2012年12月に他界した国民的女優・森光子(享年92歳)をしのぶ会が、2015年5月7日(木)東京・帝国ホテルにて行われ、森光子芸能文化振興財団より「森光子の奨励賞」の制定が発表された。この章は、“一筋の道を、熱意を持って歩いてきた若者を応援したい”と願っていた森が生前から構想してきたもの。今後毎年5月に表彰を行っていくという。
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第一回「森光子の奨励賞」は、17代目、18代目中村勘三郎と親交を重ね、森が子どもの頃から成長を見守ってきた歌舞伎俳優の中村勘九郎・中村七之助兄弟に贈られた。受賞を受け、勘九郎は「大好きな森先生の賞を頂けることを、本当に嬉しく幸せに思うと同時に、大変恐れ多いです。『寝坊な豆腐屋』(2007年)で、森先生が“中村屋三代と舞台に立ちたい”と言ってくださり、短い場でしたが急遽出演させて頂きました」と振り返った。また、公演の度に楽屋に花を贈ってくれたと明かし「(森が亡くなったことを)3年前、初日に森先生からの花がないのを見て実感いたしました…」と、声を詰まらせていた。
七之助は、「この受賞は、100%祖父・父・森先生の愛だと思います。芝居を愛して、みんなを愛して、いい役者になるということが森先生への、中村屋としてのお返しになるんじゃないかなと思います」と語った。また、女方の立場からも「おこがましい話ですが、いつか森先生と同じ役を演じることもあると思う。負けないように、日々精進していきたいと思います」と決意新たに気を引き締めていた。
奨励賞のほか、森を支えてきた人たちの功労に報いたいと「森光子 花のこころ賞」として“スタッフの皆様”を表彰。代表して、東宝舞台株式会社の延島泰彦と金子龍子が受賞した。また、プレゼンターとして王貞治(福岡ソフトバンクホークス 取締役会長)や、萩本欽一、石井ふく子(プロデューサー)、黒柳徹子など豪華なメンバーが登壇。挨拶とともに森とのそれぞれの思い出を披露し、懐かしんでいた。
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しのぶ会には、北大路欣也や里見浩太朗、森喜朗元首相など約1000人を超える各界の著名人が参加。展示されていた森の舞台衣装や、場内の大型スクリーンに流れる舞台『放浪記』やドラマ『時間ですよ』の映像に参加者たちは懐かしげに見入っており、故人の功績の大きさと、今もなお愛され続ける森の人柄を感じられる会となっていた。