究極の3人芝居『ART』にイッセー尾形、小日向文世、大泉洋が挑む

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フランスの劇作家ヤスミナ・レザの最高傑作とも言われる3人芝居『ART』が2020年3月より上演されることが明かされた。

本作は1994年にパリのシャンゼリゼ劇場で初演され、極上のコメディとして賞賛。その年のモリエール賞で最優秀作品賞を受賞。1996年にはウエストエンドで上演され、オリヴィエ賞で最優秀新作コメディ賞を受賞。また1998年にはブロードウェイでも開幕し、トニー賞で最優秀作品賞を受賞する等、世界各地で絶賛を博している。

作品は長年、親友であった3人の男が一枚の絵をめぐって大ゲンカを繰り広げる、90分のノンストップコメディ。一枚の絵をきっかけに人間関係が浮き彫りになり、心の奥底にしまってあった憎悪が吹き出してしまう。人間の怒り、憎悪が瞬間的に方向を変えるストーリーの巧みさは、まさにヤスミナ・レザの真骨頂である。

今回は演出家に小川絵梨子を迎え、イッセー尾形、小日向文世、大泉洋がこの3人芝居に挑む。作成されたロゴはキャストの3名が実際に描いたもの。大きな白いキャンバスにイッセーが「A」、小日向が「R」、大泉が「T」を描き、組み合わせたデザインとなっている。

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◆イッセー尾形
翻訳劇は初めてです。今まで一人(独り芝居)でやるのがずーっと忙しかったから(笑)。ほんとうに一人でやるのが楽しくて、ずっとやっていました。でも六十歳になってフリーになりまして。ちょっとずつ井戸から外に出てきて。ミュージカルもやったことがあるんですよ、すごいでしょう!歌ったんですよ、いっぱい人がいる中で(笑)。オペラもやりました。

だから翻訳劇も大丈夫かなと。共演が小日向さんと大泉さんですから。芸達者な御二人と一緒ですから、何とかなるんじゃないかなーと思って(笑)。でも何人かでやる場合は一番大事なのは力の配分。ここは力を入れる、ここは抜くという。そこが難しいですね。

この戯曲の魅力は、読んだ時の印象がその時その時で変わるんですよね。最初読んだときは、支配、非支配の関係で読んだんです。友情って言いながら、結局相手の領土をどんどん侵していく、侵されまいとするという攻防戦に見えたんですけど、また時間が経って読むと、結局、それは表面的なことであって。

もう一回読むと、それでしかこの友情を確かめ合えない。けど結局は、仲良いことの一つの表れなんじゃないかなとも読めるんですね。だから、不幸な関係といえば不幸な関係なんですけど。その不幸な関係を支えているのは幸せな関係なんだと。まあ良いかーみたいな感じですね。

僕が演じるマルク役ってあまり共感はしないんですけど(笑)。一回否定的な言葉を投げかけておいて、それを非難されると、すぐ撤回すればいいものを撤回しないで、否定を守ろうとするんですね。その諦めの悪さというか、その辺は結構わかりますね。ケチつけたことにケチつけられると、またケチつけ返すというふうで、そういう性(サガ)みたいなもの、それはわかりますね(笑)。

でも守るものがあるから守るのかというとまた違っていて、守るから守るべきものが生まれてくるということも考えられる。この目の前のやりとりでね。奥底に何もないんだけれども、背後にはいかにも何かありそうに見せなきゃいけなくなってくると。そんなのが3人もいますから、三の二乗ぐらいの世界を繰り広げられるんじゃないかな。

◆小日向文世
台本読んでみて最初の印象は、とにかくよくしゃべっているなという。これはセリフを覚えるのが大変だなと最初に思いましたね。それと緊迫した三人の関係というのが、気が抜けない状態がずっと続くなーと。でもそこがご覧になるお客様としてはおもしろいんだろうなと思うから、これから戦っていかなきゃいけないなと思っています。

