2019年4月26日(金)に、New Musical『Color of Life』が神奈川・相模女子大学グリーンホール 多目的ホールにてプレビュー公演を迎える。本作は、演出家・石丸さち子と音楽家・伊藤靖浩により生み出されたオリジナルミュージカル。今回は、東啓介と青野紗穂のタッグで上演される。“出会いの物語”が、どのように色づくのか?その稽古場を取材した。
「Color of Life」は、アメリカ・ニューヨークで開催されたオフ・オフ・ブロードウェイの国際演劇祭「Midtown International Theatre Festival」で上演され、最優秀ミュージカル作品賞ほか計4部門を受賞した作品。劇中では画家・和也と女優・レイチェルを主軸としたストーリーが展開。日本では、2016年に上口耕平とAKANE LIV、鈴木勝吾とはねゆりにより日本語で初上演、2017年に上口耕平とAKANE LIVで再演されている。
【あらすじ】
男は画家。大震災を機に、画題を見失ってしまった。
女は女優。心から愛した同性の恋人と死に別れたばかり。
二人は、飛行機で偶然隣りあわせになり、惹かれあい、N.Y.の彼女の部屋で一緒に暮らし始める。
二重国籍で同性愛者の彼女と、絵を描くこと以外に世界とつながる方法のなかった彼は、相手に向き合い、自分と向き合っていく。パレットの上で混じりあう絵の具のように、人生が響き合い、新しい色が生まれていく。
でも、やがて観光ビザの決めた90日の猶予が近づいてきて・・・。
取材日は、90日の猶予が迫るのを感じながら過ごす二人の日常シーンの稽古が繰り返された。発声練習を終えた東と青野は、まずシーンを通していく。小道具のやりとりから、台詞まで、台本には書かれていないことを一つ一つ作り上げる。何気ない恋人同士の日常に見えるが、その裏にはそれぞれの複雑な思いが見え隠れする。
迫る期限への意識や、伝えていないことへの迷い・・・。しかし、石丸から二人には「祭りを盛り上げる感じで!」と声が飛ぶ。そのまま受け取れば消極的なシーンも、二人の感情の込め方や動きの付け方一つで、相手を思う、愛しくてたまらない気持ちが溢れたシーンに変わる。
特に、青野が演じるレイチェルの感情と行動は、裏を読めば読むほど複雑だ。石丸から矢継ぎ早に放たれる「レイチェル」という人物像の断片に、青野が食らいつく。例えば「あっ!」という急に何かを思い出す、何気ない一言にも、「なぜそのタイミングで思い出したのか?」「(相手に)聞いてほしい!」といういくつもの感情が乗っている。そういった瞬間を積み重ねていくことで、自然と人物の輪郭がはっきりとしてくる。青野が表現するレイチェルが、キュートに動き出すのが分かった。
東が石丸の演出を受けるのは、ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』『マタ・ハリ』『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』に続き4度目となる。この短期間に同じ演出家の作品への出演が続くことはあまりないことだが、それ故に、信頼関係は抜群の様子。石丸の求める和也像に瞬時に応えながら、青野の変化を優しく受け止めていく。そんな東だが、停電のシーンでサクサク動いてしまい、石丸から「そこは見えていないから(笑)!」と突っ込まれ、「ああそうだ・・・」と苦笑いする場面も。状況を共有しながら、丁寧な場面づくりが続いた。
石丸が特に大切にしていたのは「あれ」という一言。「あれやってよ」といった何気ない一言は、実は観ている側に分かることばかりではない。それは、二人の中だけにある思い出であり、二人が共有してきたものの証。うまくいってもいかなくても、互いを思いやりながら過ごしてきた90日が、舞台上には流れている。
この『Color of Life』において、東と青野のペアは最年少となる。初演、再演をご覧になった方は、また、ずいぶんと印象の違う「和也とレイチェル」に出会えるのではないだろうか。
New Musical『Color of Life』は、4月26日(金)に神奈川・相模女子大学グリーンホール 多目的ホールにてプレビュー公演を行ったのち、5月1日(水・祝)から5月27日(月)まで東京・DDD青山クロスシアターにて上演される。一部日程では、アフタートークを実施予定。詳細は、公式HPにてご確認を。
【アフタートーク】
5月3日(金・祝)17:00公演 ゲスト:相葉裕樹
5月4日(土・祝)17:00公演 ゲスト:納谷健
5月9日(木)19:00公演 ゲスト:上口耕平
5月10日(金)19:00公演 ゲスト:渡辺大輔
5月15日(水)19:00公演 ゲスト:松岡充
5月16日(木)19:00公演 ゲスト:前島亜美
5月17日(金)19:00公演 ゲスト:三津谷亮
5月22日(水)19:00公演 ゲスト:三浦涼介
5月23日(木)14:00公演 ゲスト:前山剛久
※司会進行は10日・16日は青野紗穂、その他の回は東啓介が担当
【公式HP】https://coloroflife.westage.jp/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)