつけない」と評する共演者は、レジェンド声優である林原めぐみと山寺宏一。林原は今回の公演のためだけに単身渡英し、物語の舞台となっているロンドン塔を訪問したそうで、実際のロンドンの空気を纏い、更に深化した繊細な演技で物語を牽引する。
山寺は「このメンバーでこの作品をお届けして面白くないと言われたら声優を辞めてもいい」とまで宣言するほど、格別な想いで大切に演じてきた。“七色の声を持つ”と称される山寺が“絶対に声を聞いてはならない”囚人を演じるこの物語は、作家・藤沢文翁が山寺に宛てたラブレターでもある。
「どんなに素晴らしい場所でも逃げ出したいと思ったらそこが牢獄になってしまう」
日常、たくさんの「牢獄」が目に入る時代になってしまった現代、それぞれの見えない「牢獄」から抜け出す鍵を手に入れる、美しい物語。初演から8年の時を経て、強い信頼関係で結ばれた出演者3名が「朗読」を通じて生み出す世界にひたれるのが楽しみだ。
プレミア音楽朗読劇VOICARION『Mr.Prisoner(ミスター・プリズナー)』は、8月21日(水)から9月1日(日)まで東京・シアタークリエにて上演。
キャストコメント
山寺宏一
待ちに待った『Mr.Prisoner』再々演、開幕しました!
沢山のお客様の前で演じられることの喜びを噛み締めています。
自分の集大成ともいえる大大大好きな作品です。自分が書いた訳ではありませんが(笑)。
それくらい、今まで声優として培ってきたものをすべて表現できたらと思っております。
生きていく上で大切な言葉がたくさん散りばめられた美しい作品。演じていていつも涙と鼻水が止まらないのですが・・・なんとかそれを堪えて、お客様に感動していただけるように。200%信頼できる共演者、スタッフに囲まれて、あとは自分が頑張るだけです。
これが面白くないと言われたら、もう朗読劇には出ません。声優を辞めます!
・・・なんて思うくらい、おすすめの作品。是非、観ていただきたいです!
上川隆也
山寺さんが不穏なことをおっしゃっていますが、私と林原さんで全面的にお止めいたしますので、まずファンの方々はご安心いただきたいと思います(笑)。
最初にご一緒した2016年から数えて8年目。三演目を迎えた『Mr.Prisoner』ですが、実に新鮮に作品向き合えています。
限られた稽古期間で的確に演出してくださる文翁さんと、それをしっかりと具現化される山寺さん、林原さんという共演者を目の当たりにして、僕自身も5年前、8年前とは決して同じではいられなかったというのが真相だと思います。
こうして初日を迎える直前の空気も、和んでいるようで、実は目に見えないピリピリ感があり、しかしそれも心地良いものだと感じています。こうした演劇環境の中でお客様と向き合えることを、本当に幸せに思います。新たな『Mr.Prisoner』をお届けできる強い予感とともに、お客様の前に臨みたいと思います。
林原めぐみ
日頃は声優として、人からは見えないところで仕事をするのを生業としておりまして、外に出るのは大変苦手なのですが、山寺さんや上川さんや、本当に素晴らしい脚本とスタッフの皆さんに囲まれて、こんな私を外に引っ張り出していただいて、日の目を見る場所に連れてこられるというのもすごく運命だなと感じているところです。ロンドン塔の地下3階ですけれども(笑)。日頃演じている姿を皆さんにお見せすることのない仕事ですけれども、キャラクターを行き来して、時代を行き来して、皆さんの脳裏に景色をお届けする誘い人となるべく、五十路を越えてまさかの初体験となる2週間という公演期間、楽しみながら、そして、引き締めながら、挑みたいと思っています。よろしくお願いします。