2018年8月18日(土)に大阪で開幕する歌劇『明治東亰恋伽~月虹の婚約者(マイネリーベ)~』。本作は、ゲーム「明治東亰恋伽(通称:めいこい)」の舞台化作品第2弾。今回は、明治時代へタイムスリップしてしまった女子高校生の綾月芽衣と、小説家であり、医者でり、官僚でもあるスーパーエリート・森鴎外の“恋”物語が描かれる。
森鴎外役を演じるのは、前作に続き荒木宏文。「めいげき(歌劇『明治東亰恋伽』の通称)」の鴎外として、役と向き合った姿を追った。
――「めいげき」(歌劇『明治東亰恋伽』)、待望の2作目ですね。まず、上演が決まった時のお気持ちを教えてください。
2作目は、1作目あっての2作目ですから、ありがたいなと。でも、最初は「ありがたい」という感情よりも、「バトン渡されたんだ」というプレッシャーの方が大きかったです(笑)。より良いもの作らないとだめだよなって。それは、僕自身としても思いましたし、何より環境の変化から感じました。
――環境の変化、というのは?
前作よりも、劇場も大きくなりますし、公演数も多い。さらに、地方公演も決まっている。よりすごいものを作ろうという気概が、制作スタッフさんからお話をいただいた段階から感じられたので、僕自身も「いいものを作らなきゃ」っていう責任感を感じたんだと思います。
――今回、出演者の方も増えて、座組みとしてもスケールアップされていますね。
前回共演をしていた子たちはもちろん、新しく(綾月)芽衣役として加わった鈴木桃子さんと泉鏡花役の(北川)尚弥、「めいげき」として新キャラクターとなる横山大観役の(橘)龍丸くん、スケジュールが合わなかったけど声で参加してくれるチャーリー役の(安里)勇哉と、再会と新しい出会いがあったことは本当に嬉しいです。そして、今回アンサンブルの方も加わってくれているんですよ。
前作は、アンサンブルの方はおらず、バックダンサーなどもすべて僕らでやっていたんですよ。それで結構苦労していたんですけど・・・。今回はその部分を、アンサンブルの皆さんが担ってくれているんです。ダンスはよりハードに。ダンス以外の表現も、汗をかきながら、大変な思いをしながら。それを感じると、皆の気合いも感じるし、がんばろうと背中を押してもらえる。何より、こんな素敵な環境の真ん中に立たせてもらえることは、本当にありがたいことだなと思うようになりました。
――森鴎外が作品の中心となることで、でキャラクターへの向き合い方に変化はありましたか?
そこは、僕の中で一番悩んだ部分でした。浪川(大輔)さんが声を当てられている「めいこい」の鴎外が、すごく人気のあるキャラクターだったので、よりゲームの鴎外らしさを重視しようと悩んだり考えたりする部分もありましたが、「めいげきの鴎外としてやってください、それが見たいです」という声をいただいて、皆さんに受け入れてもらえたのを感じたんです。
初演で「めいげき」としての鴎外が成立したからこそ、ポジションが変わるからこそ、「めいげき」としての鴎外の雰囲気をどう残すのか。そこに、また新しいものを観ていただけるんじゃないかなと思っています。
――演出の吉谷光太郎さんとも、たくさんディスカッションをされたとうかがいました。
すごく悩んだんですよ。最近やっと、一つ答えがクリアになったような気がしています。
――どういった部分で悩まれていたのですか?
