ちびまる子ちゃん THE STAGE『はいすくーるでいず』佐奈宏紀インタビュー!花輪クン役は予言されていた?


国民的漫画「ちびまる子ちゃん」の連載開始35周年をお祝いする企画の一つとして上演される、『ちびまる子ちゃん THE STAGE』。まる子のクラスメイトである3年4組の男子たちが「高校生になったとしたら!?」という、“もしも”のお話『はいすくーるでいず』を描くという斬新な発想には、大いに驚かされた。

そして、本作で「花輪クン」役を任されたのが、佐奈宏紀。出演者は、配役は伏せた状態で発表されたが、演劇ファンの予想では「花輪クンは佐奈くんがいいな」と囁かれていた。佐奈自身は、どのように受け止めていたのだろうか?まるステの始動にあたり、佐奈に話を聞いた。

フラッシュバックした7年前の記憶・・・まさか現実になるとは!

――「ちびまる子ちゃん」の舞台化という一報が届いた時、「この手があったか!」と大変驚いたのですが、皆さんはどのように受け止められましたか?

国民的漫画の記念すべき舞台化に関われると聞いて、とにかく嬉しかったです。でも「ちびまる子ちゃんの登場人物たちが高校生になった」「でも“さくら”は出て来ない」と聞いて、それでどう成立するんだろう?と疑問だったんですよ。台本を読ませていただいたら「なるほど!」と納得しちゃいました。

――今回、登場する人物と出演者が先に明かされ、配役はあとから・・・という、珍しい発表の形が取られました(※インタビューの時点ではまだ佐奈さんが花輪クン役を演じることは未発表でした)。

実は、僕もお話をいただいた時、どの役を演じるのか聞かずにお引き受けしたんですよ。だから知るまでは「僕が演じるなら何役だろう~?」ってすごく考えてました(笑)。でも、何役でも嬉しいなと思いました。

――お客様と同じ状態だったんですね。

川﨑優作や福島海太と話したんですが、2人も自分が演じる以外のキャラクターを誰が演じるのか、知らなかったみたいです。本当に、今のお客さんと同じ状態(笑)。ビジュアル撮影の時に何人かお会いして、「あ、◯◯役はそうなの?!」と新鮮に驚いていました。

――お客さんの予想で「花輪クンは佐奈さんがいいな」という声をたくさん見かけました。

ほんとですか!嬉しいな。でも、ピンときていたわけではないんです。以前、実家が少し裕福だという話をネタのように話していたんですけど、ある頃からあまり言わないようにしていたんです。「親で笑いを取るな」って言われて、自分の実力で取れている笑いではないと反省しまして(笑)。だから、花輪クンと共通点を見出していただける要素が自分にあったことを忘れていたんです。

だから「花輪クンをお願いします」と言われた時に、そうか!世間的には花輪クンが合うって思っていただけるキャラクター像があったんだと思い出して。同時に、もう一つフラッシュバックした記憶がありました。7年くらい前になりますかね。ちょうど僕が役者を本格的に始めた頃って、「2.5次元」という言葉が盛り上がってきた頃と重なるんですよ。なので、当時一緒にやっていた面々と「自分だったら、どの作品の何役をやりたい?」みたいなことを冗談でよく話していたんですよ。その時誰かが「佐奈ちゃんだったら『ちびまる子ちゃん』の花輪クンしかなくない?」って言っていたんです。まさか現実になるとは!

ビジュアル撮影の衣裳からも感じた「花輪クンっていいヤツだなぁ」

――予言ですね・・・!ビジュアル撮影で、実際に高校生の花輪クンになった佐奈さんのお姿を拝見して、すごくリアルを感じました。

すごく大人っぽくなりましたよね。髪型もナチュラルな感じにカッティングされて、納まりのいい感じになっていたし。基本学ランなんですけど、要所要所に花輪クンらしさが残っているなと思いました。学ランの中に、ブレザーの制服の中に着ていそうなベストを身につけていたり、めちゃくちゃオシャレな着こなしをしているなあと(笑)。

それから、靴も、ピカピカの深緑で革製なんですよ。でも、靴先は尖っていない。革靴でも、尖ってるのはなんか違うなと思ったので、さすが!品よくオシャレに見える着こなしはするけれど、他人に威圧感は感じさせない、優しさとナルシズムが散りばめられていて、花輪クンらしいなと思いました。大きくなっても芯は変わっていないんだろうな。

――佐奈さんご自身と花輪クンというキャラクターには、共通点はありますか?

