劇団マームとジプシー主宰の劇作家・演出家である藤田貴大の新作『BOAT』の上演が2018年7月に決定。それに伴い、キャストの顔ぶれが明らかになった。
マームとジプシーがここ数年描いてきた『カタチノチガウ』『0.1.2.3』『sheep sleep sharp』の完結編となる本作の主演を務めるのは、昨年放送の『コウノドリ』(TBS)で俳優デビューを果たした宮沢氷魚。宮沢は、本作が舞台初挑戦かつ初主演作品となる。宮沢の脇を固めるのは、中嶋朋子、青柳いづみ、そして藤田が上演台本を執筆し演出した『ロミオとジュリエット』で初舞台を踏んだ豊田エリーら個性的な顔ぶれ。上演に伴い、藤田と宮沢からコメントが届いている。
◆藤田貴大(作・演出)
――上演にあたって
マームとジプシーがここ数年で発表してきた『カタチノチガウ』、『sheep sleep sharp』の完結編として、『BOAT』という作品を発表しようと思っています。約1年ぶりの新作。東京芸術劇場との関わりも、ここまでじっくりと積み重ねてきました。プレイハウスで発表する作品としては、これで3作目になります。あの空間にて『小指の思い出』、『ロミオとジュリエット』と描いてきたけれど、今回ははじめて、ぼく自身がぼく自身の言葉を扱って、書き下ろします。 この二つのタイミングが合致したことに、ある熟成を感じつつ、さらなる到達点を共に目指していきたいと考えています。
この作品を、この空間にて、描く必要を感じているのは、現在だからでしょう。しかしそれは、現在という時間を過ごしていれば、自然と、必然的に揺りだされるもので。現在という空気のなかで、深く呼吸するように、しかしこのことだけを考えて、つくっていこうと準備しています。これは、寓話でも神話でもなくて、ほんとうのことだと思っています。現在という、ほんとうのことを、舞台のうえで繰り広げていきたいです。
――宮沢について
存在を知った時から、自分の舞台に立っている姿が想像できました。初めて対面して、想像していたよりも目が強く、声が自分の作品に馴染むような気がしたんです。宮沢さんには、まだ具体的な役名はつけていないのですが、物語の重要な人物であり、BOATに乗ってこの土地を離れ、海よりも向こう側を目指す人になってもらうと思っています。
◆宮沢氷魚(主演)
初主演舞台ということでプレッシャーは感じていますが、皆さんの前で演じるのが楽しみでたまりません。先日藤田さんにお会いする機会があり、お話しをしたところものすごく想像力が豊かな方で、次から次へと監督のイメージを聞けました。出演者と共に作品を作っていこうと熱意に感動しました。僕からもたくさんアイデアを出し、唯一無二の作品にしたいです! 今回の舞台で役者としてはもちろん、人として大きく成長できるチャンスをいただいたことに感謝しています。素敵な共演者と共に最高の作品をお届けしたいと思います。劇場でお待ちしています。
【あらすじ】
土地は、 ボートによって発見された。流れ着いた人々は、そこで暮らし、子孫を繁栄させた。 現在も、 海岸にはときどき、ボートが漂着する。しかし、人々はそのことにもう関心がない。 ある日、 上空は、ボートで埋め尽くされた。その意味を知らないまま、人々は慌てふためく。 人々は、 ふたたび、ボートに乗って。ここではない土地を、海より向こうを目指すのだった。
『BOAT』は7月16日(月・祝)から7月26日(木)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて上演される。チケットは5月19日(土)より発売予定。