シリーズ累計100万本を超える大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作としたミュージカル『薄桜鬼』。2012年の第1弾公演から、「殺陣×ダンス×歌」を融合した新しいかたちのミュージカルを展開し、多くの人々を魅了してきた。
そんなミュージカル『薄桜鬼』の最新作で、2022年4~5月に上演された「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇」が、時代劇専門チャンネルで、10月22日にTV初放送される。さらに、上演10周年を記念して、10月から12月の3カ月にわたって第1作目から最新作までの計14作を一挙放送する。
10月28日深夜には、歴代の斎藤一役キャストから4名が集結した特別番組「ミュージカル『薄桜鬼』10周年記念特番『集まれ! みんな斎藤一PARTY』」の放送も決定。これを記念し、特別番組の収録を終えた松田凌と橋本祥平に、ミュージカル『薄桜鬼』への思いや斎藤一役としてのこだわりなどを聞いた。
――歴代の斎藤一役キャストが集まるという、貴重な機会でしたね。収録を終えた感想をお聞かせください。
松田:率直に嬉しかったです。このような機会を設けていただけるとは、自分が斎藤一を演じさせていただくと決まった10年前には想像もしていなかったことだったので。「こうして未来が繋がっていったんだな」と、感慨深い思いでしたし、そういう場に招いていただけたのだから存分に楽しもうという思いで収録に臨ませていただきました。
橋本:僕も同じく嬉しかったです。これまでミュージカル『薄桜鬼』という作品で、同じキャラを演じたキャストが一同に集まるということはなかったと思います。なので、本当に貴重な場を設けていただいたと思いますし、本当にありがたかったです。めちゃめちゃ楽しい雰囲気で収録できました。
――番組には、松田さん、橋本さんのほかに、納谷健さんと大海将一郎さんも出演されています。お二人の印象は?
松田:健は男らしく、潔い方ですね。収録でも「緊張する」と言いながらも、実は一番楽しんでいたんじゃないかな。いい意味で、自分の気持ちの持ち方を考えられる人で、それは彼が演じてくれた斎藤一にも表れているように思います。久しぶりに会いましたが、あまり久しぶりな感じもしなかったですね。
橋本:僕も健と会うのは久しぶりでした。別の作品で共演させていただいていますが、当時から印象は変わらず、かわいくて、その場を盛り上げてくれる人でした。それから、ずっと関西弁なんだなとも思いました(笑)。でも、その(関西弁と真剣なお芝居との)変化がいいですよね。またこうして一緒にお仕事ができて嬉しかったです。
松田:大海くんは、物腰が柔らかくて、とても優しい方なんだなと感じました。これ、言っていいのか分かりませんが・・・横顔が(ミュージカル『薄桜鬼』で沖田総司を演じた)廣瀬大介にそっくりなんですよ(笑)。斎藤を演じた大海くんに「大介に似てるね」と言うのもおかしな話になってしまいますが、とにかく似ていました(笑)。でも、お人柄も素晴らしくて、僕たちをまとめてくれて、とても心強かったです。
橋本:(大海は)本当に今回の収録で心強い存在でしたね。周りが見えていて、人間としてもとても素晴らしい方だなと思いました。共演はさせていただいたことがなかったんですが、以前に1度、お会いしたことはあって・・・収録でいい感じに距離を詰められたと思います。
松田:でも、今日、斎藤一キャストが集結して思ったのは、斎藤一ってクールなキャラクターじゃないですか。だからなのか、こういう場ではみんな爆発するんですよ(笑)。きっと4人とも根の部分では近いものがあると思いますが、斎藤一そのままだという方はいないよね。
橋本:確かにそうですね(笑)。
松田:それから、今回は来られなかったのですが、同じく斎藤一を演じていた赤澤燈くんからもコメントをいただきました。彼もとても優しく、役者やお芝居に愛がある人です。今日、いてくれたら、また違う空気感だったんじゃないかなと思います。
――斎藤一役キャストの皆さんに共通点を感じるところはありますか?
