周りを輝かせる人になりたい!本西彩希帆インタビュー『ゾンビランドサガ 』主演で感じた気持ちの変化

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2020年9月5日(土)・9月6日(日)の2日間、東京・草月ホールにて上演される舞台『ゾンビランドサガ Stage de ドーン!』。本公演は、もともと3月に上演予定だったが、コロナの影響により開催自粛となっていた。そこから、2日間だけだが観客を入れての開催、4公演すべての配信を行う形で、見事復活。その主演を務める本西彩希帆(劇団4ドル50セント)に、今作に掛ける意気込みや、役者としての「これまで」と「これから」を聞いた。

――コロナ禍々で舞台が次々と中止になってきましたが、本西さんはどのような気持ちでいらっしゃいましたか?

『ゾンビランドサガ stage de ドーン!』も当初は3月に上演する予定だったのですが、開催自粛となり「私、持ってないなぁ・・・」と思っていました。自分が悪いわけではないけれど、自分のことを責めてしまう日々でした。出演が決まっていた作品も次々と上演できないことになり、舞台に対する熱量が下がってしまって、芝居を続ける意味があるのかすら考えてしまいました。

その後、劇団4ドル50セントの舞台をオンラインで上演することになり、稽古に入るのですが、最初は気持ちがまだ切り替わってなくて・・・。オンラインの舞台だとお客さんに直接熱を届けられないし、舞台と言っているけど舞台ではない。舞台は、お客さんの前で演じてはじめて意味があるものと捉えていました。

――その気持ちを切り替えられたきっかけは?

自粛期間中、家にいる間に「何故、私は役者の世界に飛び込んだのか?」と改めて自分の夢や思いというものを再確認する時間があったのですが、そこで、私は自分が「好きだ!」「こうなりたいんだ!」と思う熱量が私を突き動かすモチベーションだと気づいたんです。

ミュージカル『薄桜鬼 風間千景篇』を観た時の「千鶴を演じてみたい」という気持ちから劇団のオーディションを受けて、その後、2.5次元の舞台に出たい、この作品が好きだ、キャラクターへの愛という「好き」の気持ちに突き動かされてきたんだと再確認することができました。

自分の中でそれが消化されたことで、自分が好きなことをしているのに、オンラインだからとか小さなことでくよくよしていてもしょうがないと吹っ切れて、舞台をできない方がたくさんいる中で、ステージに立てることへの感謝や自分が舞台の上で演じることのありがたさを感じながら、稽古に集中して臨むことができました。自粛期間は自分の原点を振り返ることができた、今となっては大事な時間だったし、一歩前へ踏み出すきっかけになったと思います。

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――『ゾンビランドサガ』は念願のお客さんの前でのステージになりますが、どんな気持ちですか?

2月くらいから約1ヶ月共に稽古を重ねてきたメンバーと再会し、好きなことをできる喜びを感じています。上演発表をした時は、ファンの方から「楽しみにしている」という言葉をいただくとプレッシャーに感じることもあったのですが、やはりファンからの声援は心の支えになっていて、今は「やってやろう」という気持ちに変わってきています。

――2日間、どんな舞台にしていきたいですか?

原作アニメの話とリンクしている部分がありますが、アニメ全編をやっているわけではないので、今回演じたメンバーで「続編を見たいよね」と思ってもらえるような作品にできたらと思っています。稽古初日にみんなでそんな話をして、みんな同じ意見だったので、最初から最後まで前のめりで見てもらえるように全力で取り組みたいと思います。

――アニメ原作の場合、舞台として原作を守りながらも崩す部分があると思うのですが、そういった楽しさや怖さはありますか?

初めて2.5次元舞台に出演させていただいた時に、キャラクターのイメージを崩すのは怖かったのですが、キャラクターや作品に対しての愛情を込めて演じていれば、皆さんに理解していただけると分かったんですね。今作も大事なポイントを押さえているので、きっと分かってもらえるはずと思ってます。

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――舞台版ならではの手応えはありますか?

