2020年2月から3月にかけて上演される『お勢、断行』よりメインビジュアルが公開された。本作は、劇作家・演出家の倉持裕が、江戸川乱歩の「お勢登場」の主人公である稀代の悪女・お勢をモチーフに書き下ろす、善悪せめぎ合う新たな謀略の物語。出演者には、倉科カナ、上白石萌歌、江口のりこ、柳下大、池谷のぶえ、粕谷吉洋、千葉雅子、大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善が決定していた。
倉持は、2017年に江戸川乱歩の書いた8本の短編を、再構成し1本の物語に仕立てた『お勢登場』を上演。今回が二度目の倉持作品への出演となる倉科が、自らも悪事に染まりながら、企みを巡らす人間たちに正義の鉄槌を下さんとする主人公・お勢を演じる。倉科は、倉持作品は二度目の参加。倉持と初顔合わせとなる上白石は、物語の中心となる謀略の被害者・資産家の娘役を演じる。
ビジュアルと共に、倉持、倉科、上白石よりコメントが届いた。
◆倉持裕(作・演出)
江戸川乱歩『お勢登場』の主人公である悪女お勢を、大正末期から昭和初期という時代背景はそのままに、また別の、黒い思惑の絡み合った場所に送り込み、活躍させたいと思ったのが始まりだった。
財産目当ての謀略によって、隔離病棟に幽閉された資産家。共犯者に黙ってめいめい大小さまざまな罪を犯す悪人たち。彼らに独自の倫理観でもって制裁を加えようと目論むお勢。
そうした筋立ての物語を、あえて細切れに解体し、同一の場面を複数の視点で繰り返し描き、皆様を、善悪が目まぐるしく入れ替わる世界へといざなう試み。
◆倉科カナ
倉持さんとは2回目です。倉持さんの作品はとても言葉が巧みで、見終えた後も劇中の台詞が頭から離れないような感覚が残ります。観るのも演じるのも大好きな倉持さんの舞台で、このお話をいただいた時はとてもプレッシャーを感じましたが、大きなご褒美をいただいたような気持ちです。とても嬉しくて、幸せを感じています。今回は悪女お勢を演じますので、悪女とは何か考えながら、けれども、お勢はまずどのような人物かに向き合っていきたいと思います。作品を作る過程は大変ですが、今回、江戸川乱歩と倉持さんが出合い刺激的な作品となると思います。共演させていただく手練れの俳優さんたちと共に努力し楽しみたいと思います。ぜひ劇場にいらしてください。
◆上白石萌歌
倉持さんの作品がとても好きで、姉が出演していたこともあり『火星の二人』(竹生企画、2018)は二度観ました。何度も味わいたくなるような倉持さんの世界観に惹かれ、いつかご一緒したいなと思っていたので出演が決まって嬉しかったです。私が演じる資産家の娘は、この物語の中では、一番かきみだされ、振り回される立場にあると思います・・・無垢な少女が復讐に関わっていくうちに、成長し、変化していく姿を楽しんで演じたいと思います。静かにお芝居が広がっていく力を持つ世田谷パブリックシアターという空間で、しっかり皆さんには迫力と熱量をお伝えしたいと思います。劇場でお待ちしております。
【あらすじ】
大正末期、資産家の松成千代吉の屋敷に身を寄せた女流作家、お勢(倉科)がいる。
その屋敷には、千代吉の娘(上白石)と住み込みの女中(江口)、そして千代吉と小姑(池谷)からの圧力に苦しむ後妻(大空)がいた。
ある日、千代吉に屈辱を受けた代議士(梶原)は、後妻と結託し、松成家の財産をすべて奪い去ろうと、千代吉を狂人に仕立て上げる計画を練る。
女中、精神病院の医院長(正名)、貧しい電灯工事夫(柳下)らを巻き込み、首尾よく進むかに見えたが、第一の殺人がおき、計画は思わぬ惨劇へと突き進む――。
『お勢、断行』は、以下の日程で上演される。
【東京公演】2020年2月28日(金)~3月11日(水) 世田谷パブリックシアター
チケット一般発売日:2019年12月15日(日)
【愛知公演】3月14日(土) 春日井市民会館
【島根公演】3月17日(火) 島根県芸術文化センター「グラントワ」大ホール
【兵庫公演】3月21日(土)・3月22(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【香川公演】3月25日(水) サンポートホール高松 3階大ホール
【長野公演】3月28日(土) まつもと市民芸術館 主ホール