実は、演じる役を知るまでは「自分の性格とか、最近やってきたお芝居のテイストから考えると、丸尾くんとか、はまじかな?」と予想していたんですよ。だって、花輪クンってめっちゃいいヤツじゃね?と思いません?小さい頃はそんなに深く考えていなかったけど、大人になって改めて『ちびまる子ちゃん』を見るとすごく花輪クンっていいヤツだなあと思います。

優しさの塊だし、紳士だし。みんなのこと「ベイビー」って呼ぶのも、“赤ちゃん”という意味ではなく“大切な人”っていう意味の「ベイビー」。森羅万象すべての生き物を愛すみたいな懐の大きさは、僕にはまだないので、稽古の中で研究しながら広げていきたいところですね。

でも、ちょっと分かる部分もあります。ふいに見せる花輪クンの繊細さって、寂しがり屋なところからくると思うんです。花輪クンのご両親って、世界を飛び回っているじゃないですか。なかなか会えない。僕も、親が忙しくて小さい頃あんまり一緒にいられなかったんです。いつも心のどこかで「お父さんとお母さんに会いたい」「もっと一緒にいたい」っていう気持ちがありました。だから、花輪クンも同じような感覚を持っているんじゃないかなって・・・。でも、だから優しいんです。ヒデじいをはじめ、周りの人をしこたま大事にしているんだろうなあと。そういう愛情に対する感覚は、どこか似ているものを持っているんじゃないかなと思っています。

――舞台でも、高校生になった花輪クンの傍にちゃんとヒデじいがいてくれて嬉しくなりました。

僕もです!やっぱり、ヒデじいがいないとあの花輪クンは存在しないと思うので。舞台でもニコイチで!あと、ロールスロイスの車も舞台に出してほしいなあ~。あの車をヒデじいが運転して、高校生の花輪クンが登校している姿を、僕が観たいです(笑)。

――今回、小林顕作さんが演出を手掛けられるので、何かしらの方法で実現してくれるかも、ですね。

顕作さんの演出は、100%でとどまらず300%、400%と振り切ってくださる方なので、花輪クンの「お金持ち」を表現する時も、きっと振り切ってやってくださるのではと。とても楽しみです!

小林顕作さんと出会って、性格ごとくるっと変わったんです

――佐奈さんは、小林顕作さんとは舞台「パタリロ!」でご一緒されていましたよね。

はい。久しぶりにご一緒できる機会が巡ってきて嬉しいです。顕作さんの現場にいると、毎日「やっぱ顕作さんかっけ~な~!」って思うんです。

――それはどういうところから感じるんですか?

例えば、稽古場での居方、佇まい。それだけで、自然とみんなが前向きになれる空気を作ってくださるんです。しかも、それを“やってる感”なく自然と導いてくれるんですよね。

それから、舞台「パタリロ!」でご一緒した時の、歌稽古がすごかったんです。顕作さんが「みんな集まって!歌稽古やろうか」って言うんですけど、稽古場ピアノの方もいなければ、歌唱指導の方もいない。不思議に思いながら円になって座ると、顕作さんがガサガサっと鞄からギターを取り出して、「歌ってみて!」って。ギターで歌稽古するんですよ!「何それ!かっけ~!おしゃじゃん!!」って。ギターのグルーヴ感で歌えるので、普通の歌稽古とはちょっと違って、それが楽しかったんですよね。

