アトラスの人気ジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズのナンバリングタイトル『ペルソナ5』を舞台化してきた『PERSONA5 the Stage』シリーズ。2019年から始まった舞台化シリーズが、ついにファイナルを迎える。シリーズを通して、本作で「主人公」を演じてきた猪野広樹に、本番直前のインタビューを行った。物語は舞台でどのような最後を迎えるのか?
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――『PERSONA5 the Stage』シリーズがついに本作でファイナルを迎えることになりましたが、今のお気持ちを教えてください。
27歳から始まり、20代後半のこの3年間 、毎年やってきた作品なんですよ。今年、ついに30歳になり、P5ステもファイナルを迎えますので、「さよなら高校生!」みたいな気持ちです。僕にとっての卒業式ですね。
――猪野さんにとって、一番長い時間関われているシリーズになりましたかね?
そうかもしれないです。キャストの多くも3年間一緒にやってきたので・・・感慨深いですね。卒業って例えましたけど、3年間って結構長い時間ですよね。初演を振り返ると・・・(笑)。みんな、大人になりました。
――(笑)。初期の頃は、ご苦労も多かったんでしょうか。
「どうやってやるの?」というところからスタートしました。主人公としては、出ずっぱりだし。初演の通しを初めてやった時、衣裳が調整前だったこともあるんですが、暑くてみんな顔が真っ赤になっちゃったりして大変でしたね。その後、衣裳も舞台用に改良され、背中に保冷剤を入れたりして乗り切ってきました。
――猪野さんご自身は、同じ作品に取り組み続けたことで変化を感じることはありますか?
この3年間、同じ衣裳を使い続けているんですよ。怪盗の衣裳はぴったりしているわりにサイズの変化はないのですが、制服の方がどんどん小さくなっていってる気がして・・・。だんだんと僕の筋肉が育ってしまったみたいです。確かにフィジカル強化をしていた時期もありましたけど、自分ではそんなに変わった気はしていなかったんですよ。でも、衣裳を着る度に「あれっ?」って・・・。自分だけに分かる、健康診断状態でした(笑)。
――(笑)。今回はどうでしたか?
またちょっと、ちっちゃくなっていました。今年も「あれっ?」ってなりました(笑)。
――同じ役をやり続けるからこそ分かる、変化の一つですね。
作品の中ではそんなに時間は経ってないですが、舞台シリーズは3年経ってますから。いろんな意味で、3年間の成長を見届けていただきたい!
――『PERSONA5 the Stage』シリーズの「主人公」を演じる上では、どんなことを感じてこられましたか?
しゃべりたい!って、この3年間ずっと悶々としていました。3年間を総称して、「台詞くれ~!」ですね。でも、今回はいつもよりちょっと多い気がしています。ちょっとだけね!最後だから、ようやく(主人公も)しゃべる気になったようです(笑)。
「主人公」を演じている時って、完全に受け身の芝居なんです。台詞でどうこうできることはないから、場を任せるしかない。つまり、相手の台詞の意味が伝わってこない限り、反応ができないんです。だから「今、何も考えずに言っているな」と思っている時もあるし、「気持ちのど真ん中に飛び込んできた」っていう時もある。同じ台詞でも、顕著に違いますから。細かいニュアンスの違いにも、すごく敏感になりましたね。
――そこから共演者の皆さんの変化、成長なども感じる部分は大きいですか?
それはすごくあります。こなん(喜多川祐介役の小南光司)とか、大人になったなあと思いますしね。一番大きく成長したなと思うのは、ゆき(高巻杏役の御寺ゆき)かな。今回稽古してみて、ますます良くなった気がします。台詞の投げ方とか、そういう些細なことなんですけど。でもきっと、それはお客さんにもちゃんと届くと思います。
――『PERSONA5 the Stage』シリーズの座組としての、成熟を感じられそうですね。
ファイナルですからね!稽古からすごく雰囲気も良くて、「これを観たい」という指針を制作陣の方々からはっきり示していただけたので、みんなで「こうしよう」とたくさん話し合いをしました。すごくいい状態で本番を迎えられると思います。
――お話を聞けば聞くほどファイナルというのが寂しくなってしまうんですが、ファイナルならではの見どころはいかがでしょう?
