ミュージカル『レ・ミゼラブル』が、2019年4月15日(月)から4月18日(火)の間に行われたプレビュー公演を終え、4月19日(金)に初日を迎える。本番を控える中、囲み会見が行われ、福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀、濱田めぐみ、生田絵梨花、森公美子が登壇し、開幕を迎える心境を語った。
約2年ぶりの上演となる今回は、新プリンシパルとして、ジャン・バルジャン役に佐藤、ジャベール役に上原理生と伊礼彼方、ファンテーヌ役に濱田めぐみ、エポニーヌ役に屋比久知奈、マリウス役に三浦宏規、コゼット役に熊谷彩春(いろは)、テナルディエ役に斎藤司(トレンディエンジェル)、マダム・テナルディエ役に朴ろ美、アンジョルラス役に小野田龍之介が加わった。
4度目のジャン・バルジャン役となる福井は「今回は、最後に僕の地元である北海道公演もありますので、最後まで誠実に役と向き合ってがんばりたいと思います」と挨拶。
同じくジャン・バルジャン役の吉原は、今回で5度目。うち3回はジャベールと2役を演じていたこともあり、「今回は一役にだけたっぷりと時間を使ってきました。そして、新キャストが加わり、フレッシュな風が稽古場に入ってきまして、たくさんの刺激を受けてましつぁ。新しい『レ・ミゼラブル』が舞台上に存在していると思います」と自信を見せた。
そして、2019年の新プリンシパルの一人として、ジャン・バルジャン役の一翼を担う佐藤。ここ数日、出演することへの圧を「ビシバシ感じている」そうだが、「皆さんが紡いできたこの歴史あるミュージカルに出演させていただく、そのプレッシャーに負けないよう、一公演ずつ大切に、丁寧に、演じていきたいと思っています」と意欲的。
佐藤は、実際にジャン・バルジャン役を演じてみて「もう少し楽に歌えると思っていた曲に対して、物語の流れの中では『なんでこんなにきついんだろう?!』と思うことがあって。先輩から『これはやった人にしか分からないんだよ』と言われて、納得しました(笑)」と、大役を演じる実感を口にした。
一方、ジャン・バルジャン役として先輩である福井と吉原も、佐藤の存在に刺激を受けたと明かした。「佐藤くんが先入観なく感じ動いたことは、僕たちにはなかった感覚だったりしたので、すごく新鮮でしたし、逆に教えてもらった気がします。僕たちの経験も共有しながらいい状態で稽古ができ、それぞれがレベルアップできたのではないかと思います」と福田。
吉原も「今回は僕も一役だったので、3人で話し合う時間がしっかり取れたんです。シュガー(佐藤)が入ったことで自分がやりたかったことが具現化できたり、チームとしてすごく良かったなと思います」と続いた。
そして、念願の『レ・ミゼラブル』初参加となったファンテーヌ役の濱田は「1回1回を大切に演じていきたいと思います」と舞台に立つ想いを噛み締めている様子。経験豊富な濱田だが、トリプルキャストとなるのはこれが初めて。「出演公演数は少ないんですが、(知念里奈、二宮愛)3人でアイデアを出し合ったり、お互いを観察したり、勉強できる時間が多くて、いろいろなことを自分の中に吸収することができました」と稽古を振り返る。
前回の2017年版に続いての出演となるコゼット役の生田は「2年経ってから演じるということで、また新鮮な気持ちで一から出来ています」とコメント。また、前回は座組み最年少だったが、今回は新プリンシパルの熊谷やマリウス役の三浦と、生田よりも年下のキャストが入った。これにより「これはどうするんですか?と質問されたりと、ちょっとお姉さん的なポジションになったので、最初はすごくふわふわしていたんですけれど・・・。稽古を重ねるごとに『しっかりしなくちゃ』『私はどこを広げられるかな』などと追求するようになり、すごく刺激を受けました」と、自分自身の変化を感じたようだ。
そして、本作に関わって22年となるマダム・テナルディエ役の森は「ここ数年、これが最後になるんじゃないかと思いながら参加させていただいているのですが・・・今年もやることになりました。マダム・テナルディエは強欲で、この作品の中ではヒール役にあたるんですが、生き抜くことの大切さ、生きるために必要なことを皆さんに分かっていただけたらなと思っております。今年もよろしくお願いします」と目をうるませる。
マダム・テナルディエ役としては朴、夫婦であるテナルディエ役には斎藤が新プリンシパルとして参加。気になる斎藤は、稽古場で「お笑いの仕事がなくなってしまうんじゃないかというぐらい真面目」だったそう。「真面目過ぎちゃうので『斉藤さんなりにやれば?』と声をかけたんですけど・・・。たぶん、レミゼが終わったあと(お笑いの)仕事が減ると思います(笑)。なので、ミュージカルの仕事を入れてあげてください!」と心配しつつ、その仕上がりに太鼓判を推していた。
2013年に新演出版となった本作だが、今回、演出補としてクリストファー・キーが参加したことで、また変化があったそう。旧演出、新演出のどちらも経験している吉原は「大きな画角としては変わっていないんですが、(クリストファーは)ジャン・バルジャン役をはじめいくつかの役を経験されているため、役者目線に立ったソリッドなものを提示してくれたと思います。巡り巡って、旧演出と新演出の間のような、すごくシンプルなものになっている感じがしました」と表現。
福田も「稽古の仕方もだいぶ変わり、班を決めてキャスト一人一人をしっかりと見てくださったので、より密なものになったと思います。それが良い作用をもたらし、それぞれのいいところを引き出してくれているんじゃないかと思います」と語った。
最後に、福井が「この作品は決して明るい作品ではないですが、希望や光、たくさんの愛がつまった本当に素晴らしい作品です。新しいキャストやスタッフも加わり、新たな生命が吹き込また2019年版の新しいレミゼができたと思います。千秋楽までそれぞれがしっかりと責務を果たしていきますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします」と締め、会見を終えた。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』(2019)は、以下の日程で上演。
【東京公演】4月19日(金)~5月28日(火) 帝国劇場
【名古屋公演】6月7日(金)~6月25日(火) 御園座
【大阪公演】7月3日(水)~7月20日(土) 梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】7月29日(月)~8月26日(月) 博多座
【北海道公演】9月10日(火)~9月17日(火) 札幌文化芸術劇場hitaru
【出演】
ジャン・バルジャン:福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀
ジャベール:川口竜也、上原理生、伊礼彼方
ファンテーヌ:知念里奈、濱田めぐみ、二宮愛
エポニーヌ:昆夏美、唯月ふうか、屋比久知奈
マリウス:海宝直人、内藤大希、三浦宏規
コゼット:生田絵梨花、小南満佑子、熊谷彩春
テナルディエ:駒田一、橋本じゅん、KENTARO、斎藤司
マダム・テナルディエ:森公美子、鈴木ほのか、朴ろ美
アンジョルラス:相葉裕樹、上山竜治、小野田龍之介
ほか
※朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)