俳優活動10周年を迎え、本気の音楽プロジェクトを始動させた山﨑晶吾。「音楽」を届ける上で、もう一つのクリエイティブが重要な要素となる。それが、プロジェクトの世界観を決定づける「ビジュアル」である。
音楽プロジェクトを成功に導くためには、耳で聴くサウンドだけでなく、目に映るすべてのビジュアルを完璧にコントロールする必要がある。本記事では、「アーティスト・山﨑晶吾」を生み出すビジュアル撮影現場の裏側に密着。クリエイティブチームのアイデアと、被写体としての山﨑が感じた想いなどをレポートでお届けする。

両極端な二面性で目指す「妥協なき世界観の構築」
デモテープの音源が流れる中、スタジオにはカメラのシャッター音が響く。
今回の音楽プロジェクトにおいて、クリエイティブチームが掲げた目標は「世界観の同期」だった。目指すのは、耳に届く楽曲、アーティスト写真、そして将来的に展開されるライブグッズに至るまで、「アーティスト・山﨑晶吾」としてすべての世界観を統一させること。
その中核となるビジュアルのコンセプトとして据えられたのが、「ほんのりとダークでアーティスティックな空間に差し込む一筋の光」という構想であった。これまでの俳優・山﨑晶吾が見せてきた、親しみやすく爽やかな笑顔とは明確に一線を画すイメージだ。誰かを演じるのではなく、自らの内面を削り出して表現するアーティストとしての、鋭く、そして深い表情を引き出すための緻密な算段が組まれていた。
そして、この強烈な世界観を表現するためにもう一つ設定されたのが、「アーティスト・山﨑晶吾」と「俳優・山﨑晶吾」という二面性だった。制作が進められていた楽曲をテーマにし、その曲の持つエネルギーに合わせて「シック」と「ポップ」という、あえて両極端な2パターンのシチュエーションが用意された。
【シック編】夜の静寂、悩める人間の色気と「風に揺られる一切れの紙」
1つ目のパターンは、ダークな空間で魅せる「シック」な撮影。このコンセプトの根底には、「3年後、5年後のビジョンを考えたって仕方がない。今、目の前にある事を、とにかく一つ一つこなしていくことが未来に繋がっていく」。山﨑の持つ、泥くさくも誠実な想いを言葉にし、ビジュアルのテーマに据えた。
風に翻弄されながらも確実にそこにある一切れの紙。不確かな未来とまっすぐに向き合う山﨑自身をそんな風に例えながら、シックな空間の中で山﨑の身体を通して視覚化していく。
山﨑自身は、この撮影について、「夜寝る前とか、色々なことを考えるじゃないですか。自分自身を見つめ直す時間って、朝じゃなくて夜に来ると思うんです。今回の撮影は、まさにそんなイメージでした」と、自身の解釈を語った。
さらに彼は、被写体としての独自の美学も口にした。「悩んでいる人って、少し色気を感じるような不思議な魅力を放っていると思うんです。自分が持っているそんなイメージを心に浮かべながらカメラの前に立ってみました」。暗闇の中で一筋の光を浴び、自らの内面と深く向き合い、葛藤する人間の姿。「シック」なビジュアルは、このようなクリエイティブチームと山﨑のセッションの中で作られていった。
【ポップ編】背景に溶け込む・・・一枚のアート作品への昇華
続く2つ目のパターンは、打って変わって「ポップ」な撮影となった。ここで山﨑は、これまで10年間培ってきた「俳優としての撮影」と「アーティストとしての撮影」の決定的な違いに直面し、大きな衝撃を受けたという。
「今まで、グッズのための撮影などでは、基本的にカメラ目線で、顔がアップになることが多かったんです」と山﨑。ファンが求める「山﨑晶吾の美しい顔」を直接的に届けるのが、これまでのセオリーであった。
しかし、今回の音楽プロジェクトにおけるビジュアル撮影のアプローチは異なっていた。「今回は“背景”が先に決まっていて、その背景と自分が完全に一体化している感覚でした。自分を前面に出すというより、背景の中に自分が溶け込むような・・・。自分を撮っていただいているようで、自分じゃないみたいな、不思議な感覚でしたね」。
彼が肌で感じたその感覚こそが、クリエイティブチームが狙っていた「アートへの昇華」だろう。山﨑の美しい顔だけを切り取るのではなく、楽曲の世界観、彼自身の存在、そして写真という空間、そのすべてが融合して初めて成立する「ひとつのアート作品」が生み出されていった。
