前川知大の脚本・演出の『遠野物語・奇ッ怪其ノ参』が、2016年10月31日(月)のプレビュー公演を経て、11月2日(水)に東京・世田谷パブリックシアターにて開幕した。本作は、劇団イキウメ主宰の前川が描く「奇ッ怪」シリーズの3作目。今回は、民俗学者・柳田国男の「遠野物語」を原作とした物語となっている。初日開幕に向け、前川と出演者の仲村トオル、瀬戸康史からコメントが届いた。
◆前川知大(脚本・演出)
良いプレビュー初日でした。お客様が入って固まったという感じがします。とにかく劇場全体がすさまじい集中力に包まれていました。原作の「遠野物語」を知っている人には絶対におもしろいでしょうし、知らない人にも届く、一演劇作品としておもしろい作品になったのではないでしょうか。柳田国男は自分の伝えたいことをストレートに語らなかった人。僕たちはトオルさん演じるヤナギタを通して、彼のメッセージを語っていきたいと思っています。
◆仲村トオル(ヤナギタ役)
いつも初日を迎える度に感じることですが、お客様に教えていただくことはとても多く、大きいものです。今作は特に「伝わっているのか」「今の自分はきちんと村人に見えているか」など、これほど教えていただかないと不安で仕方がない作品はありませんでしたが、お客様から「大丈夫」と、我々の背中を押してくださるような空気が伝わってきまして、安心しました。
◆瀬戸康史(ササキ役)
僕が演じるササキの台詞に「話している時は最高なんだ。気持ち良いんだ」というものがあるのですが、初日を終えてまさにそういった感じでした。舞台に出るまではすごく緊張していたのに、いざ語り始めたらノってくるんです。自分の中にササキが入り込んできたように感じました。僕は語り部としてヤナギタに語りかけると同時にお客様にも語りかけていて、ある意味お客様も出演者だと思って演じています。
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』は、11月20日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。その後、新潟、兵庫、岩手、宮城を巡演する。日程は以下のとおり。
【東京公演】10月31日(月)~11月20日(日) 世田谷パブリックシアター
【新潟公演】11月23日(水・祝) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
【兵庫公演】11月26日(土)・11月27日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【岩手公演】11月30日(水) 岩手県民会館 大ホール
【宮城公演】12月3日(土)・12月4日(日) イズミティ21(仙台市泉文化創造センター)小ホール
※10月30日(月)はプレビュー公演
(撮影/細野晋司)