混迷の時代を生き抜いた実在の歌姫・李香蘭の悲劇を描いた『ミュージカル李香蘭』。1991年初演の名作が、2015年に続き、浅利慶太プロデュース公演として2016年9月3日(土)より東京・自由劇場で上演される。
本作は、“日中戦争”“満州国”を巡る史実を背景に、日本人でありながら中国の歌姫として数奇な運命を辿った李香蘭こと、山口淑子の半生を描いたミュージカル。ファンから長く愛され続けている作品で、初演以来870回以上というオリジナルミュージカルとしては異例の公演回数にもその人気の高さが表れている。また、1992年に日中国交回復20周年記念公園として中国4都市(北京/長春/瀋陽/大連)で巡演、1997年にはシンガポール公演も行われるなど、国際的にも高い評価を得ている。
実際に起きた悲劇をもとにしたストーリーもさることながら、作品全編を彩る音楽も大きな魅力の一つ。ポップス界のヒットメーカーにしてミュージカル作曲家としても評価の高い、故・三木たかし氏によるオリジナルナンバー20曲のほか、「夜来香」「蘇州夜曲」など李香蘭のヒット曲、そして「月月火水木金金」「海ゆかば」といった昭和を代表する楽曲が、当時の雰囲気をよりリアルに蘇らせる。
企画・構成・演出を務める浅利は、「悲劇が繰り返された“昭和”という時代を、決して風化させてはいけない。あの戦争の悲劇を語り継ぐ責任が僕にはあると思っています」と語っている。戦後70年以上が経過し、戦争の記憶が遠くなりつつある現代にこそ上演されるべきミュージカルと言えるだろう。
浅利慶太プロデュース『ミュージカル李香蘭』は、9月3日(土)から9月11日(日)まで、東京・自由劇場で上演される。