橋本:皆さん、こだわりを持って挑んでいたというのは共通点だと思います。
松田:そうだね。改めてこうして話してみると、強いこだわりを持っている役者が斎藤一を演じているような気がしますね。
橋本:役作りはそれぞれですが、一貫してしっかりとした信念があった。その信念があるからこそ不器用に見えるかもしれませんが、得意なことや好きなことに対する情熱は誰よりもある。それは、斎藤一にも共通するところかなと思います。
松田:収録で話したことで「そういう作り方もあるよね。そんなこだわりもあるよね」と改めて発見したことがたくさんありました。
――松田さんは橋本さんの、橋本さんは松田さんの斎藤一をご覧になってどんな印象を持っていますか?
橋本:この先、何年もこの作品が続いてほしいという願いもありますし、いろいろな方が演じる斎藤一を見たいとも思うんですが、きっと一生、僕の中の斎藤一は松田凌くんしかいないと思います。僕が、初めて劇場で演劇に触れて、衝撃を受けた作品が、凌くんが斎藤一を演じていたミュージカル『薄桜鬼』だったんです。なので、僕にとって凌くんは斎藤一そのものなんですよ。
松田:ありがとう。僕も私情を挟ませていただくと、僕が初めて演じた役柄が斎藤一です。「誰かに自分の役を受け継ぐ」という経験が僕にはない中、それでも「この人をおいて他にはいないだろう」と思ったのが橋本祥平でした。もちろん、先ほど話した健も大海くんも赤澤燈くんも彼らにしかできない、極めて素晴らしい斎藤一を演じていたと思います。ただ、健たち3人が受け継いできてくれた上で、この10周年で「斎藤一 篇」をもう一度上演するという時に、祥平がこの役を演じると聞いて、僕は報われたと感じました。
僕の中では、ミュージカル『薄桜鬼』の斎藤一は“僕の物語”だったんですよ。ですが、10周年の公演(ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇)を観終わった時に、「これは橋本祥平の物語なんだ」と思いました。悲しい言い方をしてしまえば、今後、僕が斎藤一を演じることは二度とないんだな、と。斎藤一は僕が演じてから始まりましたが、それは10年後に祥平が演じることまでが物語だったんだと思うくらい、僕の中では斎藤一は、橋本祥平です。
――橋本さんが斎藤一を受け継いだ時に、松田さんとはどんなやりとりをしたのか覚えていますか。
橋本:一緒に神社行きましたね。
松田:プライベートでマネージャーさんも含めて鎌倉の神社にお参りがてら伺ったんですよ(※松田さんと橋本さんは同じ事務所に所属しています)。その時に、「斎藤一をしっかり演じます」って(橋本が)言ってくれて、僕は「頼んだ」って返して・・・それが(斎藤一について話した)最初だったと思います。
橋本:それまで、凌くんが僕が演じることについてどう思っているのか、怖くて聞けなかったんです。なので、凌くんが「頼んだ」という言葉と一緒にお守りをくれた時に、張りつめていたものが少し緩んで、気が楽になりました。
松田:その神社にあった「刀守」のお守りを、その時に祥平に渡したんですが、それと同じ「刀守」を(「真改 斎藤一篇」の時に)祥平がカンパニーの皆さんにも配ったと聞いて、粋なことをするなぁと思いました。
橋本:凌くんが粋なことをしてくれたんで!本当にあのお守りは効力があるんですよ。全公演を無事に終えることができたのは、もちろん、皆さんの日々の努力もありましたが、きっとお守りの力もあったんじゃないかと思っています。
――斎藤一、ミュージカル『薄桜鬼』への愛情いっぱいのエピソードありがとうございます。それほどの作品、役柄に出会えたことはお二人にとって、俳優人生の中で非常に大きなことだったと思いますが、もし出会っていなければどうなっていたと思いますか?
