スタジオアルタが手がける、新しいノンバーバル劇場「オルタナティブシアター」。2017年7月7日(金)に、グローバルな観客に向けた最先端エンターテインメント劇場として、東京・有楽町センタービル内にオープンする。4月4日(火)には、こけら落とし公演の製作発表が行われ、脚本を務める横内謙介、構成・演出の岡村俊一、ダンスクリエイターのElina、“チャンバラスペシャリスト”で俳優の早乙女友貴、吉田美佳子が登場した。
こけら落とし公演は、横内が“サムライ”をテーマに、セリフのない物語を壮大な歴史ロマンとして描いた『アラタ〜ALATA〜』に決定。アイドルから歌舞伎俳優まで、幾多の日本のスターの舞台をプロデュースしてきた岡村が、日本の最先端技術を盛り込んだ演出を披露する。
スーパー歌舞伎をはじめ、国内のさまざまな大作舞台戯曲から小劇場までの名品を手がける横内は、今回の脚本はすでに「細かい指定までできあがっている」と話す。訪日観光客をメインターゲットとした同劇場で、海外の人に向けた作品を描くことになるが「演劇仲間が見ても面白いと思って、リピーターになってもらえるものをまずしっかりと作って、それを持って、初めて海外の人も楽しめると思う。セリフはほぼないですが、ちゃんとストーリーのあるものにして、楽しく、刺激的でありながらちゃんと感動できるものにしたい」と語り「この舞台をもって、トップクリエイターの仲間入りをしたいという志をもって臨みます」と力強く宣言した。
一方、演出を務める岡村は「テーマは『こと』と『もの』。人間はものに頼って生きていますが、本当はただ伝えるだけで良かったりする。そういうことを、言葉じゃなく、パフォーマンスや殺陣など表現を並べながら表していきたい」と本作への思いを語った。また、本作が専用劇場での上演となることから「フライングシステムを始め、こちらで発注したいろんな特殊装置やとんでもない数の照明だとか、用意されています。(セリフがないショーとなるが)視覚的に、言葉がなくてもわかるという劇にしたいと思っています」と、同劇場ならではの演出になる予定だ。
また、本作の「セリフがない」というスタイルに関して、横内は「今(完成している)の台本には、心情を(役者に)伝えるために多少残っていますが、最終的には『おのれ』とか『無念じゃ』といった言葉を流行らせたい。なので、キメゼリフはあった方がいいんじゃないかと思っています」と明かす。岡村も「感情的な擬音や感嘆詞は使い、それらの感情に端を発したものがダンスや殺陣、イリュージョンになり、その広がりを劇化して繋いでいく」とした。
また、この日、ダンサー、コレオグラファー、そして女優として活動するElinaと、殺陣の分野ではスピード、技術ともに日本一の呼び名も高い早乙女、そしてキャストオーディションで選ばれた吉田が本作に出演することも発表された。
早乙女は「今回は言葉がなくショー的なものなので、シーンによってお芝居が派手だったり、舞っているような殺陣ができたら」と語り「海外で殺陣のショーを行い、日本の武士や刀というものを見せたいと思っていました。そのステップとして、(この舞台は)すごくいい機会だと思っています」と未来を見据えた。
一方、3年ぶりの舞台となるというElinaは、「ダンスにしか表現できない情感や雰囲気、また繊細で緻密な部分をダンスで表現していきたい」、吉田も「まだ経験が浅いので、その分何事にも挑戦して頑張りたい。みんなから愛されて、魅力的な、世界に通用する女優さんになりたい」と意気込んだ。
なお、本作の音楽は、全世界で2000万以上DLされている音楽ゲームアプリ「Deemo」で人気を博すMiliが担当することも発表された。
『アラタ〜ALATA〜』は2017年7月7日(金)から、東京・オルタナティブシアターで上演される。チケットは5月1日(月)より販売開始。
(取材・文・撮影/嶋田真己)