2017年11月から12月にかけて、舞台『すべての四月のために』の上演が決定した。本作は、『焼肉ドラゴン』の作・演出で第16回読売演劇大賞、最優秀作品賞などを受賞、映画『月はどっちに出ている』や『愛を乞うひと』で数々の賞に輝いた鄭義信が書き下ろす新作。主演は、V6の森田剛が務める。
『焼肉ドラゴン』『パーマ屋スミレ』『たとえば野に咲く花のように』で、1950年代から1970 年前後までの、在日コリアンの家族を描いてきた鄭が、今回の舞台にしたのは、第二次世界大戦下、朝鮮半島近くに浮かぶ島。理髪店を営む夫婦、四姉妹とその夫から成る朝鮮人一家と、彼らを取り巻く朝鮮人、日本人軍人たちの姿を描く。
森田が演じるのは、四姉妹の次女の夫ながら、長女への想いを断ち切れず複雑な思いに揺れる粗野な男・萬石(まんそく)。共演には、臼田あさ美、西田尚美、村川絵梨、伊藤沙莉、小柳友、稲葉友、池田努、津村知与支、牧野莉佳、近藤公園、中村靖日、山本亨、そして第42回菊田一夫演劇賞での大賞受賞も記憶に新しい麻実れいといった、層の厚い顔ぶれが揃った。
上演決定にあたり、主演の森田、作・演出を手掛ける鄭からコメントが届いている。
◆森田剛(主演)
約1年半ぶりの舞台に、以前からご一緒したかった鄭義信さん作品に出演させていただくということで今から楽しみです。鄭さんが描かれる人々は、辛い状況下でも明るく、生きていくことのたくましさや強さを持っていて、とても魅かれます。今回は戦時下の朝鮮半島の小島に住んでいる家族の話ということですが、いつの時代も変わらない家族というものをテーマに、しっかり演じていければと思っています。
◆鄭義信(作・演出)
森田くん(“くん”などとは失礼かもしれないけれど、やっぱり“くん”って感じなのです)の舞台でのたたずまいを見ていると、僕は木蓮を思い起こします。あの高い梢に白い大きな花を咲かせる木蓮です。僕が描こうとしているのは、歴史の波の中で翻弄されながらも、必死で生きようとする、ささやかな家族の物語です。その中で、彼がどんな花を咲かせてくれるのか、今から楽しみにしています。
PARCO PRODUCE『すべての四月のために』は、11月11日(土)から11月29日(水)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演される。その後、京都、福岡を巡演。日程の詳細は以下のとおり。
【東京公演】11月11日(土)~11月29日(水) 東京芸術劇場 プレイハウス
【京都公演】12月8日(金)~12月13日(水) ロームシアター京都 サウスホール
【福岡公演】12月22日(金)~12月24 日(日) 北九州芸術劇場 大ホール
【あらすじ】
1943年春、日本植民地下の朝鮮半島近くの離れ小島。海のそばにある小さな理髪店には、たえず波音が聞こえてくる。戦況が悪化する中、英順(麻実)と夫の洪吉(山本)が営む理髪店では、次女・秋子(臼田)のささやかな結婚式が催されていた。ところが、秋子の喜びは薄かった。新郎・萬石(森田)が、長女・冬子(西田)に対する思いを捨てきれないでいるからだった。酒が配られ、歌を歌い、ようやく場が盛り上がりはじめてきた中、日本人軍人の篠田(近藤)が、理髪店を日本軍専用とするとの辞令を持ってやってくる・・・。