鈴木裕美と俳優4人が作る「古くて新しい」友人たち『絢爛とか爛漫とか』ロングラン公演スタート

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2019年8月20日(火)に東京・DDD青山クロスシアターにて、舞台『絢爛とか爛漫とか』が開幕した。本作は、飯島早苗の脚本で、1993年に自転車キンクリートSTOREが鈴木裕美の演出で初演。今回は安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹という顔ぶれで、再び鈴木裕美が演出する。

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登場人物は、4人の若き文士たち。新人小説家・古賀(安西)は、処女作以降2作目が書けずに悩んでいた。そんな彼の部屋には、批評家志望のモダンボーイ・泉(鈴木勝大)、自称・耽美小説家の加藤(川原)、破天荒で自由に生きる諸岡(加治)らが集ってくる。たわいもない会話を繰り返し、互いの才能をうらやみ、憧れ、移り変わる季節の中で揺れ動く夢。理想と現実の間で葛藤し、友情や恋にもがきながら、それぞれの道を探していく・・・そんな青年たちの、等身大の姿が丁寧に描かれている。

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快作誕生の予感だ。本作は、男性が演じる「モダンボーイ版」だけでなく、女性が演じる「モダンガール版」など、これまでにも様々な形で上演され続けてきた。4人の俳優たちは、当て書きかと思うくらいハマり役。観客を一気に昭和初期・・・知らないけれど、懐かしい時代へと連れ去ってくれた。また、作り込まれた舞台セットの一つ一つにも物語を感じるし、音や光の変化も静かに刺激的。

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細かいところまで丁寧に作りこまれた俳優たちの姿からは、濃密な稽古の気配が感じられる。とにかく、4人のバランスが絶妙。大変な長台詞はもちろん見どころだし、ぜひその反対・・・言葉を発していない瞬間の表情などにも注目して見てもらいたい。

バカさわぎの裏側で、一生懸命悩み、あがく若者の姿は滑稽で、時々胸の奥が痛くて、かわいらしい。渋谷という時代の最先端をいく街の地下で、時代を越えていく演劇のおもしろさ。人生における青さに、尊い光が灯っていた。

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以下、出演者4名と演出の鈴木から届いた初日コメントを紹介。

◆安西慎太郎(古賀大介役)
ついに幕が開きます。正直、胸の高鳴りがすごいです。ドキドキ、ワクワクしています。カンパニー全員で過ごしてきた時間を信じ、手を取り合い、とにかく楽しんでやっていきたいと思っています。ご観劇いただけるお客様、楽しみにしていてくださいませ。

◆鈴木勝大(泉謙一郎役)
今回の作品では、1ヶ月稽古を経た今でも芝居中に新たに見つけることが多くあります。なので、これから始まる本番の期間の中でも、舞台上の古賀・諸岡・加藤を見て想定していなかったような感情も抱くのかもしれないなとワクワクしております。観劇にいらしてくださる皆様にも舞台上の4人と過去の自分が結び付くような素敵な瞬間がきっとあると思います。ぜひ、楽しみにいらしてください。

◆川原一馬(加藤常吉役)
この作品は、上質な芝居というものを意識して稽古させてもらってきた作品なので、部屋に置いてあるものから細かい動作、4人の中で繰り広げられる会話一つ一つを楽しんでいただけたらと思います。作品の中で4人それぞれが、その時に起こったことを受けていけるよう、ギリギリまで僕たち4人も挑戦したいと思います。

◆加治将樹(諸岡一馬役)
『絢爛とか爛漫とか』、幕が上がりました。今日までキャストスタッフ一丸となり、濃密な稽古をしてまいりました。昭和初期の日本、四季折々の音や匂いと共に今を懸命に生きる若者の姿をご覧いただき、今作が皆様の明日への活力となれば、この上ない幸せでございます。これを書いてるのは初日の幾日か前。きっと我々、初日は心臓バックバクのドッキドキのことと存じます。皆様の笑顔がそれを救う唯一の方法です。
ぜひお楽しみにください。そしてご来場心よりお待ち申し上げます。

◆鈴木裕美(演出)
この度、21年ぶりにこの戯曲を演出するという機会を得、まず感じたことは「ああ、またあの4人に会えるんだな」という喜びでした。演劇と小説で住む世界は多少違いますが、同じく創作に携わる同志として、かけがえのない友人として、彼らは常に私の中に居ました。現代の青年たちを通して、まだ会ったことのない古賀、師岡、泉、加藤に出会えたことは望外の喜びです。彼らの息遣いや体温まで感じていただけるような親密な劇場です。私の古くて新しい友人たちに、どうぞ会いに来てください。

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『絢爛とか爛漫とか』は、9月13日(金)まで東京・DDD青山クロスシアターにて上演。上演時間は、約2時間10分(休憩なし)を予定。

◆アフターイベント詳細
8月21日(水)19:00公演 「この“才能”に惚れている!」
【登壇】安西慎太郎×ゲスト・宮崎秋人(俳優)
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”をテーマに、キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー

8月22日(木)19:00公演 「この“才能”に惚れている!」
鈴木勝大×ゲスト・小野田龍之介(俳優)
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”をテーマに、キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー

8月27日(火)19:00公演 「古賀会」
【登壇】安西慎太郎×加治将樹×ゲスト・土屋佑壱
2007年に上演された本作で古賀大介役を演じた土屋裕壱を招いて、ダブル古賀と諸岡の3人で古賀談義を繰り広げる

8月28日(水)19:00公演 「『絢爛とか爛漫とか』創作ノート」
【登壇】鈴木裕美
本作への理解が深まること間違いなし!演出・鈴木裕美が本作の舞台美術や演出効果について解説

8月29日(木)13:00公演 「『絢爛とか爛漫とか』誕生秘話」
【登壇】飯島早苗×鈴木裕美
繰り返し上演されつづける本作の戯曲について、この物語を生み出した二人がトーク

8月29日(木)19:00公演 「演劇人生26年の歩み」
【登壇】鈴木裕美×ゲスト・山西惇
本作の初演は26年前・・・その時“何を想い、何をしていたのか”劇団活動から始めた二人が演劇人生を語る

8月30日(金)19:00公演 「この“才能”に惚れている!」
川原一馬×ゲスト・須賀健太(俳優) 「この“才能”に惚れている!」
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”をテーマに、キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー

9月2日(月)19:00公演 「男子会 part.1」
【登壇】安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
1ヶ月の稽古、そして本番を共に過ごしてきたキャスト4人によるトークショー第1弾。

9月4日(水)13:00公演 「男子会 part.2」
【登壇】安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
1ヶ月の稽古、そして本番をともに過ごしてきたキャスト4人によるトークショー第2弾。

9月5日(木)19:00公演 「この“才能”に惚れている!」
【登壇】川原一馬×ゲスト・永田崇人(俳優)
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”をテーマに、キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー

9月11日(水)19:00公演 「この“才能”に惚れている!」
【登壇】鈴木勝大×ゲスト・TAKAHIRO(プロダンサー・振付師)
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”をテーマに、キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー

※追加ゲスト予定あり、続報は公式サイトにてご確認を

【公式サイト】https://kenran.westage.jp/

(取材・文/エンタステージ編集部 1号、撮影/神ノ川智早)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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