2024年2月21日(水)に東京・品川プリンスホテル クラブ eXにて、特殊ミステリー歌劇『心霊探偵八雲』-呪いの解法-が開幕した。初日前には公開ゲネプロと取材会が行われ、出演する後藤大、笹森裕貴、永田聖一朗、田中涼星、そして原作者である神永が登壇し、作品について語った。
本作は、神永学の大人気ミステリー小説「心霊探偵八雲シリーズ」の主人公・斉藤八雲と、同じく神永の代表作「確率捜査官 御子柴岳人」シリーズの主人公・数学者で大学准教授の御子柴岳人が「霊視×数学」の最強バディとなり、事件解決に挑む姿を“歌劇”として描く第2弾となっている。
開幕に向け斉藤八雲役の後藤は「初日を前に緊張しますが、その言葉を使うと“バイアス”がかかってしまうので、全力で一瞬一瞬を楽しみたいと思います!よろしくお願いいたします」と意気込み十分。
御子柴岳人役の笹森も「今は本当にワクワクした気持ちと、ワクワクした気持ちと、ワクワクした気持ちでいっぱいです!」と“ワクワク”三拍子を唱える。
矢口皇聖役の永田は「囲み取材を受けるのが3年ぶりぐらいになりますので、ちょっと緊張しますが、素敵な囲み会見にできたらと!」と小ボケを挟みつつ(昨日から準備していたそう)、「僕が演じる矢口という役は、原作では女性なんですが、僕が今回も引き続き演じさせていただきます。舞台ならではの矢口を楽しんでもらえるように頑張ります。よろしくお願いします」と語った。
前山田一歩役の田中は「この作品は、一人一人がパズルのピースを持っているような感覚で、それをみんなで埋めていくような作業をしながら、えー、最後に、お客様自身が思考して考察して楽しめるような作品になっていると思うので、最後にパズルを完成させられるように、精一杯頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。
原作者の神永は、歌劇の第1弾が上演された際、演出を担当する三浦香に「2作目の方が大変だよ」と強くプレッシャーをかけたそうで、「僕のスタンスとしては、作品の世界観を共有しながらも自由に表現してくださいというオーダーをしていたんです。とにかく、僕を楽しませてくださいと。最初にシナリオを読んだ時・・・三浦さん、やりやがったな!と思いました。もちろん、いい意味で」とにっこり。
「2弾目として舞台ならではのパワーアップを感じました。それは 単純に演出の部分だけではなく、人間の心情の部分まで。原作との違いはあるのに、 描かれている心情の部分はしっかりと八雲シリーズの深いところを突いていると感じたので、実際にお客さんがどう反応してくださるか、僕自身すごく楽しみです」と期待いっぱい表情を見せた。
神永が感銘を受けたという、“舞台ならでは”の見どころについて、田中は音楽を挙げた。「とにかく楽曲がどれもおもしろくて素敵なものになっています。結構、劇場空間を存分に使った演出などもあります」とアピール。
永田は「神永さんの書いてくださった原作の世界観を大切にしつつ、歌劇としての楽しい空気もあり、ミステリーとしてのハラハラドキドキもあり。細かい仕掛けもすごくたくさんあるので、何度でもご覧いただけたら嬉しいです」とコメント。また、永田は役について分からないことを神永に相談に行ったりもし、細部まで役作りにこだわっていたようだ。
自分が出演している場面以外で「あるシーンに刺激をもらった」という笹森は、「本当にごまかしの効かない、熱量で勝負しないといけないシーンがあるんですが、稽古を見ていて、熱量って時には技術を超えてくるんだなということをものすごく感じました。いかに全員が最初から最後まで熱量を高く持てるか。劇場がぶっ壊れるぐらいの気合いを入れれば必ずいいものになると信じておりますので、僕もこの作品の一員として全うしたいと思います」と意気込む。
後藤も「神永さんも言ってくださったように、グレードアップした八雲の物語を届けられると心底思います。あとは、香さんの小道具のギミックが本当に面白くて、細かくて、八雲の世界観といいシンフォニーを奏でています。めちゃくちゃ大変なんですけど(笑)。そこもまた、舞台ならではの楽しみかなと。僕らも楽しみながら全力でやっています」と語った。
現在、続編を執筆中という神永は「こんなに面白くされたら超絶書きにくい(笑)。ちょっと嫉妬しました。こんな描き方があったのか、こんな台詞の言い方があるのか、動き、視線、全部が刺激的で。舞台のオリジナルキャラクターを原作に逆輸入するかもしれません。誰を、とは言わないけど」と示唆。まさに舞台オリジナルキャラクターを演じる田中は「ぜひお願いしたいです!」と目を輝かせていた。
さらに神永は「すでに3作目もやってほしいです!次はいつですか?三浦さんにはもっとプレッシャーかけるけど(笑)」と前のめり。「まだ(第2弾も)始まってないんですけど、それぐらい、自信を持って言える。俺だけじゃないはず」と力を込めた。
最後に、後藤は「八雲シリーズはいろいろなメディアミックスがありますけれども、舞台ならではのものをお届けできるように、一丸となって千秋楽まで精一杯駆け抜けていきたいと思っております。怪我のないよう、健康第一で、ちゃんとコミュニケーションを取りながら1つの作品を作り上げていけるようがんばりたいと思っております。よろしくお願いいたします!」と締めくくった。