てんこ盛りなんですけど、そうだなあ・・・。今回、初演のリバイバルみたいなシーンがあるんですよ。そのために、自分でも3年前の映像を観てみたんですが、芝居が若かったですね・・・(笑)。自分で観るのは恥ずかしいですが、皆さんは、思い出すために初演の映像を改めて観てからファイナルに来てくれたらおもしろいかもしれません。
そして、より生々しいです。より人間らしいです。ショーアップされたステージというより、4作を通じてしっかりと“演劇”になったと思います。僕は「主人公」を演じますが、彼の問題に突入するのは最後の最後なんですよ。そこに行き着くまでには、新島姉妹の話が軸にあったり、前作から引き継いで奥村春の話などがあったりと、一つ一つを繊細に丁寧に描いているので、“人間ドラマ”をきっちりお見せできると思います。
個人的には、もっと人間が持つ汚さ、欲望をもっと感じたい。綺麗な世界だったら、世直しする必要ないじゃないですか。 汚いから、この物語がある。その汚さを求めたい。泥くさくなればなるほど、「綺麗」が映えるんです。その振り幅が多ければ大きいほど、観ていて気持ちいいと思うんですよね。サウナと一緒です(サウナ好きの猪野さんは、取材日の前日にも行ってととのって来られたそうです)。
――学園ジュブナイルとピカレスクロマンをかけ合わせた本作だからこそ、追求しがいのある部分ですね。
やっぱり、敵がちゃんと強くないと。ちゃんと「ピンチだ!やばい!」って感じてもらうには、自分たち自身が追い詰められなきゃいけないし。敵はワガママでエゴイズムに満ちていてほしいです。
あとは、何と言っても明智吾郎の存在ですよ。ようやく3年越しにヒデ様(佐々木喜英)の出番が来ます!・・・今回のヒデ様はいいですよ(ニヤリ)。あの人、ここまでは歌のお兄さんだったから。歌のお兄さん、いよいよ仕事が来ました!
――本作では、猪野さん演じる「主人公」の名前が公募で日替わりとなっているのも観る方の楽しみの一つになっています。これまでを振り返って、印象深かった名前ありますか?
初演の時かな?「御田樹(おんだいつき)」って名前がついた日があったんです。これ、御寺ゆきと塩田康平と猪野広樹から一文字ずつ取って作った名前だったみたいで。「なるほど~!」って思ったので、印象に残っていますね。今回はファイナルですから、折角だから全員から一文字ずつ取って名前作ってみたらどうだろう?「寿限無」みたいな超長い名前(笑)。
でも、名前の変化で僕が何か大変になることはないんですよ。自分は自分の名前を呼ばないから。大変なのは周りです。稽古の時も仮で名前を決めたりするんですが、ある時こなんがそれを忘れたらしく「主人公!」って呼びかけてきましたからね。康平くんも「ひろき!」って僕の名前を呼んできたり、みんなは大変。
今回も、皆さんから公募で付けていただいているので、どんな名前になるのか楽しみです。名前が変わって困ることはないですが、芝居はちょっと変わるかも。外国人っぽい名前の日は、日本に来たばっかり・・・みたいな感じでやろうかな(笑)。
――どんなファイナルを迎えられるのか、楽しみです。
最後ということで詰め込みまくっているので!細かいところまで、観てもらえたら嬉しいです。例えば、僕のミザンス(立ち位置)がちょっと変わっていたりするんですよ。あるところからずっと視線を外さないよう、構えています。見えないところのお芝居かもしれないんですけど、細かいところまでこだわっているので。台詞のないところも、今までとちょっと違っています。ぜひ、楽しみにご覧ください。そして、過去シリーズを見返したりもしてもらえたりしたら嬉しいですね。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
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『PERSONA5 the Stage #4 FINAL』公演情報
上演スケジュール
2022年10月20日(木)~10月23日(日) 横浜・KT Zepp Yokohama
スタッフ・キャスト
【原作】「ペルソナ5」(アトラス)
【総合監修・脚本・舞台音楽作詞】西森英行
【演出】伊勢直弘
【音楽】目黒将司、小西利樹(アトラス)
【舞台音楽】喜多條敦志(アトラス)、小林哲也
【出演】
主人公:猪野広樹/坂本竜司:塩田康平 高巻杏:御寺ゆき 喜多川祐介:小南光司
新島真:石塚朱莉 佐倉双葉:福田愛依 奥村春:菅原りこ/明智吾郎:佐々木喜英/
新島冴:茉莉邑薫 三島由輝:中島拓人/獅童正義:タイソン大屋/モルガナ:大谷育江(声の出演)
<アンサンブルキャスト>
菅原健志 佐々木駿也 相田真滉 亀井英樹 御林杏夏 轟大輝 山下朱梨 山田隼人 神谷春樹
【公式サイト】https://p5-the-stage.jp/
【公式Twitter】@p5_the_stage
(C) ATLUS ©SEGA (C) SEGA/PERSONA5 the Stage Project