僕、顕作さんが作る歌が大好きなんですよ。超エモい!ギターで作った音色とメロディだけで、曲が伝えたいニュアンスがすごく伝わるので。僕、自分のイベントでよくカバーしてるんですよ。顕作さんの無観客ライブの配信とかも見ましたし。

――顕作さんLoverですね。

Loverです!今の僕を作ってくれたのは、顕作さんをはじめ、舞台「パタリロ!」でお世話になった方々だと思っているので。今の自分を構築してくれたのが、舞台「パタリロ!」の現場だと思っているんです。性格ごと、くるっと変えてもらったんですよ。ありがたかったです。

――性格ごと、ですか?

変わりましたね~。それまでは、猫をかぶっていたというか・・・みんなに気に入られるよう、嫌われないように立ち回ることを最重要事項に置いていたんです。当たり障りなく立ち回るだけ、話していても普通のことしか言わない。でもある日、顕作さんに「それやめない?」って言われたんです。「俺たちが、佐奈のことおもしろいって思うの、そういうところじゃないから。もっと根っこの、佐奈のヤバいところ見せてよ。猫かぶって自分を隠す必要ない」って。

その後「今日から毎日3回はタメ口を聞こう」っていう、荒療治を持ちかけられたんですけど(笑)。でも、そうやって本当の自分を押し出してくれたことがすごく嬉しくて。それからは、自分を包み隠さずいろんな人に接しよう、それで嫌われたらしょうがない、本当の自分を好いてくれる人を探そうって思えるようになりました。

――考え方そのものが変わって、よかったですか?

はい。人の話をすんなり聞くことができるようになったんです。自分の意見もナチュラルに口に出せるようになったし、年上の方に対しても気を使いすぎなくなりました。何事もやりすぎると話が薄っぺらになっちゃいますから。それはお芝居についても同じで、形だけでやらなくなったんです。取り繕わず、ストーンとその場に立てるようになったのは、とても大きかったです。

――舞台「パタリロ!」からいろんな経験を重ねて、また顕作さんとご一緒できるのが楽しみですね。

嬉しいですね~。嬉しいんですけど、実は気がかりなことがひとつあって。舞台「パタリロ!」のキャストが変わることになった時、顕作さんがそれまでのキャストを集めて食事会を開いてくれたんです。その時に「顕作さんが僕を根本から変えてくれたおかげで、今とっても過ごしやすいです」って。そうしたら「佐奈って・・・そんなヤバいやつだったっけ?」って言われて、「あれ?僕はいい話だと思っているんだけど・・・」ってなりました(笑)。その時は逆に「もうちょっと抑えた方がいいよ!」って言われたので、そういう意味でもまたご一緒できるのがすごく楽しみです!稽古場で顕作さんに避けられちゃうかもしれない。いい塩梅を探したいです(笑)。

佐奈宏紀の「スクールデイズ」、その想い出は?

――(笑)。『ちびまる子ちゃん』には、個性的な登場人物がたくさんいますが、佐奈さんの小学生時代に印象的なクラスメイトはいましたか?

『ちびまる子ちゃん』に登場するような、濃すぎるキャラを持った友達というわけではないんですが、小学校6年間ずっと一緒にいたFくんのことはよく覚えています。その子、めちゃくちゃ野生児だったんですよ。冬も短パン半袖、虫を取ったり、外を走り回るような、小学生らしい遊びをよくしていました。

ちょっとヤバいなやつだな?!と思うことが、ある夏の授業中に起きたんです。廊下側の窓の外を、何か黒い物体が飛んだんです。それを見て「オオクワガタだぁ!!」って叫んで、教室に置いてあったタモを手にとって、走り出てそのまま帰ってこなくなっちゃったんです。・・・授業中ですよ?

心配した先生が家に電話をしたら、家に帰っていたそうです。虫を捕まえに行って、家まで帰っちゃう、その間に何があったんだろう・・・って謎すぎて(笑)。未だに何があったのか分からない。

――卒業後、会ったりしたんですか?

