ブロードウェイミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』の囲み取材と公開稽古が7月18日(火)、都内スタジオにて行われ、出演の川平慈英、鈴木壮麻、樹里咲穂、戸井勝海、中山昇、宮菜穂子、演出の鈴木裕美が登壇。それぞれに公演への意気込みを述べた。
本作は児童文学作家アーノルド・ローベルによる絵本「ふたりはともだち」を原作にブロードウェイでミュージカル化。ガマガエルのがま君(トード)とアマガエルのかえる君(フロッグ)の友情が描かれ、第57回トニー賞のミュージカル部門において最優秀作品賞、最優秀オリジナルスコア賞、最優秀脚本賞にノミネートされた、おかしくも心温まるミュージカル。日本では、2007年の初演を含め今回で5回目の公演となる。
囲み取材では初演から演出を担当している鈴木裕美から挨拶。「原作も曲も良く、俳優も素晴らしいエンターテイナーが揃っているので飽きることのない作品です」と本作の魅力をアピール。またこれまでの公演と比べて、「物語の魅力をよりストレートにお伝えできているのはないか」と言及。
同じく初演からがま君役を演じてきた川平は「5年生にしてやっと理解できた場面がたくさんあった。確実にバージョンアップしているはず」と自信を露わにすると、「50歳を超えたおっさん二人と、50歳に近いキャストが汗まみれになってステージ上を駆け回る姿がとても幸せな空間を生んでいます。大切な人のために生きる、泣く、笑う素晴らしさを体験していただければ」と呼びかけた。
2015年の公演に次いで2回目の出演となる、かえる君役の鈴木は「前回は死に物狂いで稽古していたので余裕がありませんでしたが、今回は落ち着いて(作品を)消化することができました。また、今回も鈴木さんが課題をたくさんくださったので、その課題に精一杯チャレンジしていきます」と意気込み、「前回は子供たちの元気な反応に背中を押してもらったので、今回も様々な街々を廻ってエールをたくさん頂きながら、みんなと一緒に小動物の世界を共感していきたいと思います(笑)」とにこやかに挨拶。
また、カメやママガエルなどの役を演じる樹里が「主人公のがま君とかえる君をはじめ、動物たちが瞬間、瞬間をいきいきと生きている姿がキラキラ輝いて見える作品です。稽古場では毎回何が起きるかわからない(笑)この空気感を全国に届けたいと思います」とコメントすると、カタツムリやバケガエルなどの役を演じる戸井は「登場人物の台詞や人間関係を見ながら様々なことを考えさせられる舞台。僕は『フロッグとトード』の世界が大好きで、できればずっとこの世界で生きていたいくらい(笑)」と思いを述べた。
トカゲやパパカエルなどの役を演じる中山は「俳優としてだけではなく、人間としてもこの作品に育てられました。『フロッグとトード』を見れば人のことが嫌いにならないというか、みんな仲良くひとつになれる」と語り、ネズミやチビガエル役を演じる宮は「あまりに面白い先輩方と一緒なので、笑っているのか泣いているんだかわからない毎日を過ごしています。この雰囲気を一緒に楽しんでいただけたら」と見どころをアピールした。
この日行われた公開稽古は“冬眠中のがま君とかえる君の夢”のシーンから始まり、“花壇を作ろうと試行錯誤する2匹”、そして“「自分には一度も手紙が来たことがない」と嘆くがま君にかえる君が手紙を書き、たまたま通りかかったカタツムリ君にその手紙を渡す”場面など、作品序盤にあたる一部分を見ることができた。川平が囲み取材でコメントした通り、川平や鈴木が舞台上で歌い踊る姿が妙に微笑ましく、終始、多幸感溢れる空気が稽古場に流れていた。
囲み取材の最後には、川平が「おもちゃ箱をひっくり返したようなファンタジックな舞台になっているので、劇場に来ていただければ間違いなく温かい幸せな気持ちになれるはず。今の世の中ってちょっとキツイじゃないですか?寛容さがないというか、何かあるとすぐに突つかれ、引きずり降ろされる。自分を守る鎧を着ないと生きていけない世の中になっていると思うので、この作品を通して人をあるがまま受け入れられる寛容さと優しさを持っていただければ」と、呼びかけていた。
ブロードウェイミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』は2017年7月23日(日)、埼玉・志木市民会館パルシティでの公演を皮切りに全国各地を巡演する。各公演スケジュールは以下のとおり。
【東京公演】2017年8月16日(水)~8月20日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】2017年8月23日(水)~8月24日(木) 森ノ宮ピロティホール
【埼玉公演】2017年8月26日(土)~8月27日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
(取材・文・撮影/大宮ガスト)