「Dream Stage -読奏劇-」インタビュー!牧島 輝『注文の多い料理店』初の朗読にぶつけた「芝居をしたい」という欲

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9月30日(水)21:00より、「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」第5弾となる牧島 輝の「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」が配信される。牧島が、朗読に挑戦するのはこれが初めてのこと。しかも“「朗読」を「Music Video」のように届ける”という、映像作品でという特殊な初体験となったが、非常におもしろい収録となった。

牧島の中に広がる世界と、撮影を担当した監督・鎌田哲生、それぞれのイメージが具現化した『注文の多い料理店』。牧島は、どのような想いで撮影に臨んでいたのか?話を聞いた。

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――収録を終えられてみて、いかがでしたか?

僕 、そもそも朗読をするのはこれが初めてだったので、とてもいい経験になりました。初めての朗読劇が映像・・・しかもMV風っていうのは、とても特殊だなと思ったんですけど(笑)。初めてのことが重なって、とても新鮮でした。

――初めてとは感じられない、傍から見ていてもとても楽しい収録でした。

本当ですか?ありがとうございます。でも、朗読で表現するって難しいなと思いました。テンションとか、言葉にどのぐらいの熱を込めればいいのか、すごく迷ってました(笑)。

でも、朗読ならではのおもしろさも分かりました。舞台だと、お客さんも演じる側も全員が同じ光景を観ているわけじゃないですか。解釈とかは、それぞれの中にあるものだけど。朗読ではそれがみんなバラバラ。それぞれ思い浮かべるものがあって、頭の中で出来上がるものは同じじゃない。一つ作品だけど、膨らませ方が無限にあるというのはすごくおもしろいことだなと思いました。

――MV風というのもなかなかない企画なので、ほかの皆さんも興味津々でした。

お話をいただいた時は、このチャレンジは自分の中に新しいものを生んでくれるんじゃないかというワクワク感でいっぱいでした。というのも、この撮影に臨む前に太田(太田基裕)さんや峻也(大平峻也)くんの作品を拝見せていただいたんです。二人ともまったく テイストが違って、とてもきれいで。自分はどう撮っていただけるんだろうと、すごく楽しみになりました。

でも、確かに「MV風」ってどういうことなんだろう?って思いますよね。お客さんもきっとそうだったろうな。

――太田さんの第1弾が配信されるまで、皆さん「どういうこと?」って思っていたみたいです。

そりゃそうだ(笑)。でも、分からないことはネガティブなことではないですからね。

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――牧島さんには、宮沢賢治の作品を読んでいただきました。牧島さんの作品選びは、プロデューサーと監督からの「宮沢賢治がいい」という決め打ちだったそうですね。

そうなんです。いくつか作品を提示していただきました。実は、最後まで今回読ませていただいた『注文の多い料理店』と『セロ弾きのゴーシュ』が候補にあって、どちらにするか迷っていました。最初の頃は『セロ弾きのゴーシュ』にしようという気持ちが強かったんですけど、本を読んでいて、何というか・・・今の自分としてハマりきれなかったんです。

『セロ弾きのゴーシュ』には、動物がたくさん出てきて、音で表現する部分も多い作品でした。これを朗読でどう表現したらいいんだろう?って考えていたら、めちゃめちゃ悩んでしまって・・・。僕 自身ももともと知っている話で、皆さんにも親しみのある作品の方がトライしがいがあるかなと思い、切り替えて『注文の多い料理店』にしました。

――今の牧島さんにとって、それはベストな選択だった気がします。もちろん、『セロ弾きのゴーシュ』も観てみたかったですが。事前に監督が「牧島さんにはコメディが似合う」と言っていたんです。それが、すごく腑に落ちました。

僕 ・・・演じさせていただいた役と、自分自身に結構ギャップがあるんですよ。これまでいただいた役は、みんなわりとシュッとしているんですけど 、僕 は常にハッピーなんで。外見からあまりそう見られないかもしれませんが、内面はすっごく明るい人間なんです。・・・自分で明るいって言うの恥ずかしいんですね(笑)。でも、ハッピーです。

