『BLOOD-C』シリーズの実写映画第2弾、2部作の前編となる『BLOOD-CLUB DOLLS1』が、2018年10月13日(土)に公開された。これを記念し、東京・新宿バルト9で行われた初回上映には、映画初主演の松村龍之介をはじめ、北園涼、宮原華音、黒崎真音、友常勇気、田中涼星、郷本直也、南圭介、そして監督の奥秀太郎が舞台挨拶に登壇。公開された現在の心境や、撮影秘話を語った。
『BLOOD-C』とは、人間を襲う“古きもの”と呼ばれる怪物と人知れず戦い続ける少女・更衣小夜にまつわる物語。2011年にTVアニメ、2012年には続編となる劇場アニメ『BLOOD-C The Last Dark』を公開、2015年には舞台『BLOOD-C The LAST MIND』を上演。実写映画としては、2017年にアニメのスピンオフ作品を撮り下ろした第1弾『阿修羅少女~BLOOD-C異聞~』が制作されている。
監督は、舞台版と映画第1弾『阿修羅少女』に続いて奥が手掛け、脚本は本シリーズのすべてに関わる藤咲淳一が担当。殺陣・アクション指導は、劇団「30-DELUX」の清水順二。
出演者には、登壇キャストのほか、田中要次、朝倉あき、八神蓮、高崎翔太、安里勇哉、杉江大志、白柏寿大、河原田巧也、吉川麻美、桜井理衣、細川洪、八嶋智人、高橋克実らが名を連ねている。
晴れやかな表情で登壇した出演者たちだったが、どうしてもツッコミたくなる出来事が・・・。実は、七原文人役・南は、事前に来場告知がされていなかった。「今回、映画出てるの?」と早速イジる銀六役・郷本に、「出てるよ!出てます!!皆さん、出てましたよね?!」と強く訴える南。2月に制作発表が行われた際も、南だけまだ撮影が行われていなかったということもあり、「出ていたということを言いに来ました!南、追加されることに慣れているので。今日、この場に立ててよかったです」と、飛び入り参加に恐縮しながらもしっかりアピールしていた。
そんなサプライズ(?)もありつつ、映画が公開されたことについて奥監督が「懐の深い、あたたかな皆様のおかげで、こうして初日を迎えられたことに感謝しております。こんなに(たくさんの方に)集まっていただいて、ありがとうございます」と、挨拶し、舞台挨拶はスタート。
松村、宮原、友常、郷本、南は、第1弾『阿修羅少女』に続いての本シリーズ出演となる。蒼炎役・松村は「前作をご覧になった方は分かると思うんですが、だいぶ近代的になりまして。前は、何時代だろうというような・・・ぶっちゃけて言うと、いろいろとすごく貧乏だったんです(笑)。今回も撮影はいろいろなところでやりましたが、都内とかも多くて。時代が変わったことで新鮮な気持ちで、このメンバーとやれたことが嬉しかったです」と、前作との変化を語った。
料亭のシーンもあり「スッポンを食べました」という松村に、一同「いいな~」の声。松村が、同じシーンに登場している田中が「撮影では食べているシーンはなかったんですが、終わったあといっぱい食べていました(笑)」と暴露すると、田中は「だってもったいないんだもん!食べるでしょ」と主張し、笑いを誘った。
前作に続いて更衣小夜役を演じた宮原は、セーラー服姿で刀を持ち、深夜の道路を走るシーンで、「おじさんに絡まれたり、外国の方に話しかけられたりと、大変なことしかなかったです(笑)」と振り返る。車から飛び降りるシーンなどもスタントマンなし、すべて自分でやったという。特技が空手ということで「瓦割りをやってと言われて。私、瓦割りができる女じゃないんですけど、頭で10枚割って、手でもやったら限界を迎えてしまったこともありました」と、まさに“身体”を張った撮影だったようだ。
藍刃役・北園は、本作が映画初出演となる。「今ここにいるのも緊張するんですけど。膝も震えてガクガクですよ(笑)。でも、こんなたくさんの方に集まっていただいて嬉しいです。初めての映画ということで不安もあったんですが、こうしてあたたかく迎えてくださって感謝しています」と公開初日の実感を噛み締めていた。