【多面性と余白】正解のないアート、ミステリアスなイメージが生み出す幻想

さらに、このポップな撮影の中では、キューブの影などを巧みに利用した演出も行われた。光と影、そして幾何学的なオブジェの配置によって、「人間の多面性」を表現しようとする試みである。
試行錯誤が行われる背景を背に、山﨑は「見たものに正解なんてないじゃないですか。それはそれでいいんじゃないかって思うんです。一人一人に、色んな考察をしてもらうのが好きなんですよね」と、受け手に想像の余地を委ねる楽しさを口にしていた。
「自分のことを深く理解してくれているスタッフさんや、色んな作品を見てくれている方が現場にいてくださる。だからこそ、自分自身のイメージと、周りが見てくれているイメージをうまいことマッチングさせることができました。まだ新しい表現の入り口に立ったばかりですが、確実に『新しい自分』が出てきているような気がしています」と、周囲への絶大な信頼関係があるからこそ、彼は新たな表現領域へと躊躇なくダイブすることができたと語ってた。
カメラマンを唸らせた圧倒的な「目」の引力
当初、クリエイティブチームの中には「漫画のような」二次元的なイメージの構想もあったという。しかし、実際にカメラを通して山﨑の生身の魅力を捉えていく中で、良い意味でその想定は崩れ去っていった。試行錯誤を繰り返しながらも、最終的には「最初のイメージとは少し違うけれど、むしろすごく面白い仕上がりになった」と、クリエイティブチームは早々に仕上がりに自信を見せていた。
今回、撮影を担当したのはフォトグラファー・水津惣一郎。カメラのブレや光をうまく活かし、被写体から得たイメージを現場で膨らませながら次々とその場で生まれるアイデアを形にしていくことが非常に上手いカメラマンである。そんな彼に、山﨑の印象を聞いたところ、「目の引力」という言葉が飛び出した。
山﨑の瞳の色は特徴的で、透き通るような綺麗な色合いをしている。通常、被写体を遠くから捉える「引きの画角」で撮影をすると、顔のパーツの印象はどうしても薄れてしまうものだ。特に、今回はあえてそのような撮影を中心としている。
しかし山﨑の場合、どれだけカメラが引いても、その特徴的で美しい目の印象が強烈に残り、一枚の写真としての強度が全く落ちないのだという。水津「最初にファインダーを覗いた瞬間から、目の力に引き込まれました。引きの画角になるほど普通は表情の情報量が減っていくものですが、山﨑さんは違いました。距離を取っても、視線を外していても、写真の中で真っ先に目がこちらへ飛び込んでくる。その引力は本当に希有だと思います。あと、足が長くて・・・」確かに、キューブを使った撮影では山﨑の長い足をどのような角度に持っていったらいいのか悩む・・・という、ちょっと笑ってしまうような課題に直面する一幕もあった。
山﨑晶吾が提示する「次なる景色」
内面の葛藤と色気を閉じ込めた「シック」、そして空間と一体化し一つのアート作品として昇華された「ポップ」。全く異なる二つの顔を完璧に演じ分け、いや、演じるのではなく内面から滲み出させた山﨑晶吾の新たなビジュアルは、楽曲群とともに一つのパッケージとしてまとめ上げられていっている。
この撮影で生み出された写真は、現在、公開されているメインビジュアルのほか、ライブグッズとして展開されている。事前予約はすでに受付終了となっているが、ライブの開催が近くなったら、改めて購入方法がアナウンスされるとのこと。お楽しみに。
風に揺れる一切れの紙のように不確かだったイメージは、圧倒的な美しさを伴うビジュアルという形を得て、確かな輪郭を持ち始めた。俳優という枠組みを軽やかに飛び越え、「アーティスト」として立ち上がった山﨑が見据えるのは、Zeppという大舞台。
7月31日(金)には、4th Digital Single 「Beautiful Noise」の配信が始まる。少しずつヴェールを脱いでいく楽曲たちの全容を楽しみに、今後の動向も追いかけていきたい。
リリース情報
2026.7.31(Fri) 0:00 山﨑晶吾 4th Digital Single 「Beautiful Noise」
▼音楽配信リンク
https://bfan.link/beautiful-noise





