白井晃×水嶋凛×和田雅成が神秘的で美しい愛の物語を紡ぐ 舞台『エウリディケ』レポート

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白井晃×水嶋凛×和田雅成が神秘的で美しい愛の物語を紡ぐ 舞台『エウリディケ』レポート

2024年2月4日(日)に東京・世田谷パブリックシアターにて舞台『エウリディケ』が開幕した。初日前日には公開ゲネプロと開幕直前取材が行われ、水嶋凛、和田雅成、崎山つばさ、栗原英雄、演出の白井晃が登壇した。

本作は2007年にニューヨークで上演され好評を得たアメリカの劇作家サラ・ルールによる戯曲『エウリディケ』の日本初演となる。演出は2017年の『オーランド―』に続きサラ・ルール作品とタッグを組む白井晃が務める。

白井晃×水嶋凛×和田雅成が神秘的で美しい愛の物語を紡ぐ 舞台『エウリディケ』レポート

エウリディケ(水嶋)は、音楽家であるオルフェ(和田)と愛し合い結婚を約束する。エウリディケの亡くなった父(栗原)は娘の幸せを願い死者の国から手紙を送る。

結婚式当日、パーティの喧騒から抜け出したエウリディケは危険でおもしろい男(崎山)に声をかけられる。エウリディケは男を相手にしないが、男はエウリディケの父からの手紙を拾っていた。男はその手紙を渡すと約束し、高層階にある彼の部屋にエウリディケを連れていく。

男の誘惑から逃れ手紙も取り戻したエウリディケだが、足を踏み外し長い階段を転げ落ちて死んでしまう。死者の国でエウリディケは父と再会する。しかしエウリディケは「忘却の川」によって全ての記憶を失っていた。

エウリディケは地下の国の王(崎山)に見初められるが、石達(櫻井章喜・有川マコト・斉藤悠)に見守られ、父親の愛によってエウリディケは徐々に記憶を取り戻していく。一方オルフェはエウリディケを失った悲しみを抱えながら、彼女を探し続ける・・・。

取材会で、それぞれの役どころを聞かれると水嶋は「エウリディケを演じ続けていると私もおてんばな子になりそうです!感情も豊かで素直で真っすぐな子になりそう」と笑うと、すかさず栗原が「いいじゃないか!」と本当の父親のように頷いていた。

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栗原は水原の印象を「天真爛漫で、でも良い意味で少し抜けているところもあって素敵でキラキラしています」と答え、「オルフェに取られるのがちょっと悔しいな」といたずらっぽく笑った。

和田は「音楽を愛し、エウリディケを愛し、この日々が幸せに溢れています」と今の気持ちを語る。地下の国の王と危険でおもしろい男の二役を演じる崎山は「まだまだ二つの役に対して見つけられていない部分が多いです。でも今日のゲネプロでの反応を見て新しい気づきも得られました。自分なりにどんどんブラッシュアップしていければと思います」とゲネプロを終えての感想を述べた。

白井もゲネプロと終えて「上々の出来だった」と手ごたえを感じていた。またエウリディケは約2ヵ月稽古期間、若いキャストたちの成長に「どんどん伸びていってくれるから、どんどん稽古をしたくなる」と驚いた日々を語った。

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水嶋と和田は白井から毎日朝練も受けたそうだ。「基礎的な発声の仕方から表現の幅を広げてくださった」と水嶋と和田は感謝を語った。稽古が始まる1時間前から行われたそうだが白井は“朝練”という言葉に引っかかったようで「あれは昼だよ」と答えるも、水嶋から「私たちからすると朝ですよ!」と笑いあっていた。

栗原と白井も今回が初仕事だったが「(栗原は)とても信頼できる役者で稽古場の守護神のようにリードいただけました。僕が言いたいことを“白井さんが言いたいことはこういうことだよ。こうしてみたら?”と仲介役もしてくださいました」と話す。水嶋も栗原に「本当のお父さんのようにアドバイスをくださいました。これからもどんどん親子の絆を深めていきたいです」と微笑んだ。

