約4ヶ月休館していた東京・Bunkamuraシアターコクーンがライブ配信『プレイタイム』にて再始動する。取り上げるのは、シアターコクーンでは初めての上演となる岸田國士の戯曲「恋愛恐怖病」など。とある男女が、他愛ない会話を重ねスリリングに関係を変えていく様を、森山未來と黒木華が演じる。
眠っていた劇場に次第にスタッフが集まり仕事を始める。すると、空っぽの劇場に俳優の声が響き渡り、岸田國士の作品世界が立ち上がっていき・・・。本作では観客の記憶にある劇場、カメラが捉える劇場、演劇に満たされていく劇場など、シアターコクーンの多彩な表情に アプローチ。映像と演劇の境界を泳ぎながら「演劇とは何か?」に迫る。
本企画は、「劇場から演劇を発信したい、劇場の空気を感じてほしい」と考えていたシアターコクーンと、ICTを活用した文化芸術振興にかねてから取り組んでいるNTT東日本の協力により実現。今までの舞台中継とは一味違う、“ライブ配信のための演劇”を模索し、映像とライブパフォーマンス両方の“いいとこ取り”な作品を目指す。
その鍵を握るのは、シアターコクーン初登場の若きアーティストたち。歌舞伎から現代劇まで多彩な演目にシャープな目線で斬り込む杉原邦生。劇場機構を大胆に使ったパフォーマンス作品『インターンシップ』を始め、空間の環境的文脈を辿り、その根幹にあるものを描き出す梅田哲也。さらにBaobabの北尾亘、ミュージシャンの角銅真実ら7名の生演奏も加わって、劇場に新しい風を吹き込む。
“眠っている劇場が再び動き出していく”様子を、普段は見ることができない機構や空になった舞台、舞台裏やスタッフまでをも作品に取り込み、「演劇とは何か」という問いに思いを巡らせながら、試行錯誤を繰り返し、生み出される新しい観劇体験に注目だ。
コメント紹介
◆森山未來
普段シアターコクーンさんと仕事をさせていただく時は、脚本があっていろいろ決まっていることの中に入っていくのが基本。でも今回は、立ち上げから関わらせていただいて、何を作るかみんなで話し合うというところから作ってきました。フレミングがはっきりして作るものは硬質なイメージだけど、今回は生まれたての何かしらの柔らかさがあるような、 そういったものを扱っている感触があります。
この作品は、配信と謳っていますが、当日は観客もいて僕としては不思議な感覚になると思います。いわゆる演劇を映像用に収録する作品ではないので、映像として楽しめる作品になっていると思います。その中で、華ちゃんと作り上げている言葉の世界、演劇の世界をどう体感してもらえることになるのか。
まだ作り途中ですが(!)、生で見る、体感することが演劇体験なのならば、それって何だろうと一緒に考える時間になって欲しいなと。観劇に食指が動かない人や、演劇というものに抵抗がある人、いろんな角度の人からこの作品を見てもらってどう感じるのかを僕は知りたいです。
◆黒木華
本番への手応えはまだ分からないのですが、初めてご一緒する梅田さん、杉原さんと、これまで立たせてもらっていたシアターコクーンで、劇場のあらゆるものを使って一つの新しいかたちの作品が出来上がっていく、動き出していくのを体感できることがすごく楽しく、自分の中になかった新しい発見もあることがとてもおもしろいです。
未來さんとの共演は、未來さんにどういう風に見られているのかちょっと怖いです(笑)。 未來さんがおもしろがってくれることをやりたいけど、自分も楽しんでいなければいけないし、観ている方をハっとさせたいし、そういう方がおもしろいと思うんです。
劇場に来たくても来られない方たち、舞台が好きな方たちにはもちろんそうですが、お芝居を観たことのない方が映像で観て、生でいつか観てみたいなとも思ってもらいたいです。パソコンや携帯、テレビなどの平面の中でもそこに座っているかのように劇場の空間を感じてもらえるように、がんばりたいです。
配信情報
シアターコクーン ライブ配信『プレイタイム』
【配信日】7月12日(日)19:30~(上演時間約55分)
【原作】岸田國士「恋愛恐怖病」ほか
【構成・演出】梅田哲也
【演出・美術】杉原邦生
【出演】森山未來、黒木華、北尾亘
【演奏】角銅真実、秋生智之、ハラナツコ、竹内理恵、巌裕美子、千葉広樹、古川麦
【ライブ配信チケット】イープラス「Streaming+」
購入先URL:イープラス eplus.jp/playtime/
【料金】2,500円(税込) ※7月12日(日)23:59まで
※ライブ配信終了後、アーカイブ配信として7月19日(日)23:59まで視聴可能
【「プレイタイム」公式サイト】https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_playtime/
【「プレイタイム」公式Twitter】@cocoon_live
(撮影/大久保惠造)