2025年12月29日(月)より東京国際フォーラム ホールB7にて上演される、J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』。開幕前日には囲み取材会が行われ、出演する尾上右近、紅ゆずる、佐藤流司、和田琢磨、梅田彩佳、ヴァイオリニストの川井郁子、そして構成・演出・出演の尾上菊之丞が登壇した。
歌舞伎、宝塚、2.5次元、音楽、神楽と、異なるジャンルのトップランナーが集結した本作。会見は、緊張感と和やかさが入り混じる独特の空気の中でスタートした。

「短い期間で集中して作り上げた」それぞれの決意

冒頭、キャスト陣は一様に「稽古期間の短さと、その中での濃密な時間」について触れた。
まず、須佐之男(すさのお)役の尾上右近が「第一線の実力者たちが、短い稽古期間でぐっと集中して形にした作品。もっと長くやりたいと思うほど、このメンバーでやらせていただけることが嬉しいです」と口火を切ると、岩長姫(いわながひめ)役の紅ゆずるも「私も大変短いお稽古期間でしたが、集中して頑張りました(笑)」と笑顔を見せた。

続いて、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)役の佐藤流司にマイクが渡ると、「頑張ります」と一言。シンプルすぎる挨拶に記者から「もう一声!」とリクエストが飛ぶと、「長くなりますが・・・頑張ります!よろしくおねがいします!」と言い直し、会場の笑いを誘った。

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)役の和田琢磨は「年の瀬にふさわしい華やかな舞台です。自分が参加していないシーンも稽古場で見ていて非常に楽しかった」と語り、⽊花咲耶姫(このはなさくやひめ)役の梅⽥彩佳は「大切に、責任を持って頑張りたいです」と意気込んだ。

音楽を担う川井郁子は「色んなジャンルの第一線の皆様とご一緒できてワクワクしています」と期待を寄せ、最後に構成・演出の尾上菊之丞が「全員が揃ったのは昨日。ものすごい集中力と適応力で、想像を遥かに超えるエネルギーを感じています」とカンパニーへの信頼を口にした。
ジャンルの壁を超え「互いの領域に踏み込む」

続いて話題は、本作ならではの「異種混合」の面白さへ。菊之丞は「ただ集まっただけでなく、互いの領域に踏み込みながら、歌も踊りも芝居も一緒に感じて作り上げるのが『詩楽劇』の醍醐味」と熱弁。

これを受け、右近も「菊之丞先生とは幼い頃からお世話になっている間柄ですが、今回は先生が求めているもの以上を目指そうという気持ちで参加した」と自身の変化を語った。また、「稽古中は静かにしていなきゃいけないのに、楽しすぎてつい喋っちゃって・・・ねぇ!」と突然隣の佐藤に同意を求めると、「巻き込まないでください(笑)!」とフラれてしまい、「冷たい!でも、居心地が良くて・・・つい」と照れ笑いを浮かべていた。
紅ゆずる&梅田彩佳、豪華絢爛な「装束」への想い

続いて、本物の装束を身にまとった感想を問われた紅と梅田。紅は「守られているというより『背負っている』感覚。丁寧に身を預けたい」と神妙な面持ちを見せた。さらに「稽古場で右近さんに『衣装に操られるのではなく、自分が操るんだ』とアドバイスをいただいて、そこからは『よし、操ってやるぞ!』という気持ちで頑張っています」と裏話を披露。 これに対し右近は「そんな上から目線では言ってないですよ(笑)?!」と慌てて否定しつつも、座長らしい頼もしさを覗かせた。

梅田も「遠くからでも近くからでも美しい衣装に負けないように頑張りたい」と語り、「私もアドバイスが欲しいです」と右近におねだりして会場を和ませた。
佐藤流司、尾上右近との約束叶わず