和田は普段稽古場で言われた言葉をノートに書きだしているそうだが、他の作品では5ページくらいになるのを本作では36ページあったと明かした。「それだけ白井さんから言葉をいただけたというのが僕にとってはプラスしかないです。この36ページ分しっかりオルフェを生きようと思います」と意気込みをみせた。

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登壇したメンバーの中で唯一白井作品を過去も演じている崎山は、白井から前回からまた成長しているという言葉に喜びつつ、「前回は崎山くんと呼ばれていたのが、今回はつばさと呼んでくださってそれが嬉しかったですね」と距離が縮まったことに喜びをみせた。

また和田と崎山は今回同じ楽屋だそうで、お互いにがんばっていこうと鼓舞しあったり熱い話をしたり、和田の趣味の格闘技に崎山もはまったりと良い時間を過ごしているようだ。崎山は和田との共演を「他の作品でも共演はしていたが、ここまでがつり話すことはしてなかったんです。でも考え方も近いし、芝居に対する姿勢とかも尊敬します。一緒にいて楽だとも感じます」と語った。

最後に水嶋は「この作品は白井さんと皆さんとで1から作り上げていった作品です。是非観に来てください」と作品をアピールし会見を締めくくった。

“死者の国へ行った妻を探す夫”の物語は、ギリシャ神話にも「古事記」の神話にもある世界的に普遍なラブストーリーだ。本作では現代的にアレンジされ、林正樹のピアノ演奏と藤本一馬のギター演奏が作品をより情感豊かな世界へと導かれる。

白井晃×水嶋凛×和田雅成が神秘的で美しい愛の物語を紡ぐ 舞台『エウリディケ』レポート

水嶋演じるエウリディケは、水嶋の名前のごとく“凛とした”チャーミングな女性だ。翻弄されながらの意思をもった姿が魅力的だ。和田なオルフェは真摯に愛を伝え、真っすぐな光を刺してくる。崎山は、大人の魅力を持つ危険でおもしろい男と、子供っぽい地下の国の王という二つの役でスパイスを与える。そして栗原演じる父親の愛が深く優しく作品を包み込む。本作はエウリディケとオルフェのラブストーリーでありながら、エウリディケと父親の愛の物語でもある。

水も印象的に描かれる。エウリディケとオルフェが愛し合いながらふざけ合う海は、彼らの未来が広く平和なように、舞台上で実際に流れる水道は地下に続くようにも、流れる水が川のようにも変化していく。美しいライトに浮かび上がる愛溢れる世界に心も浸されていくように感じた。

舞台『エウリディケ』は、2024年2月4日(日)から2月18日(日)は東京・世田谷パブリックシアター、2月24日(土)・2月25日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。上演時間は約1時間30分(途中休憩なし)を予定。

(取材・文・撮影/一本柳歌織)

目次

舞台『エウリディケ』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2024年2月4日(日)~2月18日(日) 世田谷パブリックシアター
【大阪公演】2024年2月24日(土)・2月25日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

スタッフ・キャスト

【出演】
水嶋凜 和田雅成
櫻井章喜 有川マコト 斉藤悠
崎山つばさ 栗原英雄

【作】サラ・ルール
【演出】白井晃
【翻訳】小宮山智津子
【音楽】林正樹
【演奏】林正樹(ピアノ) 藤本一馬(ギター)

あらすじ

音楽家であるオルフェは、エウリディケと愛し合い結婚を約束する。結婚式当日、危険でおもしろい男に見初められてしまったエウリディケは、亡くなった父からの手紙を渡してもらえるという言葉につられ、彼が住むとても高い場所の部屋に行ってしまう。手紙を取り戻し彼の誘惑から逃れたエウリディケだったが、はずみで階段から足を踏みはずし、転び落ちて死んでしまう。死者の国で父親と再会したエウリディケは、父親からの愛によって「忘却の川」で消し去られた様々な記憶やオルフェと愛し合った日々の記憶を取り戻す。
一方、オルフェはエウリディケを探し続け、とうとう地獄の門までたどり着く。自らの歌によってエウリディケを取り戻せる可能性を掴んだオルフェだったが、地下の国の王から「振り返って決して彼女を見てはいけない」という約束をさせられる。そして・・・。

公式サイト

【公式サイト】https://eurydice-stage.com/
【公式X(Twitter)】@eurydice_stage

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