有栖川みちる役・黒崎も、これが初めての映画出演。「緊張の毎日だったんですが、スタッフの皆さんの気合いや、奥監督のこだわりを見ていると『もっとそれに答えられる自分になりたい』と思いました」と新鮮な感覚を語った。また、黒崎は本作の主題歌「Hazy moon」も担当している。「“おぼろ月”というタイトルは、この謎多きストーリーにピッタリなのではと思い、つけさせていただきました。『2』の制作も決まっているので、このモヤが晴れた頃に、皆さんとまたお会いできたら」とコメント。
古束役・友常は、サンドバッグを殴るシーンで「次の日、ここ(脇)がちょっと・・・。次の日が踊ったり殺陣をやったりする舞台だったので、“あ~っ・・・!”ってなってました(笑)」というエピソードを披露。松村が「勇気くんは、もともとガタイがいいのに、そのシーンの後にあったらさらに良くなっていました」と言うと、「俺、すぐ筋肉ついちゃうんですよ。身体洗ってるだけでもついちゃう」と、話題は体質のことにまで及んだ。
筋肉と言えば、劇中で北園が“脱ぐ”シーンもあるという。友常に「身体、すごかったですよ~」と振られると、「まさか脱ぐとは思わなかった(笑)。多少鍛えていてよかったです」と謙遜する北園。松村が、そんな北園の腹筋を「綺麗な腹筋でした。チョコレート、板チョコみたい」と表現すると、一同大爆笑。ぜひ、スクリーンでご確認を。
ちょっと大変なエピソードが続いたが、黒田役・田中は「俺は、あんまりツラいことなかったです」とあっけらかん。田中もこれが初めての映画出演ということで「撮影初日から楽しくて、いろいろ勉強させてもらいました。スッポンも食べさせていただいたし(笑)。車に乗っているシーンでは、夜景を観ながら、こう(斜めに構えて)ずっと外を眺めていました。めっちゃいい景色やな東京!と思って。何往復もしたんですけど、その度に“黄昏~!”みたいな感じで」と、テンション高め。
銀六役の郷本は、今回の撮影は「時間との戦いだった」としみじみ。「(零二役の)杉江大志と戦うシーンがあるんですが、あそこは、本当に時間との戦いでした。最後の最後、あと30分ぐらいしかないタイミングで、長回しでいこうという話になったこと思い出しました」と明かした。
撮影現場での変更も多くあったという本作。松村は「撮影スケジュールには、どのシーンを撮るか書いてあるものなんですが、その中にシーンエクストラと書いてある部分があって。エクストラ・・・つまり、台本にないシーンの撮影が、すでにスケジュールに入っているんです」と語る。郷本いわく「これは奥監督あるある」。奥監督は、リアルタイムで生まれた発想を撮影に取り込んでいくため、現場で新しい台本を渡されて驚くことも少なくないという。
「現場で台本を呼んで、あれ、人増えてる?と思うこともあった」という郷本の発言に、「それです!」と切り込んだのは南。「僕、当初脚本にいなかったんですよ。常にエクストラのシーンをやらせていただいた感じで。新しく生まれるシーンに参加させていただいていました」と、ここで南の出演疑惑の理由が明らかになった。
しかし、大変な撮影をしていた宮原や黒崎から「南さんは車の中にいた」「あったかい格好をしていた」とブーイングを受けると「役だから!気持ちは上半身裸よ!」と、タジタジになる一幕も。
新宿での公開を皮切りに、今後、上映は全国で予定されている。最後に、北園は「これから全国で上映されていきますが、できるだけ多くの方にみていただけるように、SNSなどで感想をつぶやいていただけたらと思います。そして、『2』もありますから。『1』を何度も観ていただいて、楽しんでいただけたらと思います」、松村は「この映画がどのような展開になっていくのか、僕自身も楽しみにしております。また、劇場で皆様とお会いできる時を心から楽しみにしております」と締めくくった。
映画『BLOOD-CLUB DOLLS1』は、東京・新宿バルト9を皮切りに全国の映画館で上映を予定。スケジュールの詳細は、公式HPにてご確認を。
【公式HP】http://bloodclubdolls.com/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)