演出家さんもおもしろいことを思いついたらすぐに演出を変えるんですよ。元々この作品は、破天荒な部分があるので、せっかくならお客さんに笑ってもらったほうが良いのでは?と、話し合いながら稽古を進めました。そうしたら、それぞれのキャラクターに見せ場が生まれました。

他の人の見せ場を見ていると、「おもしろいな、うらやましいな」と思うぐらい、日々刺激を受けています。劇場に入ってからもどんどん変わる部分があって(笑)。最終稽古で、私も新たにおもしろい部分をいただいたので「やった!やってやろう」という気持ちです。

――千秋楽まで完成しないぐらいですかね?

演出家の方から「本番に入ってからも変わるから!」と言われました。毎回、絶対同じ公演ではないので、誰がどうアドリブを入れてくるのか?常に緊張感を持って舞台に立つことになるのかと思ってます。今回、全公演配信があるというのはありがたいですね。

――本西さんは、ご自身の夢でもあった『薄桜鬼』シリーズをはじめ、2.5次元作品に出演していらっしゃいますが、オーディションにどのように臨んでいますか?

原作があるものは、作品もキャラクターもとにかく研究するのですが、それはきっとオーディションを受ける人全員がしていることだと思うんですね。私が意識しているのは、オーディションの際に、私が好きなポイントをはっきり言うことです。演技力、歌唱力、ビジュアル・・・私にないものを持っている受験者はたくさんいると思うんです。でも、作品やキャラクターを誰よりも愛していることが少しでも伝わればいいなと思って臨んでいます。

――手応えを感じたりすることはありますか?

オーディションで役をいただけた作品は、作品やキャラクターへの愛をきちんと語ることができたものが多いんです。審査の中で、演技などを何回も見せてとか言われたりして「これはいけるかも」と手応えを感じることもありますが、たいていの場合は、面接の最後、フリーで自己PRした後、スッキリした気持ちになった時に合格をいただけたことが多いと思います。

――『薄桜鬼』の時は、それこそご自分の愛を語り尽くしたのですか?

「薄桜鬼への愛を語りに来たんです」という気持ちでオーディションに臨みました。だから、オーディションが終わった時にマネージャーさんにも「全力で愛を語ってきました」と報告しました(笑)。

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――それは今回の作品でも同じように?

『ゾンビランドサガ』も、アニメを見て大好きになった作品だったので、舞台化されると聞いた時は絶対に参加したいと思っていました。この作品も、オーディションで私の愛が伝わったのかなと思ってます。でも、合格と聞くまでは本当に不安でした。好きだからこそ、好きという気持ちを貫き通して全力で話したことで、私の思いと今回の舞台で求められるものが違っていたらどうしよう・・・とか。出演が決まった時、初めて合っていたんだと自信が持てました。

――『ゾンビランドサガ』は主演でもありますが、その点はどうお感じになりましたか?

経験して、今までご一緒させていただいた座長の皆さんは本当にすごい方だったなと改めて思いました。今まで出演してきた舞台では、私が最も年下であることが多かったので、と甘えていたなと。

今回の稽古に入る前、尊敬する先輩たちに主演としての心構えや立ち振舞について相談したんです。その先輩は、主演は二種類あると教えてくださいました。一つは「みんなに主演にしてもらうタイプ」。もう一つは「背中を見せてついてこいよ」というタイプ。その話を聞いて、私はきっと「周りにしてもらうタイプ」だなと思ったんです。

そうは言っても、今まで通り甘えるだけになってしまってはいけない、いい舞台をするためには時には主演として厳しいことを言わなければいけないとも思いました。そして、厳しいことをいうからには自分をより高いレベルに持っていなきゃという責任も感じました。だから稽古が終わって家帰る時は、ほんとにヘトヘトでした(笑)。

――本西さんは、もともとそういったキャプテンシーは強い方ではなかった?