でも今回、ぜひご一緒したいなと思っていた小川絵梨子さんの演出で、共演がイッセー尾形さんと大泉洋君ですからね。舞台での共演はお二人とも初めてなのです。ものすごく濃い舞台になるんじゃないかなという気がして、今からすごく楽しみですね。

僕の演じる役は医者のセルジュです。医者だからある程度お金を持っているんでしょうね。高額な絵を買ったんです。その絵を友人のイッセー尾形さん演じるマルクに見せるんですよ。ところがマルクにケチョンケチョンに言われるわけですよね。そこでプライドが傷ついて、二人の関係がぎくしゃくして、いろいろお互いに思っていたことを少しずつ腹の中にあったものを出し始めて。

そこにもう一人、大泉君演じる若いイヴァンが入ってきて、三人の非常に微妙な関係が新たに形成されていくという。人間模様が非常におもしろく見られる芝居ですね。それぞれに悩みがあったりしているんですよ。友人同士である3人の関係が一枚の絵、真っ白い、ほぼ白い絵を基点にして、そこまでいっちゃうのかよという。あまりそういう友達は僕にはいないですけど(笑)。

僕は休みの日は家から一歩も出ずにうちにいるのが好きな人なので、誘いの電話があったりすると、うーんと何とお断りしようかと思うタイプなので(笑)。待ってました!とばかりにワッーと外に出るタイプじゃないんですよ。

三人は余程仲がいいんですね。僕ならそんな絵のことで「いいよ、わかんなきゃ別にいいよ」ってなるところだけど、彼らは徹底して、追求していくんですよね。そこがおもしろいんじゃないかな。でも結構、険悪になりますからね。特に僕とイッセーさんは。たしかつかみ合いする瞬間があるんですよね。嫌だなー、イッセーさん強そうだから(笑)。

◆大泉洋
頂きました台本をまだ読み込めてはいないのですが、仲のいい3人が絵一枚で大ゲンカに発展していくんです。台詞も難しいし、色々まだ分からないところもありますが、どこか滑稽で、笑ってしまうところも、あるんですよね。ただ狂気じみているといえば狂気じみているし、そこをどうやって小川さんが演出で見せるのかとても楽しみにしております。

私の演じるイヴァンはある種、一番優しいといえば優しいんじゃないでしょうか。自分の意見をはっきり言えないんですよね。何となくいいじゃん、いいじゃんという、事を荒立てずに何とかしたいと思うんだけれども、彼の態度でより3人の事態が悪化していってしまう。しまいには、おまえのせいだと責められてしまう。酷い話だなと(笑)。結構優柔不断なところは、ちょっと私に似ているんです(笑)。私もとにかく揉め事が嫌いで、だから争いごとになるとかは本当に避けたいですね。

一番私自身に近いですかね。間違ってもマルク(イッセー尾形)やセルジュ(小日向文世)ではないです。劇中で起きていることは相当深刻だし、辛辣なんだけれども、ただ彼らのケンカを端から見ている分には、何か滑稽さを感じて、笑ってしまうんですよね。笑って良いのか分からないんだけど(笑)あの絵を買ってからの二人というのはおかしいですよね。しまいには、人のカミさんや恋人のことまでボコボコに言うから。そんなの堪らんわという。何であんなことになっていくんだろうと私自身も不思議に思ってます。

 今回のお話を頂いた時、純粋にイッセー尾形さん、小日向文世さん、演出家は小川絵梨子さんという、これはまたとない座組みだなと。やっぱりイッセーさん、小日向さんって舞台人としては神様的な存在ですよね。そんな人たちと私が一緒に出られるというのは光栄ですが、怖さもあります。

この御二人と、私が、たった3人で舞台に上がるわけですから。でもだからと言って逃げるわけにはいかない仕事ですよね。こんなチャンスはまたとない。やらないという答えはないです!でもやっぱり怖いなー(笑)

『ART』は2020年3月より上演予定。

【東京先行公演】彩の国さいたま芸術劇場
【大阪公演】サンケイホールブリーゼ
【東京公演】世田谷パブリックシアター

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