松田:どうなっていたんだろうな・・・自分でも分かりませんが、ただ、この斎藤一という役は、僕の夢を叶えてくれた役でした。自分の人生で想像した中でも最大級に大きな一歩が、この斎藤一を演じるということだったので、きっとこの役、この作品に出会っていなければ、今、こうして皆さまにインタビューをしていただけるような自分になっていなかったんじゃないかなと思います。それくらい僕にとっては大きな出会いでした。
橋本:僕は、(松田が斎藤一を演じていた)初演当時は学生で、たまたまミュージカル『薄桜鬼』のお手伝いに行って、斎藤一という役を通して凌くんと事務所の方と知り合えて、今ここにいます。その時に出会えていなかったら、そもそも役者をできていなかったかもしれません。役者をやりたいと思って学校に通ってはいましたが、そこでくすぶっていた人生かもしれませんし、役者を辞めて別のことをしていた可能性もあったと思います。
別の世界線では、僕が企業を立ち上げて、億万長者になっている可能性もあるかもしれませんが(笑)。ただ、もし億万長者になれたとしても、僕は今のこの人生を選びたいですし、選んでよかったなと思っています。
松田:その別の世界線では、僕が祥平の会社で働いている未来もあったかもしれない。「松田さぁ、もうちょっと業績上げてくれない?」って社長に言われてる未来(笑)。「やり手な社長だなぁ」と思っていたかも。そう考えると、僕はバックパッカーになっていたかもしれないですね。世界中を旅したいし、いろいろな世界に行ってみたいと思っていたので。ただ、今は俳優として台本の中で違う世界線を生きられるので、ある意味では叶っているなとは思いますが。
――では、ミュージカル『薄桜鬼』が10年もファンの皆さまに愛されている魅力はどこにあると思いますか?
松田:自分が演じさせていただいていた当時のことを話すと、無我夢中だったからだと思います。お客さまの前で、このカンパニーと一緒に『薄桜鬼』という世界を生み出したいということしか考えてなかったんですよ。他にはない熱みたいなものがあったのかもしれません。それと同時に、殺陣があって歌とダンスとお芝居がある作品は、当時はそれほど多くなかったんですよ。僕にとってももちろん初めてのことでした。それは、よく言ってしまえば、今ある数々のそうした作品の礎で、革新的だったと思います。それが魅力のひとつだったのかなと思いますし、加えて、お客さまが好きなキャラクター、役柄が登場し、千鶴というヒロインの目線で見届けられるというのも魅力だったと思います。
橋本:たくさんの魅力があると思いますが、まずは作品としても華やかで、歌って踊って殺陣をしてと、エンタメとしてはこの上ない、さまざまな要素が入っている作品であることがあげられると思います。当時は、「絶対できないよ」って反対されていたんですよね?
松田:それだけ詰め込まれているからね。しかも、歌詞に「ヤイサ!」って言葉が入っていたりして、衝撃的ですよね(笑)。
橋本:それほど前例のないことをやってきたんだと思います。実際に、僕も演じさせていただいて、本当に体力的にもキツイんですよ。ですが、その歯を食いしばってでも立っている姿は、自分がお客さんとして見ていてもグッとくるものがありますし、そうした泥臭い部分もこの作品の魅力なんじゃないかなとは思います。
――この先の10年、シリーズをさらに続けていくために、作品やカンパニーに受け継いでいってほしいものはありますか?
