2015年に上演された『プルートゥ PLUTO』が、3年の時を経て2018年1月より上演される。再び幕を開けるにあたり、構成・演出などを新たに構築するという。演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ、主演の森山未來は続投。そして、本作で女優の土屋太鳳が初舞台を踏むことが決定した。さらに、企画段階から構想にあったという海外公演が行われることも合わせて発表された。
原作となるのは、「ビッグコミックオリジナル」(小学館)にて2003年から2009年まで連載された漫画「PLUTO」。浦沢直樹とストーリー共同制作者の長崎尚志が、手塚治虫の鉄腕アトム「地上最大のロボット」のリメイクを切望し、手塚プロダクションの許諾と手塚眞監修のもと誕生させた作品で、20の言語に翻訳され、全世界に愛読者を持つ。
「アトム」役に再び森山、不思議な力を持つ「ウラン」とゲジヒトの妻「ヘレナ」の二役に土屋が新たに挑むほか、「ゲジヒト」役を大東駿介、「お茶の水博士」役を吉見一豊、キーパーソンとなる天才科学者「アブラ―」役を吹越満、アトムの生みの親「天馬博士」役を柄本明が演じる。吉見、柄本は前回も出演、大東、吹越は新キャスト。
上演決定にあたり、出演者よりコメントが届いている。
◆森山未來
2012年にシディ・ラルビ・シェルカウイ氏によるダンス作品『TeZu kA』に関わらせていただき、それに続きまたしても自身が敬愛する手塚治虫さんの作品(もちろん浦沢直樹さんの作品でもありますが)で彼と仕事をさせていただけることに縁を感じていました。
ダンス、芝居、映像など様々な要素をラルビの感性によって有機的に絡み合わせ、それを演劇作品として打ち出せたことが新たな視点を生み出すことになったのではないでしょうか。個人的には、文化交流使としてイスラエルに1年間派遣されていた状態から日本に戻ってすぐの公演だったので、日本の商業舞台の構造を改めて客観的に見ることができるタイミングでもありました。一度生まれた作品が一度限りで終わることなく、また関わることができることの喜びを最近は感じるようになりました。できる限り新鮮な気持ちで、ブラッシュアップを重ねて作品がより豊かになるよう精進できればと思っています。
土屋太鳳さんとはいつか関わることができればと思っていたので、一緒に作品作りができるのを今から楽しみにしています。アトムとウランのデュオができたりしたらおもしろいですよね。
◆土屋太鳳
演技に心を奪われてから12年、「舞台」という場所に憧れ続けてきました。役を生きる役者さん方は、動く太陽のように輝いたり、すべてが消えてしまいそうなほど胸に迫ったり・・・素晴らしい演技をたくさん拝見してきました。だからこそ、舞台という場所を目の前にした今、畏れを強く感じています。この畏れを、表現者の方々や時間との出会いによって作品にふさわしい何かに変え、舞台の上で、ウランとヘレナとして生きたいと思います。
(2015年の作品は)お正月に放送された映像を拝見しました。鳥肌がたち、作品というより預言に近い世界観に驚きましたが、深く膨大なメッセージの中に、人が人に伝えるべき大切なものが含まれる物語だと思いました。森山未來さんは、ドキュメンタリー番組を拝見して以来、素晴らしい表現者として心の中にいつも存在している方です。森山さんを中心にキャストの方々が表現する世界は壮絶だけれど美しく温かく・・・自分が将来もし子どもを育てる立場になったら、一緒に観たい作品だと思いました。
◆大東駿介
子どもの頃から手塚作品に魅了され続け、その中でも鉄腕アトムは、数々のエンディング含め、大人になった今だからこそ心打たれる僕にとって大切な作品です。『PLUTO』ももちろん読んでいました。地上最大のロボットが浦沢さんの解釈で新しく壮大に、繊細に描かれる世界にワクワクしながらのめり込みました。まさかそれを舞台でやるとは・・・!と興奮と悔しさ半分で観劇した前回の公演。浦沢さんの『PLUTO』の繊細な心の描写が圧倒的な身体表現で見事に表現されていたのが印象的でした。そんな勝手に思い入れのある作品にまさか参加できるなんて・・・。とても楽しみです。
◆吉見一豊
ダンス観賞好きの私にとって、ダンサーの皆さんと一緒の現場にいられたあの時間は、本当に胸踊るものでした。今回もっともっと彼らのエネルギーと混じり合えるようイメージをもって臨みたいと思います。皆さんよろしくお願いします。
◆吹越満
森山さんとは、かねてより、いつかご一緒できたらよいですね、と言い合っておりましたので、今回の参加、大変嬉しく思っています。ラルビさんとのコミュニケーションはやはり日本語ではないでしょう・・・。外国語がまったくダメな私は、この機会に少しでも英語が身についたらいいな、なんて呑気なことを考えつつ、絶対、足を引っ張っちゃいけない!と緊張もしているのです!!!
◆柄本明
ラルビは稽古場で毎日新しい問題をおこす。それをやるためにはどうすればいいのか・・・。それを皆で考える。そんな真っ当な稽古場でした。幾何学模様が動くたび世界は変わる。あるいは変わってしまう・・・ということを通して、おそらく観ている人の潜在意識にタッチしていったのだと思います。今度はどんな稽古場になるのか?楽しみであります。
シアターコクーン・オンレパートリー2018 手塚治虫 生誕90周年記念『プルートゥ PLUTO』は、2018年1月7日(日)から1月28日(日)東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、その後、2月に海外公演としてイギリス・オランダ・ベルギーにてヨーロッパツアーを行い、3月上旬に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演を予定している。