いや、それが音信不通で。僕、中学から地元の学校ではないところに行ったもので、会わなくなっちゃって。でも、変わってなさそうだな~。ほっぺに止まっていた蚊を潰そうとして、自分の顔をバチン!ってやったら、強く叩きすぎて鼓膜破れちゃった、とか。本当におもしろいヤツでした。でも、バイオレンスだから『ちびまる子ちゃん』の登場人物にはなれないですね(笑)。

――その後が気になりますね・・・。では、『はいすくーるでいず』ということで、高校生時代の一番の想い出を教えてください。

僕、高校に入ってからラグビーを始めたんですよ。中高一貫の学校だったので、部員はほとんど中学生からラグビーをやっていたメンツで。高校に入ってから始めたのは僕だけではなかったんですが、練習がきつくてほかはみんな辞めちゃって。結局残ったのは僕だけでした。中学から続けている子たちはもう身体が出来上がってるし、技術も追いつかないんから、心が折れちゃうんですよね。僕もなんとか続けてがんばっていたけど、やっていたのが「スタンドオフ」というチームの司令塔的ポジションだったので、長く続けている子には勝てないし、試合にもなかなか出られませんでした。

でも、菅平というラグビー界では名の知れた合宿所に何校か集まって合宿をした時に、初めて試合に出してもらえる機会が回ってきたんです。そこで、初トライを決めました。しかも、試合終了まであと10分というタイミングで。

その時、監督も含めてチーム全体が「うぉ~!!佐奈がゴール決めたぁ!!」って大盛り上がりしてくれて。みんな「佐奈は練習がんばってるけど恵まれないよね」って気にかけてくれていたみたいで、心から一緒に喜んでくれていました。まるで「俺が主人公!地球のど真ん中に立ってる!」みたいな感覚になりましたね。その後、少しずつ仕事が活発になってきて、幽霊部員になってしまったんですけど・・・。高校生活で一番の想い出です。

――それは、一生の糧になる想い出ですね。まるステでは、そんな佐奈さんがどんな高校生活を送ることになるのか、楽しみです。

脚本を読ませていただいた段階で、すごくおもしろかったので期待していてください!みんな、こんな風に成長していくんだ、こんな迷いや葛藤を乗り越えて大人になっていくんだって。納得のいくストーリーが待っていると思います。

そこに顕作さんのぶっ飛んだ演出が加わるので、僕らもお客さんもまったく想像がつかない状態だと思いますけど、全力の演出と音楽でおもしろくなること確定だと思うので、ぜひ楽しみに待っていてもらえたら嬉しいです!

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

ちびまる子ちゃん THE STAGE『はいすくーるでいず』公演情報

上演スケジュール

2022年12月15日(木)~12月25日(日) 天王洲 銀河劇場

スタッフ・キャスト

【原作】「ちびまる子ちゃん」さくらももこ(集英社刊)
【演出】小林顕作
【脚本】玉川双来

【出演】
花輪和彦(花輪クン):佐奈宏紀 丸尾末男(丸尾君):佐川大樹 浜崎のりたか(はまじ):松島勇之介
藤木 茂(藤木君):矢田悠祐 永沢君男(永沢君):佐藤永典 富田太郎(ブー太郎):原嶋元久 小杉 太(小杉君):川﨑優作 山根つよし(山根君):石川凌雅/
大野けんいち(大野君):橋本祥平 杉山さとし(杉山君):GAKU/
青木 翔:石田 隼 黒岩 準:後藤 大 白田 嵐:福島海太/
アンサンブル:境 秀人 高橋陸人 齋藤一誠 松本建吾/
西城秀治(ヒデじい):大高洋夫 金井先生:大堀こういち 大野君のお爺ちゃん:酒井敏也

【公式サイト】https://chibimaruko-stage.com/
【公式Twitter】https://twitter.com/chibimaruko_stg

(C) さくらプロダクション (C) 舞台『ちびまる子ちゃん』プロジェクト






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