溝端淳平×忍成修吾×温水洋一の3人芝居で『管理人』演出は森新太郎

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ノーベル文学賞作家ハロルド・ピンターの代表作『管理人』が、2017年11月から12月にかけて東京・シアタートラムにて上演される。本作で描かれてるのは、3人の男たちが繰り広げる不条理劇。森新太郎演出のもと、溝端淳平、忍成修吾、温水洋一が絶妙にアンバランスなトライアングルを作り出す。

舞台はロンドン西部にある家の小さな一室。住み込みで働いていたレストランを首になったばかりの宿無し老人デーヴィス(温水)は、偶然知り合ったアストン(忍成)に自分の家に来ないかと誘われ、これ幸いとついていく。だが翌朝、いきなり現れたアストンの弟ミック(溝端)に不審者扱いされ激しく責め立てられる。

口の減らない図々しいデーヴィスの前に交互に現れる、無口で謎めいた家のリフォーマーと称するアストンと、家の所有者であると主張する切れ者のミック。彼らはそれぞれ別々に、この家の「管理人」にならないかとデーヴィスに提案してくる。兄弟に見込まれたデーヴィスの態度は、次第に変化していき―。

1959年に書かれ、翌年初演された本作は、当時の演劇界の様相を一変させ、ピンターの名をとどろかせたという。演出の森は、本作について最初に読んだ時はおもしろさが分からなかったと言いながらも「気分が塞がっている時に『管理人』を読んだら、とても魅力的で“分かりやすい”とさえ思ったんです。人間関係がどんどん変化していき、どん詰まっていく。そして無力であろうが、それでも生きていかざるを得ない彼らの存在が、笑えるのと同時に切なくなり、その時の私には救いにすら感じられました」と、惹かれた理由を挙げている。

また、森は“ガラクタ”を演出のキーワードに挙げる。溝端が演じるミックはガラクタを処分したい男、忍足が演じる兄アストンはガラクタを拾い集める男、そして、温水が演じる宿無し老人デーヴィスはガラクタ同様に拾われてきた男。「壊れているモノ、つまりガラクタであふれているこの(舞台となる)部屋は、まるで現代の“ゴミ屋敷”のよう。そしてこの部屋の中では“ゴミと人間が等価”であると自分には映ったんです」と森は語る。

さらに、そこから“抜け出したい”と“閉じこもっていたい”という背反する感情を抱えている彼らは「現在の日本の状況や、日本人とも重なるように感じた」といい「そんな滑稽なせめぎ合いの様は、我々が生きている現代社会そのものかもしれません。徐賀世子さんによる切れ味のいい新訳のもと、ユーモアと臨場感に満ちたピンター劇をお届けできたらと思います。どうぞお楽しみに」とコメントを寄せている。

舞台『管理人』は、11月26日(日)から12月17日(日)まで東京・シアタートラムにて、12月26日(火)・12月27日(水)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演される。チケットは、9月17日(日)10:00より一般発売開始。

(撮影/細野晋司)

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