会見の後半、現場の空気が一気に緩んだのが「稽古場でのエピソード」についての質問だ。「人見知りなので、本番前に食事に行って仲良くなるのがセオリー」という佐藤は、初対面の日に右近と連絡先を交換して「絶対にご飯に行こうね」と約束したという。しかし、スケジュールが合わず実現しないまま本番を迎えることに・・・。
佐藤が「たまたま食事をしている時に『右近くん今なにしてるんだろう』と思って連絡してみたら、まず東京にいなかった(笑)」と明かすと、右近は「ご飯に行かなくても仲良くなれるという、新しいセオリーができたということで!」とポジティブに切り返し、笑いを誘った。

しかし、ここで和田が「僕は流司くんとカニを食べに行きました」とニヤリと切り込み、右近を「えーっ!?」と驚かせていた。
終始笑いの絶えない会見となったが、最後は座長の右近がビシッと「2025年を締めくくり、新たな新年へ向かっていくエネルギーを存分に詰め込みました。年越しそばに例えるなら、もうお腹いっぱい!というぐらいの『てんこ盛りの年越しそば』のような舞台です。ぜひ劇場で召し上がってください!」と締めくくった。
“伝統と革新”で新年を寿ぐ

「J-CULTURE FEST」は、“伝統と革新”をコンセプトに、日本文化に親しみ、新たな価値発見の機会を提供することを目的に開催されている。2020年より、“公演プログラム”と“体験・企画展”を通して、日本文化を様々な形で体験できるイベントとして毎年実施されており、日本古来の伝統芸能の良さを現代に生かす音楽や舞等の“公演プログラム”と、正月行事を中心に日本文化をさまざまな形で体感する“正月テーマパーク”を展開している。

そのメインプログラムとなる詩楽劇『八雲立つ』は、公演を通して神々に触れることで、一年の穢れを祓い、新しい一年を寿ぐことをテーマに上演される作品だ。

知っているようで知らない古くから日本に伝わる神々の物語を、本物の装束を纏った日本のプロフェッショナル達が集結して描き出し、古典芸能と音楽が融合する舞台を届ける。

まさに一年の締めくくりにふさわしい本作。ぜひ劇場で“神々”と出会うことで、清らかな気持ちで新年を迎えることができそうだ。
J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』は、12月29日から31日まで東京国際フォーラム ホールB7にて上演される。
あらすじ

本作冒頭では、2025年の穢れを払い、2026年を寿ぐ、神職による修祓が執り行われます。
そして、イザナキとイザナミの国生み、神産みを描いてゆく神秘的な幕開けより、黄泉へと去った母イザナミの穢れを濯いで生まれたスサノオが、舞台上で衣裳を纏い、隈を取り、大太刀を持って歌舞伎の荒事を見せ、荒む魂、荒御魂を現して天上へと踊り込みます。
一方、天下った瓊瓊杵尊に袖にされ侮辱を受けた岩長姫は、闇落ちして大蛇に。大蛇となって美しき女性を喰らい尽くす様子を、石見神楽と岩長姫の“大蛇タンゴ”で表現します。そして舞台は、石見神楽のスサノオと尾上右近演じるスサノオが相対し、神とは如何に、人とは如何にと問う、“二人スサノオ”の場面へ。
スサノオが大蛇の首を斬り、岩長姫の闇が断たれた時、世に起きる変化とは――。
神話を題材に想像力豊かに和魂を寿ぎ荒魂を鎮める芸能の神髄をご覧に入れます。
(取材・文/エンタステージ編集部 1号、撮影/飴屋まこと)
J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』 公演情報
| 公演情報 | |
|---|---|
| タイトル | J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』 |
| 公演期間・会場 | 2025年12月29日(月)~12月31日(水) 東京国際フォーラム ホールB7 |
| スタッフ | 構成・演出:尾上菊之丞 脚本:戸部和久 |
| 出演 | 尾上右近、紅ゆずる、佐藤流司、和田琢磨、梅田彩佳 川井郁子(ヴァイオリン)、石見神楽 万雷/尾上菊之丞 ほか |
| チケット料金 | SS席:12,000円/S席:10,000円/A席:6,000円(全席指定・税込) |
| 一般発売日 | 11月1日(土)10:00~ |
| 公式サイト | https://yakumo2025.com |
| 公式SNS | 公式X:@yakumo__2025 |





