2019年4月下旬より東京・新国立劇場・中劇場にて上演される丸美屋食品ミュージカル『アニー』。国民的ミュージカルの日本上演34年目となる2019年公演のキャストオーディションが行われ、2018年10月21日(日)にアニー役を含む最終合格者14名が決定した。
本作は1924年からアメリカで新聞連載がスタートした漫画「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さい孤児アニー)」をもとに、1977年にブロードウェイのアルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)で誕生したミュージカル。同年のトニー賞において、作品賞をはじめ7部門を受賞し、現在も世界各国で上演され続けている名作だ。
日本公演は、1986年に日本テレビ主催でスタート。2017年には『ジキル&ハイド』『ローマの休日』『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』など、ミュージカルやストレートプレイとジャンルを超えて幅広く活躍する山田和也を迎え、演出も一新。テンポが良く現代的な演出で、より一層見やすくなったと好評を博している。
今回のアニー役・孤児役のオーディションでは、まず年長から中学3年生までの子どもを対象に書類審査を実施。その合格者417名が歌・ダンス・ワークショップ演技の実技審査を経て約50名に絞られ、10月21日(日)に都内のスタジオに集合。父や母に見守られ、固唾を呑んで最終結果を待つ少女たち。緊張感みなぎる空気の中、手を組み祈る子たちのドキドキが止まらない様子がこちらにも伝わってくる。
そして、演出の山田、音楽監督の佐橋俊彦、振付・ステージングの広崎うらんほか審査員が登場。挨拶として、本公演の協賛・丸美屋食品工業株式会社の広報宣伝室室長兼マーケティング部次長の杉山典由が「夢が叶う人もいれば、残念ながら夢にあと一歩という人もいるかもしれません。ただ、この場に残ったということは、みなさんの日々の努力が素晴らしかったということで、またチャンスが巡ってくると思います」と候補者たちの健闘をたたえた。
次に、演出の山田が今回のオーディションについて講評を実施。「毎年、オーディションをさせていただきながら思いますが、今回もほとんど実力の差はないです。なので、チームのバランスなどを考慮して決断しました。決断するのが苦しく、本当は全員とやりたい思いです。でも全員とやると、チーム・モップとチーム・バケツのほかにチーム・ゾウキンとかたくさんになってしまいます(笑)」と冗談を交えて語り、会場の緊張も少し和らいだ様子に。
続けて、山田は「そこは断腸の思いで決断しました。一人一人に優劣があるわけでなく、みんな素晴らしかったです。今までの努力も伝わってきました。その努力は無駄になりません。これから、『アニー』をやるにしても、『アニー』以外をやるにしても、それは絶対に役に立ちます」と候補者たちにメッセージを送った。
そして、いよいよ合格発表が開始。Wキャストとなる孤児役のモリー、ケイト、テシー、ペパー、ジュライ、ダフィを演じる子の名前を山田が読み上げる。呼ばれた子たちは元気よく「はい!」と返事をして立ち上がると、満面の笑みを浮かべる子、合格者同士で喜び合う子、あまりのことに呆然とする子など様々な反応を見せていた。
最後に、Wキャストのアニー役として、岡菜々子と山崎玲奈の名前が呼ばれると会場の興奮もピークに。最後に、全員で本作のメインテーマ「トゥモロー」を合唱し、合格発表は終了。その後、合格者たちによるフォトセッションと、2018年度アニーの新井夢乃と宮城弥榮から新アニーの二人へ花束贈呈が行われ、岡、山崎、山田を囲んでの会見が実施された。
二人を起用した理由について、山田は「選ぶという感覚はなくて、出会うという感覚なんです。アニーに出会いたいと思っていると、ここにアニーがいたという感じなんです」と説明し「良かった、出会えて」と二人に笑顔で声を掛けた。
本作のオーディションが2回目となる山崎は「前はダンスで落ちて悔しかったので、バレエを週6で通い始めて、週1で歌のレッスンをしてきました。すごく嬉しいです」と喜びをあらわにした。モリーやケイト役のオーディションの経験もあるという岡は「その時は、2次審査で落ちてしまったので、ダンスを週5回していたのを減らして、歌と演技だけに絞って練習をしました。今回は最終審査まで行けて合格したので、心臓が飛び出しそうでした」と喜びだけでなく驚きも明かした。
最後にアニー役への意気込みとして「観ている人が笑顔で、すごい優しくて明るいアニーだなと思ってもらえるようがんばります!」(山崎)、「元気よくて、笑えて、みんなが明るく元気で帰ってもらえる、勇気を与えられるアニーになりたいです!」(岡)と元気よく語った。
丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、2019年4月27日(土)から5月13日(月)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて上演される。東京公演の他、地方公演も予定。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)