「ロード・エルメロイII世の事件簿」稽古場レポート! 松下優也、青野紗穂らによる神秘と幻想、魔術と謎の交錯する音楽劇

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2019年12月15日(日)の千葉・市川市文化会館 大ホールにおけるプレビュー公演を皮切りに、12月19日(木)より東京・なかのZERO 大ホールにて音楽劇「ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」が上演される。本番を間近に控えた都内の稽古場を取材した。

原作となる三田誠の小説「ロード・エルメロイII世の事件簿」は、コミカライズやTVアニメなどのメディアミックスを展開しており、初舞台化となる今作は原作小説の1巻にあたる。

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魔術師たちの総本山・時計塔で教鞭を執る「ロード・エルメロイII世」が、内弟子の少女「グレイ」と共に魔術の世界で引き起こされる様々な事件に立ち向かっていく姿を描く魔術ミステリー。

出演は俳優・アーティストとして確かな実力を持つ、松下優也と青野紗穂を迎え、納谷健、伊崎龍次郎、浜崎香帆、百名ヒロキ、木戸邑弥、松田慎也、木村風太、種村梨白花とソニア(Wキャスト)、植田慎一郎、玉置成実、花王おさむ、壮一帆ら華やかで実力も備えた面々が顔を揃える。総合演出にはウォーリー木下、脚本を斎藤栄作、演出を元吉庸泰が手掛ける。

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【あらすじ】
『時計塔』。
それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。
この『時計塔』において現代魔術科の君主ロードであるエルメロイII世は、とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。
城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。
だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。

(以下、記事内で一部ストーリーに触れています)

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まず稽古場で目を引いたのが、中央にある立体的で迫力ある半円形のセットだ。回転するセットは、まだ仮組みではあったが、ミステリー作品のシチュエーションとしてこのセットを用いてどんな事件が起きるのか、いやが上にも期待が高まる。

稽古は、元吉の「遠慮なくいろいろやってください。初めてのことがあると思いますが、流れをまず確認します」との呼びかけで始まり、まず5場の剥離城アドラでの晩餐会シーンが公開された。

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ミステリー作品の序章を思わせる関係者たちが一堂に集うシーンでは、神経質で気難しげだが優しい面もあるエルメロイII世、内向的だがエルメロイII世に全幅の信頼を寄せるグレイ、謎めいた魅力を持つ化野を、松下、青野、壮が原作のキャラクターらしさを醸し出しながら演じていた。さらに、晩餐会として多くの登場人物立ちが同時に会話をする中、メインの台詞回しの裏で、元吉の言葉どおりに木戸と松田が生き生きと演じる姿が目の前で繰り広げられた。

続いて公開されたのは6場のハイネによる回想とアクションシーン。ハイネの魔術や、謎の怪物とのバトルなど独特の世界観が楽しめるシーンとなっていた。元吉の「物を持っているから、ゆっくりでいいですよ」との指示のもとで、百名が一つ一つ動きを確かめながらも、時折スピード感あるアクションを披露。稽古場のため、紗幕やスクリーンを用いた映像演出はなく、効果音のみだったが、エキサイティングな殺陣が繰り広げられた。

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最後に公開された7場は、エルメロイII世の生徒であるフラット役の納谷とスヴィン役の伊崎も登場し、ライネス演じる浜崎によって、第四次聖杯戦争に参加したウェイバーの姿が語られる。

その7場では、幼くしてエルメロイ家をまとめる尊大さを見せる演技でライネスを務める浜崎の言葉をバックに、くぐり抜けてきた激しい戦いの苛烈さと悲しみを植田が演じる。加えて、シリアスな物語にアクセントをもたらすキャラクターであるフラットとスヴィンを、納谷と伊崎が愛くるしいコミカルな表情で見せてくれていた。

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シーンに区切りがつくたびに、元吉は「これから整理していきましょう」と言葉を掛けて、メインキャストだけでなく、アンサンブルたちも集めて細やかな演出を行っていた。特にウェイバーの持つ令呪に対する心情など、原作をリスペクトしながら演出する姿が印象的だった。

また、今作ではステージ上で魔術を表現するために、スタッフとしてマジック監修を入れての本格的なマジックの手法も用いられており、休憩中にキャストたちがマジックを練習する姿も目を引いた。

魔術ミステリーという異色作品の初舞台化となる今作。公開された一部シーンの稽古だけでも、独特の世界観や台詞回しなど原作の雰囲気を感じさせつつ、そこに音楽劇としての魅力をプラスした作品となっており、開幕が待ち遠しい稽古場となっていた。

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音楽劇「ロード・エルメロイII世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」は、以下の日程で上演される。

【プレビュー公演】2019年12月15日(日) 市川市文化会館 大ホール
【東京公演】2019年12月19日(木)~12月23日(月) なかのZERO 大ホール
【大阪公演】2019年12月26日(木)~12月28日(土) サンケイホールブリーゼ
【久留米公演】2020年1月11日(土)・1月12(日) 久留米シティプラザ グランドホール
【東京公演】2020年1月17日(金)~1月19日(日) 新宿文化センター 大ホール

【公式サイト】https://stage-elmelloi.com/
【公式Twitter】@elmelloi_stage

(C)三田誠・TYPE-MOON / LEM STAGE PROJECT

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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