真矢ミキが、2019年12月に約5年ぶりの舞台復帰を果たすことが分かった。作品は、フランスの劇作家ヤスミナ・レザによる4人芝居『正しいオトナたち』(原題:『Le Dieu du carnage』)。
『Le Dieu du carnage』(原題)は、2008年にフランスでレザ自身の演出で初演され、同年3月にはイギリスの俳優レイフ・ファインズらの出演で2009年のローレンス・オリヴィエ賞演劇部門最優秀新作コメディ賞、同年ブロードウェイ版はトニー賞演劇部門最優秀作品賞のほか、最優秀主演女優賞と最優秀演出家賞の計3部門などを受賞した。また2011年にはレザとロマン・ポランスキーの共同脚本、ポランスキーの監督で映画化も果たしている。
物語は、子ども同士の喧嘩を発端にお互いの両親による話し合いから始まる。進歩的な考えを自負している親たちは冷静に事態を収めようとするが、話し合いは次第にエスカレート。4人個々の主義主張、夫婦間の亀裂まで一気に加速していく。真矢は、喧嘩で怪我を負わされてしまった子どもの母親役を演じる。
出演発表にあたり、真矢から以下のコメントが届いた。
◆真矢ミキ
今回、私にとってほぼ初めてに近いストレートプレイです。舞台自体も5年ぶりで、久しぶりの怖さもありますが、今はめちゃめちゃ楽しみです。やっぱり大人になって半世紀もすぎるとですね(笑)、だいたい一巡、二巡して何となく人生が分かってきたみたいなところに漂いがちですが、自分を律するためにもこの辺で逃げ場のない4人だけの芝居という環境にどっぷりつかりたいです。映像の瞬発力とは全然違う舞台で、久々に一冊の台本をしっかりと深く頭に入れ込むという作業をこれから苦しみ、楽しみたいと思っています。
今回の舞台『正しいオトナたち』はいかに大人が普段理性と共に隣り合わせで生きているかというところです。前頭葉が理性として止めるのですが、その前頭葉が崩壊していくという・・・どこまで大人ってギリギリに「大人」という言葉で立っていようとしているのか、一回りして理性がポンと取れた時に、果たしてそれは「大人越え」をしている何かが見えるのか、それとも長く生きた経験は一体何だったんだと感じ、赤子のように戻ってしまうのか、それとも廃人と化して老人となってしまうのか、私はその辺がすごく楽しみです。
理性って我慢なのか、それとも正義なのかみたいなところが見どころだと思います。どこで共演者の皆さんがキレるのか、そしてどこでまた取り戻すのか、そういったことが毎日違うと思うので、日々敏感に感じとって演じていきたいと思います!
【あらすじ】
舞台はウリエ家の居間。ウリエ夫妻(妻ヴェロニック/夫ミシェル)とレイユ夫妻(妻アネット/夫アラン)が対峙している。“安全”と思われる公園で、レイユ家の息子が、ウリエ家の息子に怪我を負わせてしまったのだ。お互いを探りながら、冷静に話し合いは始まる。二組ともそれなりの家庭であるとの自負がある。ミシェルは小売業を営み、ヴェロニック(真矢)はアフリカの事情に詳しく本を執筆中。アランはやり手の弁護士で、アネットは資産運用の仕事をしている。レイユ夫妻は地位と裕福さを匂わすが、ウリエ夫妻は良識ある家庭を築いていることを強調する。
そんな緊迫した話し合いの最中なのに、アランは携帯をはなさず、仕事の緊急事態に下品とも言える指示を出し続け、妻のアネットは次第に気分が悪くなり、ついには嘔吐してしまう。汚物にまみれる居間。そこから事態は、思わぬ方向に。お互いに本音むき出しのバトルが始まる。もはや制御不能となった大人たち。
これは果たして悲劇か、それとも喜劇か・・・。
『正しいオトナたち』は、9月に東京・グローブ座にて上演予定。