「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」の第4弾、橋本祥平の朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」が、9月5日(土)21:00より配信開始となる。初めて一緒に仕事をするスタッフに囲まれ、少々緊張気味だった橋本だが、しっかりと自分の“個性”を発揮していた様子をレポートする。
本企画には、有澤樟太郎、太田基裕、大平峻也、北村諒、崎山つばさ、佐藤流司、橋本祥平、牧島輝(50音順)の8名が参加している。読む作品については、出演する俳優が希望する“読みたいもののイメージ”に合わせてピックアップ。橋本は自分に“関連づくもの”として、子どもの頃から大好きな「ディズニー映画」の原作から、ハッピーエンドとなる1作を選んだ。
撮影当日が、プロデューサーや監督を務める鎌田哲生(ミュージカル『刀剣乱舞』のMVを担当)と対面するのは初めてだった橋本。キョロキョロと辺りに目を走らせたり、台本に目を落として物思いにふけってみたり。その緊張は“ある出来事”によって、一気に解消された。
メイクを終えて戻ってきた控室には、同日に撮影を行っていた崎山つばさの姿があった。舞台『幽☆遊☆白書』で共演するなど、気心の知れた仲間の顔を見て、橋本の顔には人懐っこい笑顔が浮かんだ。待機時間、撮影のことや、近況のことなど、楽しげに話していた二人。
撮影準備が整い、移動しようと立ち上がった橋本の足元を見て、崎山が「あれ?祥平、その靴・・・」と呟いた。橋本が履いていたのは、白シャツに黒いパンツというシックな出で立ちには少々不似合いなスニーカー。崎山は言った。「それ、俺の靴・・・」。
「ええっ?!」と驚き目を丸くする橋本。なんと、橋本は衣裳と間違えて、メイク室の片隅に置かれていた崎山の私物を履いてきてしまったのだ。「あまりにキレイに揃えて置いてあったから・・・(衣裳と)間違えちゃった!」と焦りまくる橋本に、「その組み合わせは変だろ~(笑)」と崎山は爆笑。
早く返そうと、慌てて靴を脱いだ橋本だったが、崎山が再び「あれ?祥平、その靴下・・・」と呟いた。履いていたのは、やっぱり衣裳とはそぐわないロゴの入った黒い靴下。その靴下は、スニーカーの上に丁寧に揃えて置かれていたものだったそうで、これも崎山の私物。
さらに慌てた橋本の「履いちゃったけど、履いたばっかりだし・・・俺、足大丈夫っす!!!」という謎の保証(?)に、崎山はますます笑いが止まらない状態になっていた(もちろん、すぐに履き替え返却されて撮影は行われた)。この、真面目だけど突飛さも兼ね備えている橋本のキャラクターが垣間見える出来事に、場の空気が一気に和んだ。
橋本が読むのは、フランスの古典文学。1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)によって書かれたもの。現在、広く知られているものはこれを短縮したもの(1756年にポーモン婦人によって書かれた)である。
1991年にはディズニーが長編アニメーション化。最近(2017年)では実写版も公開され、東京ディズニーランドでも新たに「美女と野獣エリア」のオープンが予定されているなど、何かと話題になる題材。「ヴィルヌーヴ版」「短縮版」「映画版」・・・と、それぞれに少しずつ違いがあるので、話をご存知の方にもたくさん発見がありそうだ。
撮影前、プロデューサーを交え、監督と細かな打ち合わせが行われた。演じ手とクリエイターがコミュニケーションは、作品にも影響してくる。舞台の稽古や、映画の撮影のように長くその時間が取れないが、今回のような短時間での作品作りにおいても、互いを知ることは非常に重要だ。
打ち合わせの中で「軽く読んでみてください」と言われ、それに応じて数ページ読み進める橋本の声に、監督の眉がぴくりと動いた。「橋本祥平」という役者を語る時に、欠かせない要素の一つに「声」があると思う。作品や役に馴染みながらも、何かと印象深いのだ。監督も、その声の強さに「おっ!」とひらめくものがあったのではないだろうか。
撮影が行われたのは、クラシカルな家具をあつらえた小さめのスタジオ。蜜を避けるため、これまでの「読奏劇」とは少々撮影手法を変えて行われた。ここまで、撮影カメラは数台固定していたが、橋本の回は、カメラマンが自ら持ち、自在に角度や位置を変えながら橋本の芝居に迫る。
本シリーズでは、海外文学であり、ディズニー映画の原作でもある『眠れる森の美女』を太田基裕が読んでいるが、橋本の朗読は、シリーズを感じさせながらもはっきりと色の違いが出た。仕上がりの印象は、「ノスタルジック」かつ「ドラマティック」。
この『美女と野獣』、実は登場人物が結構多い。橋本が演じる「美し姫」ラ・ベルと、「怪獣」ラ・ベートが、どのように心を通わせ、恋に落ちていくのか・・・。その演じ分けも聞きどころだ。舞台上でパッション全開の姿を見せる橋本が、画面の向こうから届けてくれる「ハッピーエンド」は、「読奏劇」最長の作品となりそうだ(現時点)。
朗読中は、カットがかかったあとの時間も台本を小声で読み続け、作品の世界へと没頭していた橋本だったが、すべての撮影が終わると、「美し姫」であり、「怪獣」だったその表情がふっと柔らいだ。やりきったという安堵と、大好きな物語に触れて疼いた童心。二重の感情が、橋本の中に渦巻いているように見えた。
『Dream Stage -読奏劇-』
【#4】9月5日(土)21:00~
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
チケット:https://ima-ticket.com/event/120
【#5】9月30日(水)21:00~
牧島 輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
チケット:https://ima-ticket.com/event/158
【#1】アーカイブ配信:11月30日(月)まで
太田基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
チケット:https://ima-ticket.com/event/117
【#2】アーカイブ配信:11月30日(月)まで
大平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
チケット:https://ima-ticket.com/event/118
【#3】アーカイブ配信:11月30日(月)まで
崎山つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
チケット:https://ima-ticket.com/event/119
※以降順次出演者・配信⽇・朗読作品を発表予定!
【公式Twitter】@dreamline_inc/a>
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)