入江甚儀、秋元才加、前田美波里らが挑む心理サスペンス劇『夜が私を待っている』会見&公演レポート

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2016年10月15日(土)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて『夜が私を待っている NIGHT MUST FALL』が開幕した。本作はイギリスの劇作家エムリン・ウィリアムズによって1935年に書かれた心理サスペンス劇で、今回が日本初上演となる。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、演出の河原雅彦、入江甚儀、秋元才加、前田美波里が登壇した。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_2

演出の河原は「俳優さんの張り詰めたお芝居だけで見せていくという非常にストイックな心理サスペンス劇なので、役者さんがよければおもしろいと思います(笑)」と冗談めかしつつ、「80年前のイギリスの戯曲なので衣裳や髪型を見ると新鮮ではありますが、とても普遍的な話で、日本の片田舎でもありえてしまうような話でもあります。素敵な方々と、充実したお稽古ができましたので、とてもいい作品になっていると思います」と自信を見せた。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_3

周囲を惑わす青年ダン役を演じる入江は「0からスタートするつもりで、周りの方々にたくさん教えていただきました。演出もきめ細かくご指導いただき、役がどんどん生きてきて、ハッと気づかされることが多かったです。今までの芝居に対する捉え方が180度ひっくり返りました」と稽古を振り返った。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_4

秋元は、自身の演じる役について「オリヴィアは、煮詰まった森の奥の片隅に住んでいながら、心のどこかで刺激を求めている女性です。女性の誰もが持つ要素であり、根本的なところでは自分も似ているのかなと思いました」と分析しながら「難しい役ということもあり、私生活も煮詰まってしまったのか・・・癒しを求めて観葉植物を買ったり、動物の画像ばかり眺めてしまいました(笑)」と役に入り込み過ぎてしまったエピソードを披露。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_5

そして「かわいいおばあちゃんになりたいと思っていたのですが・・・」という前田が演じるのは、森の中で暮らす気難しいブラムソン夫人役。「これほど人に嫌われる役はなかなかないもので(笑)。役者としては、とてもやりがいのある役ですのでがんばりたいです」と意気込んだ。

河原の演出について問われると、3人はそれぞれ「きめ細かかった」とコメント。さらに秋元は「具体的でありつつ、私の考えを尊重したり、自由に任せてくださる部分も多く、こういう(演出を受ける)のは初めてだったということもあり、大変ありがたかったです」と新たな刺激を受けたようだ。そんな3人について、河原は「作品を作る上では、秋元さんと美波里さんのハーフ度に助けられました。・・・入江くんにハーフ度はなかったけどね(笑)」と評し、笑いを誘った。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_9

最後に「繊細な会話劇です。観客の皆さん心にじわじわと入り込んでいけるような演技ができれば!ぜひ劇場へ足を運んでください」(入江)、「迫りくる恐怖感や、変化していく人間模様、出演者の顔色や動きまで、劇場で細かく観て感じていただきたいです」(秋元)、「一人住まいの方、寂しく暮らしていらっしゃる方、私のように引っかかってはいけませんよ・・・。どうして翻弄されてしまうのか、その様も観ていただければと思います」(前田)とそれぞれ呼びかけ、会見を締めくくった。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_6

物語の舞台は、イギリス・ロンドンの片田舎。森の中の一軒家に、ブラムソン夫人(前田)と姪のオリヴィア(秋元)が暮らしている。屋敷には、口うるさい料理女のテレンス夫人(明星真由美)、メイドのドーラ(白勢未生)、看護婦のリビー(弘中麻紀)、オリヴィアに求婚するヒューバート・ローリー(岡部たかし)が通ってくる以外何もなく、退屈な毎日。そんな中、ある日屋敷の近くで行方不明者の目撃情報があったとベルサイズ警部(久ヶ沢徹)が訪ねてきた。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_7

時を同じくして、メイドのドーラが親しくなったという「トールボーイズ」のウェイター・ダン(入江)を屋敷へ連れてくることになる。ダンは不思議と人を惹きつける魅力を持ち、屋敷の人々を自分のペースに巻き込んでいく。ダンを気に入ったブラムソン夫人は彼を家で雇うことに・・・。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_8

自身の持つ好青年イメージすらもじわじわとめくりあげていくような入江、物静かな女性の中に秘める複雑な感情を揺らす秋元、老年のもろい心と若者に心を奪われていく様を豊かに表現する前田と、個々の芝居が映える。

『夜が私を待っている』公開ゲネプロ_10

『夜が私を待っている NIGHT MUST FALL』は10月30日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演。

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