3月18日(土)に東京国際フォーラム ホールAにて開催された『トニー賞コンサート in TOKYO』。ブロードウェイのミュージカルスター、ケリー・オハラとマシュー・モリソンを迎え、日本からは、WOWOWのトニー賞授賞式生中継番組でスペシャルサポーターを務める井上芳雄、トニー賞関連作品への出演も多い濱田めぐみが参加。ゴージャスな夢の一夜が実現した。
開催日には生中継でオンエアされた本コンサートだが、早くも再放送が決定!ということで、今回はそのおさらいも兼ね、舞台の模様を振り返りたいと思う。
収容人数約5000人の会場は満席。日本で初めて“トニー賞”の冠がついたコンサートの開幕に、ホール内のテンションは高まるばかり。そんなアツい空気の中、まず登場したのは今回のホスト役ともいえる“日本ミュージカル界のプリンス”井上芳雄だ。『キャバレー』の代表的なナンバー「Willkommen」を歌い、華麗に先陣を切る。そして、マシュー・モリソンが2曲、ケリー・オハラが1曲、2人の共演作でもある『南太平洋』からの楽曲を歌い上げ、各曲の間はMC役も担う井上が軽やかなトークで埋めていく。
今回のコンサートの主な見どころは、ゴージャスなキャストと大編成オーケストラによる生演奏に加え、トニー賞に関連した多彩な選曲。前述の『南太平洋』や『マイ・フェア・レディ』、『王様と私』のようなクラシカルな作品から『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『ライオンキング』『ミス・サイゴン』などの大ヒット作、通好みとも言える『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』『マディソン郡の橋』などそのセレクトは多岐に渡り、アンコールも含めて全31曲が4人の出演者によって披露された。
オペラの舞台でも活躍する“遅れてきた受賞者”ケリー・オハラの美しいソプラノ、出世作『ヘアスプレー』メドレーでステージングの巧さを見せつけ、ドラマ『Glee』からのナンバーで客席をひとつにしたマシュー・モリソン、これまでの出演作からの曲をチョイスせず『エビータ』や『ウエスト・サイド・ストーリー』で新たな一面を魅せた濱田めぐみ、そしてキレのあるトークで場面を繋ぎ、客席を沸かせながらも、ブロードウェイのスター2人と堂々とデュエットした井上芳雄・・・すべてが宝石のように輝く美しい時間だった。
今回、初めて日本で開催された『トニー賞コンサート in TOKYO』。これは10年前なら考えられなかった企画だとも思う。本コンサートが、ここ数年で一気に熱量の上がった感のある日本のミュージカル界をさらにアツくしたことは間違いない。
『トニー賞コンサート in TOKYO』は4月27日(木)午後8:00よりWOWOWライブにて再放送される。また、第71回トニー賞授賞式の模様は6月12日(月)午前8:00より生放送でのオンエアが決定。ブロードウェイと日本とを繋ぐゴージャスな時間をぜひ体感して欲しい。
(取材・文 上村由紀子)
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