鎌田監督とは舞台の稽古場撮影の時などでもお会いすることもあったので、その様子を観ていて「コメディが似合う」と言ってくださったのかもしれません。

――監督も、撮影しながらとてもハッピーそうでした(笑)。宮沢賢治の『注文の多い料理店』を“コメディ”として捉えたことはなかったのですが、牧島さんが演じているのを拝見して、「なるほど」と思いました。

『注文の多い料理店』は、山奥に狩猟に来た青年二人が西洋風の一軒家に迷い込むことから始まりますが、その二人のやりとりに、笑わそうとしているのではない、真剣さから溢れるおもしろさがあるんですよね。それに気付いた時、これって確かにコメディだと思いました。童話にそういう視点を入れてみると、作品としてまた違った面が見えた気がしました。

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――登場人物も複数登場し、会話も多いものでしたが、結構しっかり準備をされてきました?

果たしてどれぐらいキャラを設定して分けたらいいのか、そこまで分けない方がいいのか、考えている時間が長かったですね。ずっと家で、一人迷ってました。最良、最善はどれなんだ?って。朗読って、耳だけで聞いてもらうことが大半を占めるじゃないですか。でも、この「読奏劇」は映像なので、視覚的にも楽しめるようにした方がいいのでは?といろいろ考えて準備はしてきました。

――登場人物はどう膨らませましたか?

大きく分けて、青年二人、猫二匹、犬、そして看板を登場人物として分けました。青年二人はどう演じるか、撮影するまで決めてなかったんですけど、一回読んだのを聞いて、監督が「いいね!」って言ってくれたので安心しました。ちょっと声のトーンを変えてみたり、いろいろやってみました。

猫同士の会話は「漫才みたいな感じでやってほしい」って言われたんですよ。それがちょっと難しくて。漫才みたいってどうすれば・・・?とちょっと悩みました。やるのは一人でだし、舞台と違って映像はぶっつけ本番みたいな感じだから、どう見えているのかまったく分からなくて。

看板は、音に温度を持たせすぎないというか、人っぽくない感じが出たらいいなと思って、淡々とやってみました。でも、仕上がりどうなっているんだろう?まったく 想像がつかないんです。自分で観て、うわーっ!てなっちゃうかもしれないし、おもしろい!ってなるかもしれない(笑)。

――ここまですべての撮影を拝見してきましたが、牧島さんの撮影が一番どう仕上がるのか読めません。

映像にしていただく時、カメラを気にしすぎると、メリットもあるし、デメリットもあるじゃないですか。だから、今回は本に集中した方がいいのかなと思って、あまり気にしないようにしました。・・・でも、終わった途端に気になりますね(笑)。

――(笑)。それ故に、映像でありながらすごく演劇的に見えました。そして、牧島さんが読む声で脳裏に絵が浮かんできました。牧島さんは絵も描かれていたりしますが、朗読する時、ご自身の中に“絵”は浮かんでいたのでしょうか?

それはありました。自分なりの解釈とか、イメージを持つようにしました。本当にそれが正しいのか、観てくださる方と共有できるかは分からないんですけど、自分の頭の中には絵が広がっていました。草木がサワサワ動く感じとか、枯れ葉がカサカサと音を立てる感じとか。季節感、建物や道・・・出てくる物はどれぐらいの大きさなのか、とか。

そういうのを一つ一つ想像するのが、すごく楽しくて。僕 、普段は本より漫画を読むことが多いんです。でも、こうして文章と向き合うと、自分で物語を想像する部分がすごく多いのでおもしろいなって、改めて思いました。

――ますます、舞台でも朗読する牧島さんを観てみたいです。牧島さんはお声も素敵なので、そこも活かしてぜひ実現してほしいですね。

そんな風に言ってくださって、ありがとうございます。朗読、舞台でもやってみたいなあ。声優さんのイベントとかでも、目の前で台本を読んだりされることあるじゃないですか。そういうのを観て、すごいな、やってみたいなという気持ちはずっとあったんですよね。どこかで叶うといいなあ。

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――撮影を拝見していても、今、お話を伺っていても、すごく牧島さんの“表現したい”という想いを感じるのですが、何か心境の変化はありましたか?

