ABBAのメンバーであるベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが音楽を手がけ、『ジーザス・クライスト=スーパースター』『ライオンキング』のティム・ライスが原案・作詞をした伝説のミュージカル『CHESS』。日本では二度のコンサート公演が行われ、このたび満を持してミュージカル版が上演となる。2015年8月31日(月)、都内で公開稽古と囲み取材が行われ、出演者の安蘭けい、中川晃教、石井一孝、田代万里生が報道陣の前に姿を現した。
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本作では、旧ソビエト連邦とアメリカとの冷戦、ハンガリー動乱など国家に翻弄される人々の人生がチェスの世界選手権を舞台に描かれる。1986年にロンドンで世界初演を迎えられると、1989年までのロングランを記録。楽曲は、ABBAのベニー・アンダーソンらしい華々しいポップスだけではなく、クラシック的なものからロックと幅広いメロディーで構成され、コンサートとして取り上げられることも多く、世界各国30数カ所で上演される超人気ミュージカルだ。
今回の公開稽古では日本初演となるミュージカル版の序章から約15分をいち早く目撃することができた。まず、楽曲「1956-Budapest is Rising」で、舞台の背景となるハンガリー動乱がシリアスに表現されると、舞台の語り部役でもあるアービター演じる田代が2曲目の「ストーリー・オブ・チェス」を厳かに歌い上げる。どちらも、冷戦という不安定な時代をアブストラクトに表現する、本作演出・荻田の世界感が冴え渡っていた。
続いて出演者全員が揃う楽曲「Diplomats」で、これから繰り広げられる盤上での交差する思惑と熱い戦いを予兆させるダイナミックな歌声で、物語の壮大さを伺うことができた。
しかし、公開稽古終了後、囲み取材に移ると一変。和気あいあいとした雰囲気で、出演者同士の仲の良さが垣間見れた。
以下、出演者のコメントを紹介しよう。
安蘭「コンサートでは語られなかった部分が、演出の荻田さんの世界観で語られています。3年間コンサートで熟成されて始まった『CHESS』を、このメンバーで世界初演を迎えられるのが嬉しいです」
石井「今回はコンサートとは一味違った世界が楽しめるはず。チェスファンの方にも楽しんでいただけるでしょう」
中川「物語は冷戦時代のお話ですが、現在の世界情勢を見ていると、他人事ではないはず」
また、「世界で今までにないアービターを作ろうと思っています」と意気込みを語った今回初参戦となる田代。田代の稽古場での様子を尋ねられると、安蘭は「とても自由な二人(石井、中川)を監視してみている」と応え、笑いを誘った。
ミュージカル『CHESS』は9月27日(日)~10月12日(月)、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて、10月19日(月)~25日(日)、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。
なお、9月28日(月)終演後に行われるアフタートークイベント「CHESS ミュージカル版を語る!」に、出演者の石井一孝、田代万里生、AKANE LIV、戸井勝海に加え、『CHESS IN CONCERT』でアービター役を務めた浦井健治がゲストとして出演する。