物語の舞台は、八雲たちが通う明政大学。迫る学園祭に向け、ミュージカルサークルは活気づいていた。しかし、そのサークルにはある“噂話”があった。実際に、演者が失踪するという事件が起きたり、使用している大学の講堂で不可思議な現象が起こったり。
「斉藤八雲には超能力があり、心霊事件を解決できる」
准教授の御子柴岳人が流した宣伝文句によって、八雲のもとにミュージカルサークルの部員たちが相談に訪れる。乗り気ではない八雲だったが、霊障に興味津々な御子柴にひっぱられ、しぶしぶ引き受けることとなる。
しかし、昔から囁かれていた心霊絡みの噂話の裏には、迷宮のように入り組んだ人間模様が息をひそめていた。八雲と御子柴は、複雑に絡み合った“呪い”をどのように解いていくのか――。
まず、劇場に入ってステージの形状に驚いた。クラブeXといえば円形のステージが使用されることが多いが、今回は細長い長方形のステージがランウェイのように伸びていた。座席によって目に見える光景がまるで違う。私たちは、どんなに心を通わせた相手でもそのすべてを知っているとは言えない。人間の表と裏を視覚的に突きつけられるような感覚になった。
さらに、凹凸のある床面はチェス盤のように色付けられ、ポーンの駒や抜き差し自在なポールが空間を区切る。散りばめられた文字や数字が俳優たちの手で架け替えられていく様は、まさに“思考”の具現化のようだ。
ミステリー作品ならではの、人間の濃くて深い感情をえぐるように描きながらも、“歌劇”ならではの華やかな表現が楽しい。キャラクターの性格を強調するような個性的な楽曲や、縦導線を活かしたダイナミックな振付、そして対照的な繊細な芝居。それ故に、真実が明らかになるにつれて物語の陰影は深まる。八雲と御子柴、“最強バディ”はどのようにして生まれたのか。舞台作品として導いた“解法”が、物語をまた、強くする。原作者の神永が望んでいたように、このカンパニーの先をまだまだ観たい。
特殊ミステリー歌劇『心霊探偵八雲』-呪いの解法-は、2月21日(水)から3月3日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXにて上演。上演時間は約2時間30分(途中休憩なし)を予定。一部日程ではアフタートークが行われ、原作者の神永をはじめとするゲストの登壇もあり。
なお、DMM TVにて3月3日の2公演がライブ配信されることも決定した。
\[PR!]DMM TVでライブ・アーカイブ配信あり/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
特殊ミステリー歌劇『心霊探偵八雲』-呪いの解法- 公演情報
上演スケジュール
2024年2月21日(水)~3月3日(日) 品川プリンスホテル クラブ eX
スタッフ・キャスト
【原作】神永学「心霊探偵八雲 INITIAL FILE 魂の素数」(講談社刊)
【脚本・演出】三浦香
【作詞】堤泰之 三浦香
【音楽】KYOHEI
【振付】IYO-P
【出演】
斉藤八雲役:後藤大
御子柴岳人役:笹森裕貴
矢口皇聖 役:永田聖一朗
水川栞役:齋藤かなこ
白井解役:土屋直武
松永弦太役:前田隆太朗
川端上也役:広井雄士
前山田アンカ役:髙橋美海
横澤健一役:小黒直樹
矢口更紗役:髙橋果鈴
塩谷冨美香役:橘二葉
縦川雅巳役:福島海太
右手川雷人役:吉澤翼
左近字宗介役:長塚拓海
七目秀樹役:鎌苅健太
前山田一歩役:田中涼星
御子柴岳彦役:佐野大樹(友情出演)
アフタートークスケジュール
2月22日(木)19:00
後藤大、笹森裕貴、土屋直武、前田隆太朗 MC:鎌苅健太
2月27日(火)19:00
吉澤翼、長塚拓海、田中涼星、立花裕大(ゲスト) MC:佐野大樹
2月28日(水)14:00
後藤大、永田聖一朗、前田隆太朗、田中涼星 MC:鎌苅健太
2月28日(水)19:00
後藤大、笹森裕貴、小黒直樹、福島海太 MC:鎌苅健太
2月29日(木)14:00
永田聖一朗、広井雄士、福島海太、井阪郁巳(ゲスト) MC:佐野大樹
2月29日(木)19:00
後藤大、笹森裕貴、神永学(ゲスト) MC:佐野大樹
3月1日(金)14:00
永田聖一朗、吉澤翼、長塚拓海、田中涼星 MC:佐野大樹
3月2日(土)13:00
齋藤かなこ、髙橋美海、髙橋果鈴、橘二葉 MC:鎌苅健太
3月2日(土)17:30
笹森裕貴、土屋直武、広井雄士、小黒直樹 MC:佐野大樹
ライブ配信
配信プラットフォーム:DMM TV
【配信日時】
2024 年 3 月 3 日(日)13:00 公演
2024 年 3 月 3 日(日)17:30公演(千秋楽)
【視聴チケット販売価格】
各公演:3,800 円(税込)
公式サイト
【公式サイト】https://yakumo-stage.jp
【公式X(Twitter)】@stage_yakumo
(C) 神永 学・講談社/歌劇「心霊探偵八雲」製作委員会