ウエンツ瑛士×濱田めぐみ ミュージカル『スコット&ゼルダ』観劇レポート!

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2015年10月17日(土)に、天王洲 銀河劇場で初日の幕を開けたミュージカル『スコット&ゼルダ』。「華麗なるギャツビー」で知られるアメリカの作家、スコット・フィッツジェラルドとその妻・ゼルダの波乱に満ちた人生を描いたドラマティックな作品だ。日本初演となる本作の舞台の模様をレポートしよう。

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1948年、作家のベン(山西惇)が精神病院に入院する一人の女を訪ねて来る。その女の名前はゼルダ・セイヤ―・フィッツジェラルド(濱田めぐみ)。彼女は1920年代に大成功を収めた作家、スコット・フィッツジェラルド(ウエンツ瑛士)の未亡人だ。ベンはスコットとゼルダのスキャンダラスなエピソードを聞きだし、それをゴシップ記事にしようとゼルダに取材を申し入れる。ゼルダの口から語られる追憶の日々。果たして“ジャズエイジを象徴する夫婦”と言われた二人の間にどんなドラマがあったのか・・・。

『スコット&ゼルダ』

物語はゼルダの回想と、ベンが精神病院でゼルダの話を聞く場面・・・2つの時間軸が交差しながら進む。18歳にして周囲の男性たちを虜にしていたゼルダとパーティーで出会った20歳のスコット。二人は惹かれあい、2年の遠距離恋愛を経て結婚。24歳となったスコットはベストセラー作家として大金を手に入れ、二人は毎晩派手なパーティーで大騒ぎ。夫妻はスキャンダラスな存在として世間に認知されていく。

ゼルダの回想話を聞きながら「彼女はスコットに利用されていたのではないか」とある種の違和感を抱くベン。スコットはゼルダの奔放で大胆な振る舞いに触発されてそれを小説に書き、時に彼女の日記をそのまま自身の作品に使っていたのだ。年を重ねるにつれ次第にすれ違い、傷つけあうようになるスコットとゼルダ・・・。

『スコット&ゼルダ』

ダンスやボイストレーニングのレッスンに通い、準備を続けてきたというウエンツ瑛士は、伸びやかな歌声と華麗なステップで1920年代を駆け抜けたスコット役を好演。ゼルダを愛しながらも、途中からその愛が彼女自身に向けたものなのか、自らを触発する存在として必要なのか、分からなくなって行く様が哀しい。

『スコット&ゼルダ』

18歳から48歳までの人生を行き来するゼルダ役の濱田めぐみは、観る者の心にダイレクトに訴えかける歌声で物語を牽引。一瞬にして年齢のチャンネルを変え、一人の女性の生涯を演じるという難役を見事に体現している。特に二幕、作家であるベンに「あなたは自分を最高の作家と思うの?」と問いかけてからの流れは凄まじい。その場面からセルダが歌う大ナンバー「追憶」は圧巻の一言だ。

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作曲を担当したフランク・ワイルドホーン自身が「自作の中でもっともストレートプレイに近いミュージカル」と語る本作。ジャジーな音楽や、タップを含む華麗なダンスも満載で、ゴージャス&華やかに盛り上がる場面も多々あるのだが、ラストに向けて突きつけられるのはクリエイターが作品を創る際の覚悟の有りようであり、人はなぜ仕事をするのか、厄介な“自分”とどう折り合いをつけて生きていけばいいのかという根源的な問いかけだ。

スコットとゼルダ・・・二人のどの部分にスポットをあてて観るかで大きく印象が変わる本作。ミュージカル好きは勿論、ミュージカルは少し苦手という方にもぜひ観て欲しい「大人の心にずっしり刺さる」秀作である。

◇ミュージカル『スコット&ゼルダ』公演スケジュール◇

2015年11月1日(日)まで 、東京・天王洲 銀河劇場
2015年11月7日(土)~11月8日(日) 大阪・新歌舞伎座

撮影:渡部孝弘
取材・文:上村由紀子

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