コロナの影響で、お芝居ができない時期に、普段感じていたこと・・・ありがたみとか、感謝の気持ちとか、しんどさとか、いろんなことを改めて見つめていました。全部大事に思っていたけど、ここまで自分の中で大きなものになっていたんだって、痛感したというか。僕 、こんなにもお芝居好きだったんだな。もともと好きだけど!分かってたけど。こんなにか・・・って。自粛期間の中で培った、お芝居をしたい欲の高まりがすごくて。僕 、あんまり「牧島」として世に出たいと思ったことはないんですよ。だから、早く役をもらいたかったです。

でも、ああいう状況になったから、この「読奏劇」という企画が出来て、新しい経験をさせていただけることになってるんですよね。お芝居をしたい欲の高まりと相まって、今きっと、何をしていても楽しいです。

つらい経験もしたけど、決して無駄な時間にはならないとも思えています。自分と向き合う時間でもありましたし、自分に何ができるのか、すごく考えさせられた時間でした。太田さんが、たくさん相談にのってくれたんですよ。

――どんなお話をされていたんですか?

太田さんが音楽を作って、僕 がイラストを描いて、動画でコラボさせていただいたりしていました。太田さんって、ああ見えて結構熱いところがあるじゃないですか。動画を一緒に作っている時も、「ほかの人が出来ることをやっていてもだめなんだよ、自分に出来ることは何なのかを考えなくちゃ」とおっしゃっていて。確かに、僕 に出来ることってなんだろうってすごく考えました。お芝居でも、ほかの誰でもなく、自分のものをこれから見せていけたらいいなって思った期間でした。

――この「読奏劇」も、その一つになっていると思います。配信当日は、完成したものをお客様と一緒に観ることになります。

それは照れくさいな・・・(笑)。僕 、あんまり 自分が出てる作品の映像、観ないんですよ。稀に観ることもありますけど、とにかく照れくさくて。でも、これはきっとおもしろいと思います。まったく 仕上がりのイメージが湧いていませんけど、きっとおもしろい作品になっているはずなので!ここまでどれもまったく 違うテイストになっているから、きっとオレ の回はパンチが効いたものになっているんじゃないかな(笑)。いい意味で期待を裏切るものになってたらと思います。

――配信が一つのツールとして確立してきたことで、世界が広がりましたね。

先日、オンラインイベントも経験させていただいたんですけど、コメントとかで反応をリアルタイムで受け取れて、すごく楽しかったんですよ。本当は、お客さんと一言でも直接会話ができたらもっと楽しいだろうと思いつつ、逆に、元通りにできるようになったら、今のこの状態がレアなことになるかもしれないし。こういう機会にしかできないことを、一緒になって楽しむことができるってすごくいいなと思っています。

この「読奏劇」、初めてづくしの作品でもあるので、恥ずかしいですが一緒に楽しめたら嬉しいです。

『Dream Stage -読奏劇-』

【#5】9月30日(水)21:00~
牧島 輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
チケット:https://ima-ticket.com/event/158
※配信開始後、途中入場可
※アーカイブ配信あり

<シリーズ作品>

【#1】アーカイブ配信(11月30日まで)
太⽥基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117

【#2】アーカイブ配信(11月30日まで)
⼤平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118

【#3】アーカイブ配信(11月30日まで)
崎⼭つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119

【#4】アーカイブ配信(11月30日まで)
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120

※以降順次出演者・配信⽇・朗読作品を発表予定!

【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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