私は、三姉妹の末っ子で、甘えん坊の典型的なタイプなんですよ。だから、どうやったらついてきてもらえるか考えたことで、役者として自分の中に一本の芯ができて、新しい感覚が生まれました。今まではそれぞれ個人で努力すればいい、という気持ちもあったのですが、座長になることで、自分だけが目立ってはいけないということに気づいたんです。

私は、元々アイドルが大好きなんですね。生駒里奈さんが、乃木坂46時代に「真ん中に立つ人は周りを輝かせることができる人」と語っていたのですが、その意味が分かりました。だから私も、自分が真ん中に立つことでみんなが良く見えるようにしたいと、気持ちを新たにしました。

――今回、みんなに主演にしてもらったという実感はありますか?

日々、支えられているなと思うことがありました。私は稽古に入って集中すると食べ物を取るの忘れたりするのですが、みんなが私の食事管理してくれていました(笑)。2月の時から一緒にやってきたので、お互いの癖も分かってきて。7人組のアイドルを演じるのですが、このメンバーで本当によかったと思いました。

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――劇団結成から3年経ちましたが、今、振り返ってどうですか?

この3年で、夢に見ていた『薄桜鬼』に出演させていただいたり、主演作をいただけるなんて思ってもいませんでした。劇団の中でもメインキャストを取れるとも思っていなかったし、むしろ3年も続かないかなと思っていたんです。未だに自信はまだまだです。芝居を磨かなくてはと毎日思っています。でも、「求められる存在」になりたいです。いつどんなチャンスをいただいてもいいように常に準備しないといけないと思ってます。

芝居も作品もキャラクターも全て好きだからやっている。好きだから上達してもっといいものを提供したいという気持ちに変わるので、努力を努力と思わないようになるんです。好きなことって辛いと思わないじゃないですか。それが、私の根底にあるんだなと思います。だから、義務と感じないようにしないといけないなと思ってます。好きという気持ちを大事にしていきたいです。

――今後の女優としての目標は?

私にとって、日本青年館が聖地なんですね。『薄桜鬼』の舞台も日本青年館で行ったのですが。あそこを私の力で埋められるくらい、魅力的な女優として成長していきたいです。そして、アニメや漫画が大好きなので、声で仕事をすることにもいずれ挑戦してみたいと思っています。

公演紹介

舞台『ゾンビランドサガ Stage de ドーン!』
2020年9月5日(土)・6日(日) 草月ホール

【原作】「ゾンビランドサガ」
【演出・脚本】村井雄(KPR/開幕ペナントレース)
【音楽】高梨康治、Funta7

【出演】
源さくら:本西彩希帆
二階堂サキ:鈴木友梨耶
水野愛:松岡里英
紺野純:北原侑奈
ゆうぎり:坂本澪香
星川 リリィ:高梨莉
山田たえ:森田亜沙美
巽幸太郎:瀬戸祐介
デスおじA:足立信彦
デスおじB:田中彪
アンサンブル:平本くるみ

【会場でドーン!公演】
一般席 特典付:6,800円(税込/全席指定)
来場者特典:舞台限定「描きおろしアニメ版ポスター」(B2サイズ)
当日引換券発売(先着)
発売期間:9月2日(水)12:00~各公演前日22:00
受付URL:https://l-tike.com/play/zombieland-saga/
※予定枚数に達し次第終了

【おうちでドーン!公演】
公演のみ:2,800円(税込)
特典:舞台限定描きおろし集合アニメ原画PC用壁紙

公演+アフターイベント:3,400円(税込)
特典:舞台限定描きおろしキャラ別アニメ原画PC用壁紙
※公演ごとに特典のキャラクターが異なる(全4種)
9月5日(土)14:00 源さくら、二階堂サキ
9月5日(土)19:00 水野愛、紺野純子
9月6日(日)11:30 ゆうぎり、星川リリィ
9月6日(日)15:30 山田たえ
配信サイト:テレビ東京「あにてれ」(https://ch.ani.tv/
受付URL:https://campaign.ani.tv/zombielandsaga-stage/

(取材・文・撮影/オフィシャル提供、編集/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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