2017年7月7日（金）に、東京・有楽町センタービル（有楽町マリオン）内にオープンする新劇場「オルタナティブシアター」のこけら落とし公演『アラタ～ALATA～』が開幕する。前日には、テープカットセレモニーと公開ゲネプロ、囲み会見が行われ、早乙女友貴、Elina、吉田美佳子、脚本の横内謙介、演出・構成の岡村俊一が登壇した。
会見ではまず、2020年のトーキョーの迷いこんだ侍・アラタ役を演じる早乙女が挨拶。「舞台上をひたすら走って･･･運動会をやっているような気分です（笑）。体力をつけて、最後までがんばっていきたいと思います」と意気込んだ。今回、出演以外にもアクションのディレクターを任されている早乙女。本作の見どころについては「これまで自分も経験したことのなかった中国アクションを取り入れ、現代の警官とアラタが戦う場面では蹴り技を入れるなど、チャンバラだけではない細かいアクションを入れています。そういうところを観ていただけたら」と呼びかけた。
本作は、言語にとらわれず訪日外国人も楽しめる“ノンバーバル（非言語コミュニケーション）”なパフォーミングをコンセプトに、ダンスや殺陣、演劇の要素を盛り込んだタイムスリップ・サムライ・エンターテインメント。公開ゲネプロでは、モニターとなる外国人の観客も多く観劇していた。そんな外国人モニターの反応について本作の演出・構成を手掛けた岡村は「日本のエンターテインメントが届いたという実感があります」とコメント。
また、オルタナティブシアターの舞台機構について「この劇場には、最新鋭の機材が揃っているんですよ。そんなテクニカルな要素を演者たちが操りこなしている『アラタ』は、圧巻だと思います。東京のSHOWで、ここまで整理されたものはないと思う」と絶賛。その言葉どおり、同劇場は天井に敷き詰められた2700灯の高輝度LEDや、ワイヤーアクションを可能にする舞台機構など、立体感のある舞台演出を実現できる環境が整っている。
その舞台機構に加えて、殺陣やダンス、パントマイムとそれぞれの分野で活躍する若いアーティストが集結して魅せるパフォーマンスが最大の見どころとだろう。本作の脚本を担当した横内が「当初の台本には台詞もあったんですが、ほとんどそれが消えてしまった。では、消えてどこに行ったんだろうなと思って観たのですが、ダンスや立ち回りの中に言葉が宿って意味が生まれていました。そういうことをすごく丁寧に、皆が演じきっていて、言葉は消えたのではなく、形を変えてここにあるんだなあと思いました」と述べていたが、まさに早乙女やElinaを中心とした躍動感溢れるパフォーマンスからは、言語を超えたドラマ性が感じられた。
また、横内は続けて「様々な最新技術が投入されていますが、最後に胸を打つのは人間の力だなあと。そのことを伝えに楽屋に行ったら、早乙女さんとElinaさんが立てなくなっていました（笑）」と舞台裏を明かした。
横内の言葉を受け、早乙女は「倒れていたというより貧血状態になってしまって･･･。でも大丈夫です、がんばります！」と照れながらコメント。現代のOL・こころ役を演じるElinaは「今回の作品では、指切りが大事なポイントになっているのですが、早乙女さんも私も指が汗でふやけて、少し震えているんですよ（笑）」と舞台上の様子を明かし、会場の笑いを誘いつつ「でも、良い意味での逃げ口を探して、クオリティを上げていきたいです」とさらなる向上心を見せた。
また、千代姫役を演じる吉田は「役者としてすごく勉強できましたし、早乙女さんやElinaさんと一緒に芝居できることがとても幸せです」と謙虚な発言をしていたが、早乙女やElinaとは真逆の静けさを持つ佇まいで、本作のドラマ性を更に高めていた。
最後に早乙女は「この作品はノンバーバルということで子どもからお年寄り、外国の方まで楽しんでいただける作品となっています。ぜひ皆の熱いエネルギーを感じに、劇場に遊びに来てください！」と会見を締めくくった。
最新鋭の設備と共に、若手トップアーティストが最大限のパフォーマンスを発揮する本作は、人種や世代を超え見る人の心に響くエンターテインメントショーとなるだろう。
オルタナティブシアターこけら落とし公演『アラタ～ALATA～』は、7月7日（金）より東京・オルタナティブシアターにてロングラン上演。
（取材・文・撮影／大宮ガスト）
