令和3年4月歌舞伎座公演、6月歌舞伎座公演として上演された舞台『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』が、シネマ歌舞伎最新作として来春に公開されることが決定した。本作では、かつて“孝玉コンビ”と呼ばれ一大ブームを巻き起こし、今なお絶大な人気を誇る片岡仁左衛門(前芸名:片岡孝夫)と坂東玉三郎が、36年ぶりに共演したことでも大きな話題となった。
シネマ歌舞伎とは、歌舞伎の舞台を多彩なカメラワークで撮影し、高画質映像と5.1CHサラウンドの音響で楽しむ映像作品。最新作『桜姫東文章』は、上の巻・下の巻の2部作としてシネマ歌舞伎化される。
『桜姫東文章』は鶴屋南北の作品で、『東海道四谷怪談』に並ぶ人気作。南北ならではの退廃的な美が溢れ、運命に翻弄されながら流転の人生を歩む桜姫と、因果の糸に執着して身を滅ぼしていく清玄、悪の魅力を放つ権助を中心に、奇想天外かつ斬新な物語が展開する。現代のクリエイターたちも、本作からインスピレーションを得て様々な演劇、映画、漫画の題材として取り上げている。
権助と清玄をそれぞれ別の俳優が演じることもある中、今回は桜姫を玉三郎、権助と清玄の二役を仁左衛門が演じている。なお、これは36年前の共演時と同じ配役。上演決定時には、SNSに歌舞伎ファンの「ずっと観たい作品だった」「夢が叶う」など喜びの声が飛び交っていた。
シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』は、2022年春に上の巻・下の巻の2部作として公開される。
【出演】
<上の巻>
片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村歌六、中村鴈治郎、中村錦之助、上村吉弥、中村福之助、片岡千之助、片岡松之助 ほか
<下の巻>
片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村歌六、中村錦之助、片岡孝太郎、上村吉弥、中村福之助、片岡千之助、嵐橘三郎 ほか
【あらすじ】
僧・清玄は、稚児の白菊丸と道ならぬ恋の果て心中をするが、一人生き残ってしまう。それから17年後、高僧となった清玄は桜姫と出会う。この桜姫は白菊丸の生まれ変わりなのか・・・。
一方、御家没落のため出家を心に決めた桜姫は、かつて暗闇の中自分を犯した男の子どもを秘かに産み落とし、今でも一夜の甘美な思い出として、その肌が忘れられずにいた。ある日、腕に鐘の刺青のある男、釣鐘権助とめぐり逢う。権助こそ、桜姫の思う相手。再び権助に身を委ねる桜姫。しかしその密会が明るみになると、清玄が濡れ衣を着せられ・・・。
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(写真/大倉舜二)