東京公演ついに開幕!劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』

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大阪・博多公演が終了し、いよいよ東京公演を残すのみとなった、劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』。「オールスター」&「まつり」という冠にふさわしいハイパーな世界に、先の二都市では絶賛の声が上がっている。

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今回は前回のコラムにある通り、劇団の人気キャラ・石川五右衛門(古田新太)と剣轟天(橋本じゅん)がW主演という、新感線ファンには夢のような企画。侠気にあふれる大盗賊と、欲望の権化のような格闘家が時空を超えて出会い、巨大な悪に立ち向かう…という大変予想通りの内容だけど、ストーリー展開の意外性と、一つ一つのシーンに込められたパワーは、完全にこちらの予想を上回っていた。

インターポールから「石川五右衛門が子孫を残せないようにすること」という依頼を受けた轟天は、エージェントのアンドリュー宝田(賀来賢人)と共に、五右衛門のいる安土桃山時代にタイムスリップする。一方その頃五右衛門は、盗賊仲間の真砂のお竜(松雪泰子)と、風魔忍法の秘術を探している最中だった。ビジュアル系忍者・ばってん不知火(池田成志)らの妨害に遭いながらも、森の中で秘術のアイテムを見つけた五右衛門たちだが、轟天がこれを知らずに自分の物としたために秘術が発動。それによって五右衛門と、その森に潜伏していた悪女マローネ(高田聖子)に思わぬ災難が振りかかる…!!

とにかく剣轟天の11年ぶりの登場ということで、轟天が出ただけで客席からは拍手が! 相変わらず女性の下着を見ると我を忘れ、美女を見るとすぐ恋に落ち、それでも戦わせると不死身の強さを発揮する。一方の五右衛門も、タイトルロールに登場しただけで意味なく「うぉお!」ってなってしまうほど、ロックスターのように圧倒的な存在感! さすがに歩く危険物のような轟天に対しては、最初はやや押され気味だったけど、後半になるとどんどんその本領を発揮していく。

この二人以外の主要役者も、今回は全員が過去に扮した人気キャラクターで登場。とはいえただのサービスではなく、それぞれのキャラの特性を生かした役割をキッチリ振られているので、過去作品を知らなくても何ら差し障りはない。その中で、数少ない本作オリジナルのキャラを演じたのが賀来賢人。新感線初参加とは思えないほどの堂々たる立ち振る舞いで、時にセクシーに、時に二枚目イメージを損ないかねない思い切った演技を披露。超個性的なキャラ群に決して引けをとらない、もう一人の轟天の相棒役を立派につとめ上げていた。

ストーリー的には、作者の中島かずきが「轟天の部分はいのうえ(ひでのり/演出)君にだいぶネタを書き足された」と言う通り、中島らしい一本筋の通った痛快アクションに、いのうえならではの外道なギャグやパロディがどんどん乗っかるという感じ。これが最初は水と油に思えるけど、実はその積み重ねこそが舞台のボルテージを上げていく。ギャグがストーリーを、ストーリーがパロディを盛り立て合い、最後の最後まで驚きと「やったぜ!」な爽快感の連続。まさに“五右衛門&轟天”だからこそ可能な、痛快ギャグ音楽活劇となっていた。

『五右衛門vs轟天』

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脚本・演出・役者が三位一体となって、自分たちにしかできないエンターテインメントを追い求めてきた新感線の面白ポイントをこれでもかと盛り込んだ、ある意味「The Best of 新感線」とも言える舞台。ファンが満足できるのはもちろん、新感線を見たことない人も、その多面的な魅力に一気に触れられるいい機会となるだろう。
東京公演は7/29(水)~9/3(木)に赤坂ACTシアターにて。前日予約&当日券の販売についてはGVG公式サイトにてご確認を。

撮影:相澤心也

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この記事を書いた人

大阪を拠点に、面白い芝居を求めて全国を飛び回る行動派ライター。webマガジン「Lmaga.jp」の連載コラムや朝日新聞関西版の劇評も担当。

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