上川隆也を輩出したことでも知られる演劇集団キャラメルボックスが、2015年、結成30周年を迎えた。この記念となる年に、同演劇集団の上演作の中で最も人気の高い「クロノス」シリーズ4作品が、全国流通盤としてリイシューされ発売。これを記念して、脚本・演出の成井豊と本作の原作者である梶尾真治によるトークショーが11月7日(土)に東京都内で開催された。
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「クロノス」シリーズは、SF作家の梶尾が1994年から書き続けてきた短編小説を原作にしたシリーズで、物質を過去へ射出する機械クロノス・ジョウンターにまつわる人々を描いた作品。2005年に初演した『クロノス』を皮切りに『あした あなた あいたい』『ミス・ダンデライオン』『きみがいた時間 ぼくのいく時間』『南十字星(サザンクロス)駅で』の計5作品が舞台化されており、このうちの4作品がDVD化された。
この日のトークショーでは、これまでの上演作品について、キャラメルボックスと梶尾の関わりについてなど、ざっくばらんなトークが展開され、数々の制作秘話も明かされた。 梶尾は、キャラメルボックスからの舞台化のオファーを受けた時を「できないよって思いました(笑)」と振り返った。
そして「『銀河旋律』(キャラメルボックスが1989年に初演したタイムトラベルが一般化した時代を舞台にしたSF劇)のDVDを送って頂いたんです。それを観て楽しい劇団だなと思いました。それでもできないとは思ってましたが、どう料理するのか、お手並みを拝見しようと」と、今だからこそ言える率直な思いを打ち明けた。とはいえ、実際に出来上がった作品を観ると「自分で原作を書いておきながら、感動しました。何よりお客さんが満足した顔で出てこられていて、これが舞台なんだと感じました」と、絶賛する出来だったという。
一方、成井は、舞台化に当たって梶尾から“クロノス・ジョウンター”を劇中に登場させるという条件があったことを明かした。成井は、「正直、出す気はなかったんです。タイムマシーンを出すと、安っぽくなると思ってたんです。でも、覚悟を決めました」と当時の心境を吐露。結果、“クロノス・ジョウンター”を登場させたことで、作品をさらに魅力的に演出することに成功。成井自身「あそこで決断してよかった」と振り返っていた。
また、2016年2月に再演される同シリーズの『きみがいた時間 ぼのいく時間』の主人公は同劇団に所属していた上川隆也をイメージして書かれたというエピソードも。当然ながら、初演ではこの秋沢役は上川が演じたが、再演では誰が演じるのか、楽しみなところだ。
「クロノス」シリーズDVD『クロノス』、『あした あなた あいたい』、『ミス・ダンデライオン』、『ミス・ダンデライオン/南十字星(サザンクロス)駅で』は2015年9月16日(水)より発売中。詳細は以下の通り。
『クロノス』 \4,450(本体)+税 DVD1枚組
『あした あなた あいたい』 \3,520(本体)+税 DVD1枚組
『ミス・ダンデライオン』 \3,520(本体)+税 DVD1枚組
『ミス・ダンデライオン/南十字星(サザンクロス)駅で』 \5,560(本体)+税 DVD1枚組