山本一慶、橋本真一、井上希美の3人によるミュージカル・コメディ「ラヴ」が2021年3月24日(水)から3月28日(日)まで東京・六行会ホールにて上演される。ブロードウェイでストレートプレイとして誕生しその後ミュージカル化された本作が、新たなキャストと珠玉のスタッフにより生まれ変わる。
不倫中のエリートサラリーマン“ミルト”役に山本一慶、ミルトの大学時代の親友“ハリー”役に橋本真一、ミルトの妻“エレン”役に井上希美。演出は宮川安利、姉の宮川知子が音楽監督&ピアノ演奏を担当し、1994年上演のミュージカル版で音楽監督を務めた宮川彬良氏を父に持つ“宮川姉妹”と共に、同世代の実力派たちが歌いあげる。
昨年、連続テレビ小説『エール』の藤丸役で注目を集めた井上希美が挑む新たな愛の物語とは?
早く皆さんに聴いていただきたい
――歌稽古にお邪魔しましたがとても楽しそうでした。(宮川)知子さんとのやり取りで印象的だったことは?
最初の歌稽古で、演出の安利さんから「井上さんってめちゃくちゃ楽しそうに唄いますよね」と言っていただいて。自分の歌に自信が持てたことがなく、どちらかと言うと苦手な意識でずっとやってきたので、そう言っていただけてすごくびっくりしました。
――では本作の音楽に初めて触れた時の印象はいかがですか?
私はひとりで家にいるとよく(独り言を)言っちゃうんですけど、初めて楽曲を聞いた時まさに「え?え!?何これ何これ、めっちゃいい!!」と独りで言ってしまって(笑)。ラヴの楽曲は、どれもほんとうに素晴らしいです。好きすぎて何回も何回も聞いてしまいます。きっとこの時から、唄うということに対して気持ちが乗っていたんだなぁと思いました。
――初めからエレンに夢中になれたのは素敵ですね。
そうなんです。私が演じるエレンは日本初演では鳳蘭さんが演じていらした役でもあり、キャラクター的にも大人な雰囲気の女性が演じる役なのかなと思っていたので、お話をいただいた時は「私で本当にいいの?」と思いました。「そのままの井上さんで演じてください」と仰って頂けたのですごく安心しました。
知子さんとの歌稽古では、私の表現したい歌い方をすごく尊重していただけました。どうしたら役にとっても私にとっても心地よい表現ができるのか、いつも一緒に考えてくださっています。
――歌稽古では「1日2公演乗り切るには、この音の方がいいかも」と音取りを繰り返しされていらして、そのやり取りも印象的でした。
エレンの楽曲も多く、ステージにずっと出ているので1日2公演を集中しようと思ったら相当に喉の消耗もすごいと思うので、「万が一声が出づらくなった時でも唄えるキーにしましょう」と言ってくださって、一緒に考えさせていただきました。
――25曲と楽曲が多い本作ですが、お気に入りの楽曲は?
それはM12(『信じてるの、結婚を』)の曲ですね!まさに初めて聞いた時に「何これ!めっちゃいい!」とひとりで喋っちゃった曲でして(笑)。 今の自分に欲しかった、今の自分だからこそ唄わせていただける曲なのかな、と思いつつ練習しています。早くみなさんに聴いていただきたいです。
――では挑戦と思う楽曲は?
エレンが最初に出てきて唄う曲ですね。ミルトに性生活について問い詰める歌なのですが、リズムもメロディラインもあまり唄ったことがない楽曲で。最初に唄わせていただく楽曲なので印象に残したいですし、言葉も伝えたい。そう思うとこれは大変な曲だなと思います。
三者三様のキャラクターがすごく素直に表現されている
――お話が戻りますが、初めて台本を読んだ時の感想も教えてください。
人間らしい!!と思いました(笑)。社会の一員として生きている限り、世間体を気にすることはとても大事なことですが、一人の人間としてただただ自分に素直に生きていたら、こうなるかも…という部分が三者三様のキャラクターですごく素直に表現されていて、めちゃくちゃ面白いと思いました。
――3人とも自由ですよね。エレンは才女なのに恋愛下手、役作りで今意識していることはありますか?
彼女は決して多情なわけではなく、ただただ自分の心に正直なんですよね。ある瞬間はミルトを本気で愛しているし、ある瞬間はハリーを本気で愛している。それを演じている私自身が中途半端に演じてしまうと、二人の間で揺れているだけの女性になってしまう。私自身がエレンの心情をしっかりと信じて演じたいと思っています。
――3人だけのステージでしかもミュージカル、小人数の作品のご経験は?
実は1月に小人数の舞台をやらせていただいて、それまでは大人数の作品に出演していまして3人のお芝居はどうなるのかと思いましたが、その新鮮な経験もあったので、この作品も挑戦させていただこうと思いました。逆に1月の経験がなかったなら私には難しいと思ったかもしれないですね。
私にしかできないエレンとして素直に生きたい
――山本さん、橋本さん、それぞれ初共演ですが、橋本さんとは関西人同士で盛り上がったと伺いました。
そうですね。台本の中で関西弁を取り入れるかもしれないというお話があって、台本を関西弁で読んでみようと。それがすごく楽しくて(笑)。面白かったです。
この作品は3人の掛け合いも見どころのひとつ、3人のコンビネーションを是非お楽しみにして欲しいですね。
――ではラヴにちなんで、最近愛しいものを教えてください。
近所の小学1年生の子と一緒に勉強をしているのですが、その子はまだ平仮名を書くのが苦手で。なのに最近、私の名前を紙に書いて渡してくれたんです。「書けるようになったんだね!」と泣けるくらい嬉しくて。成長を感じ、愛おしく思いました。
あと、おじいちゃんおばあちゃんに道を聞かれたり話しかけていただくことが多いのですが、自分を頼って下さったと思うと、有難く、愛おしく思います。自分も含めて人はみな、不器用だから愛しいのかなと思っています。エレンを演じる上でも、私の感じる愛を大切にしていきたいです。
――最後にメッセージをお願いします。
稽古を重ねる中で私の中にあるエレンを探しながら、本番では生き生きと役を生きたいと思っています。こんな時代だからこそ、たくさんの方にお届けしたい。皆さんに楽しんで笑っていただけるような舞台です。どうぞ、楽しみになさっていてください。
(ヘアメイク/瀬川なつみ、写真/山副圭吾)
ミュージカル・コメディ『ラヴ』公演情報
上演スケジュール
2021年3月24日(水)~3月28日(日) 東京・六行会ホール
キャスト・スタッフ
【出演】山本一慶/橋本真一/井上希美
マレー・シスガル作「LUV」より
【台本】ジェフリー・スウィート
【作曲】ハワード・マーレン
【作詞】スーザン・バーケンヘッド
【演出】宮川安利
【音楽監督・ピアノ演奏】宮川知子
【公式サイト】https://artistjapan.co.jp/performance/luv/