ちょっと天気の悪い日が続く中、桜の満開まで秒読みな4月。今月も多くの舞台・ミュージカルの幕が上がります。今回、その中でも編集部が気になっている作品をご紹介します。
4月の注目ミュージカル
ミュージカル『VIOLET』(4月7日開幕)
2024年4月から5月にかけて、東京、大阪、福岡、宮城で上演されるミュージカル『VIOLET』。本作は、梅田芸術劇場と英国チャリングクロス劇場との日英共同企画として立ち上がった作品で、演出家・藤田俊太郎が、単身渡英して現地キャスト・とスタッフと共に、2019年にロンドンにて「英国キャスト版」を上演。オフ・ウエストエンド・シアター・アワード(TheOffies)で栄誉ある「作品賞」を含む6部門にノミネートされ注目を集めました。コロナ禍による公演中止を乗り越え、東京のみ3日間の限定上演で「日本キャスト版」が実現した2020年公演から4年経ち、今回再演となります。
三浦透子、屋比久知奈、東啓介、立石俊樹、sara、若林星弥、森山大輔、谷口ゆうな、樹里咲穂、原田優一、spi、生田志守葉、嘉村咲良、水谷優月らが出演し、幼い頃に顔に大きな傷を負ったヴァイオレットが、あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会う為、自らの人生を切り開く為、人生初の旅に出る姿を描き出します。勇気を出して一歩を踏み出し、自分の人生を切り開いていくヴァイオレットの旅をぜひ見届けてください。
ミュージカル『王様と私』(4月9日開幕)
2024年4月9日(月)から東京・日生劇場で上演されるミュージカル『王様と私』。リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン二世の代表作として、世代を越えて世界中で愛される本作は、1952年第6回トニー賞作品賞、主演女優賞を含む5部門を受賞。日本では1965年に日本初演を迎え、日生劇場公演は1996年9月以来、28年ぶりの上演となります。
価値観の異なる者同士が衝突を繰り返しながらも心を通わせてゆく姿、友愛の精神こそ、この作品の持つ普遍的なテーマであります。それを「Shall We Dance?」をはじめとする名曲の数々とステージングが、物語を一層盛り上げていきます。
欧米列強の干渉から国を守り、独立自尊と発展を目指す王様役はミュージカル初出演となる北村一輝が務め、同じく主演のアンナ役は明日海りおが演じます。その他、朝月希和、竹内將人、木村花代、中河内雅貴、今拓哉、小西遼生ら実力派のキャスト陣が集結し、世界的な名作の伝統を受け継ぎつつ、多様な価値観に溢れる現代にふさわしい、新演出版の『王様と私』を描いていきます。
丸美屋食品ミュージカル『アニー』(4月20日開幕)
2024年4月20日(土)に東京・新国立劇場 中劇場で開幕する『アニー』は、1924年からアメリカの新聞で連載された漫画「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さい孤児アニー)」をもとに、1977年にブロードウェイでミュージカル化。同年のトニー賞では作品賞を含む7部門を受賞。映画化もされた世界中で人気作です。
1933年のニューヨーク、世界大恐慌直後の街を舞台に、誰もが希望を失っているなか、孤児院にいる11歳の女の子アニーが逆境にひるむことなく前向きに生きている姿を描く本作。日本では1978年に初上演。1986年から日本テレビが主催した公演は今年で38年目を迎え、日本中で愛されている国民的ミュージカルともいえる作品です。
「アニー」というキャラクターが誕生してちょうど100年となる2024年のアニー役(Wキャスト)は、岡田悠李、絢田祐生が務め、そのほか、藤本隆宏、須藤理彩、笠松はる、財木琢磨、天翔愛らが出演しています。
4月の注目舞台
『あのよこのよ』(4月8日開幕)
2024年4月8日(月)に東京・PARCO劇場で開幕する舞台『あのよこのよ』。本作は、緻密な人間描写と卓越した発想力で、ジャンルにとらわれず、常に演劇界の第一線を走り続けている青木豪が新たに書き下ろす爽快エンターテインメント。
江戸の幕末から大転換期を迎えた明治黎明期を舞台に、とある浮世絵師とそれを取り巻く人々が、ひょんなことから事件に巻き込まれ珍道中に繰り出す姿を描きます。先行き不透明でどこへ向かっているのかさえ分からないご時世に、足が地に着かない人々が戸惑い彷徨うさまを、青木特有の作風で爽快感あるエンターテインメントへと昇華させます。
主演を務めるのは、『マニアック』以来、青木と5年ぶり2度目のタッグを組む安田章大。今作では明治初期を生きる架空の浮世絵師・刺爪秋斎(サシヅメシュウサイ)を演じます。
『トンカツロック』(4月19日開幕)
2024年4月19日(金)から大阪・大阪松竹座で上演され、その後、東京、愛知、石川を巡演する舞台『トンカツロック』。商店街で繰り広げられる3人の男たちの悩みと葛藤、そしてトンカツ屋「助六」をめぐり巻き起こるロックな人情物語を描いた本作。
2002年に全国3都市で上演。初演は坂本昌行、長野博、井ノ原快彦によるユニット「20th Century」の3人が主演を務め、人を傷つけ自分も傷ついた過去を抱えながらも、再生し、今を必死に生きていく若者たちを好演し話題を呼びました。今回、約20年の時を経て「20th Century」が演じた3役を岩崎大昇、那須雄登、金指一世が演じ、その他、森迫永依、山崎玲奈、柳美稀、星田英利、楠見薫、有馬自由、伴美奈子らが出演します。
Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演 『儚き光のラプソディ』(4月28日開幕)
2024年4月28日(日)から東京・明治座で上演されるDaiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演『儚き光のラプソディ』。1994年に岸谷五朗と寺脇康文により結成された演劇ユニット「地球ゴージャス」。結成30周年を迎える2024年は、2018年の『ZEROTOPIA』から6年振りの新作です。
物語の舞台は、謎の白い部屋。その部屋に、“逃げ出したい”という思いを強く持った7人の男女が、時空を超え、さまざまな場所から集まって・・・という物語が描かれます。出演は岸谷五朗、寺脇康文に加え、地球ゴージャス初参加となる中川大志、岸谷の信頼厚く、10周年、20周年公演に出演し周年公演に欠かせない存在となっている風間俊介、中川と同じく初参加となる鈴木福。更に、三浦涼介、佐奈宏紀、保坂知寿ら総勢25名で描き出していきます。
(文・エンタステージ編集部3号)