松田:月並みな言葉ですが、やっぱり「新選組の魂」だと思います。『薄桜鬼』は、千鶴というヒロインを軸として、さまざまな隊士との愛を描いていますが、歴史に基づいた物語になっているので、「新選組の魂」が根付いています。僕たちがそれを体現する時に、何も考えずに役を掴めたのは、やはりそれがあったからだと思います。当時、僕は「自分たちで大きく世界を変えたい」と思っていたんですよ。この世の中を、この時代を動かしたいと思って、自分たちなりの誠の旗を掲げてやっていました。
これからこの「俳優」という世界の中で一旗揚げたい、天下を取りたいんだと思っている若き俳優たちがそれを掲げていたんです。そこから始まったと僕は思っています。だからこそ、新選組の隊士たちが抱いていたような「時代を変えたい」「自分たちの生きている人生、世界を変えたい」という思いをどんな形でも持ち続けていってもらえたらと思います。それは、「海外公演をしたい」「続けていきたい」でもいいんです。そうした思いが感じられるミュージカル『薄桜鬼』を僕は今後も応援したいです。そこに、自分も夢を見られると思うので。
橋本:この10年で、ミュージカル『薄桜鬼』もさまざまなものが変わったとは思います。キャストも演出家さんもスタッフさん方も変わっていますし、主題歌も変わりましたが、僕が今年改めてカンパニーの一員として入った時に、10年前と変わらない空気感があることを感じました。それは、今、凌くんがおっしゃっていた「新選組としての誠の心」なんだと思います。
それが受け継がれてきたのは、僕は(近藤勇役の井俣)太良さんの存在が大きいと思っています。太良さんにはミュージカル『薄桜鬼』の歴史を見届けてほしいと思いますし、逆に太良さんが出演しなくなった時にミュージカル『薄桜鬼』は新たな章に突入するのかなとも思います。それもまた楽しみですが、キーマンは太良さんなんだと思います。
スタイリスト:MASAYA(ADDICT_CASE)
ヘアメイク:城本麻紀 成谷充未
(取材・文・撮影/嶋田真己)
<放送情報>
10月28日(金)深夜1:30
「ミュージカル『薄桜鬼』10周年記念特番
『集まれ!みんな斎藤一P A R T Y』」 (2022年:オリジナル番組)
出演:松田凌/橋本祥平/納谷健/大海将一郎
「薄ミュ」ファン必見!!
ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ10周年を記念して、歴代“斎藤一”キャストが集結!
斎藤一役同士で「薄ミュ」にまつわるゲーム対決!ここでしか聞けない舞台裏トークも。
さらに、スカパー!番組配信では、収録後のアフターパーティーものぞけちゃいます!
<3ヵ月(10月~12月)連続企画>
10周年記念!ミュージカル『薄桜鬼』一挙放送
10月22日(土)スタート! 毎週金曜・土曜 よる11:00
(スカパー!番組配信あり)
① 10月28日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』斎藤 一 篇」(2012年:舞台)
②10月29日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』沖田総司 篇」(2013年:舞台)
③11月4日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』土方歳三 篇」(2013年:舞台)
④11月5日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』HAKU-MYU LIVE」(2014年:舞台)
⑤11月11日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』風間千景 篇」(2014年:舞台)
⑥11月12日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』藤堂平助 篇」(2015年:舞台)
⑦11月18日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』黎明録」(2015年:舞台)
⑧11月19日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚」(2016年:舞台)
⑨11月25日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』HAKU-MYU LIVE 2」(2016年:舞台)
⑩11月26日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助 篇」(2017年:舞台)
⑪12月2日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』土方歳三 篇」(2018年:舞台)
⑫12月3日(土)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇」(2019年:舞台)
⑬12月9日(金)よる11:00
「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」(2021年:舞台)
⑭10月22日(土)よる11: 00
「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤 一 篇」(京都大千秋楽公演版)(2022年:舞台)
さらに、シリーズ本編・特別番組は、スカパー!放送サービスに加入しているユーザーが無料で利用できる配信サービス【スカパー!番組配信】でも、初回放送後から視聴可能!時代劇専門チャンネルを契約すると、パソコン、タブレット、スマートフォンいずれの端末でも番組をお楽しみいただけます!なんと特別番組は、スカパー!番組配信限定で、収録後のアフターパーティーを含む拡大版をお届け。詳しくは特設HPへ。