鴎外が“恋をしている”部分の描き方です。芽衣と鴎外、二人が「恋に落ちたんじゃないか」と思わせるところを、鴎外発信で作ろうとしていた時はすごく悩みました。
――前作とは違い、“恋”の当事者になることで出てきた変化でしょうか。
最初は、鴎外が「君のことを好きなんだよ」という感情を隠しきれずに、匂わせていく方向で進めようとしていたんですが、僕自身もしっくりこなくて、吉谷さんもしっくりきていなくて・・・。なんか違うという違和感が拭えずに進んでいたんですが、最近やっと、お互い「これは違う」ということに気づいたんです。どのパターンをやっても当てはまらなかったので、改めて冷静に考えてみたら「そもそも根本的な考え方が違っていた」というところにたどり着きました(笑)。
――お二人が「これは違う」と思った点というのは・・・。
「鴎外ルート」として見ることによって、“鴎外の恋”を描こうとしてしまっていたのですが、それは、芽衣という存在に与えられ、気づかされて迎えるクライマックスなんです。鴎外が恋をしている、この方向で考えると、表現によっては鴎外の大人なスタンスが崩れてしまう。純粋無垢な高校生の女の子が、今までとはまったく違う環境の中で、与えられる愛情に感謝をしながら返していく、その姿がまた、周囲のキャラクターたちの心を動かしていく、というのがこの物語だと思うので。
芽衣自身が、自分が一生懸命恋をしていることに気づくことよりも、鴎外が恋をしていることを先に考えてしまうと、まったく意味が変わってきてしまいます。それに気づいて、「順番が違ったね」というところに立ち戻りました。
――なるほど、それは生身の人間が舞台で演じるからこそ、見えてくる人間性や恋の本質かもしれませんね。
そうだと思います。そして、舞台の物語もゲームと同じように芽衣から始まるんですよね。それを受け取る側の気持ちの変化で「春草ルート」「鴎外ルート」と、それぞれの物語が動き出すので。前作は春草、今回は鴎外が主軸のように見えますが、実際は芽衣という、女の子プレイヤーの気持ちを大切にした作品なんだと思います。
――芽衣という女の子の存在も、恋する相手が変わることで多角的に見えてきますね。
その存在を提示する上でも、2作目には大きな意味があるのかなと。プレイヤーが変われば、芽衣という存在のあり方も変わりますよね。一つのルートをクリアし、次にどうやってみようと違う選択を自ら選んで進めることで、芽衣自体にも多種多様な側面が見えてくるんだと思います。そこに、理想の女性像が見えてくるんじゃないのかな。
――鴎外ならではの物語で、見えてくるものも多くありそうです。
鴎外が一番好きな方は、鴎外の物語をずっと見れることは楽しみだと思うし、ルート選択時に鴎外を選ばなかった方には、こういうエピソードがあるんだと知ってもらえると思います。どちらにしろ、芽衣の目線で観てほしいですね。
――この作品は、歌劇であり、前作でも印象的な楽曲がたくさん歌われました。今回はいかがでしょう?
今回も、期待していてください。特に、この作品のテーマソングは、「始まった!」と思うし、「終わった!」とも感じられて、この作品を提示する上ですごく分かりやすい楽曲になんじゃないかな。歌の世界観も舞台セットも、すごく幻想的でキャラクターを際立たせてくれます。
――演出面でも変化はありますか?
すごく、見せ方にこだわっていると思います。劇場のサイズが大きくなることによって通用しなくなったこともありますが、「めいげき」らしさはさらにレベルアップしているかなと。それから、アンサンブルの方々が本当にがんばってくださっているので。楽しんでいただけたらと思います。
――先日、荒木さんから座組みの皆さんへ「めいげき」ユニフォームのプレゼントをされたと聞きました。
スタッフさんやアンサンブルさんの人数が確定しない段階から作らないと間に合わなかったので、全員分ではないんですが・・・。
――どんなきっかけで、プレゼントされようと思ったんですか?
前作の時に、稽古着に悩む瞬間があったんですよ。衣裳を汚さないように、上から羽織ったりできるものがあったらいいなと。で、最初は大きなよだれかけを作ろうと思ったんです。でも、それだと型から作らないといけなくて、作ったところで公演期間中には出来上がらない(笑)。じゃあ、前開きのものならいいかなと、ベースボールシャツにしようと思いました。甲子園が100回記念を迎える年の公演なので、ちょうどいいかなと。
結構手間がかかって納期がずれこんでしまって、皆に渡せたのは稽古中盤ぐらいになってしまったんですけど・・・。ちょうど、疲れが出てくる頃だったので、より喜んでくれて、結果的には良かったのかなと思っています。
――素敵な座長の心遣いで、団結力も増しますね。
いやいや・・・。でも、皆が喜んでくれたことが、作品を作る上で少しでも力になっていたらと思いますね。
――最後に、公演を楽しみにしているお客様へ、メッセージをお願いします。
僕、今の社会では恋愛にどっぷりのめり込むこと自体が少なくなってきている気がしていて。周りが見えなくなるぐらい没頭する恋愛をしていたら、社会で生きていけないと冷静に見ている人たちが多くなっているんじゃないかな。この作品は、ラブロマンスと呼ばれるジャンルの、ピュアな王道ラブストーリーですから、実際にはできないような恋愛かもしれません。だからこそ、憧れてもらえるような“恋”になっていると思いますので、作品を通じてキュンキュンしてもらえたらなと思います。
◆公演情報
歌劇『明治東亰恋伽~月虹の婚約者~』
【大阪公演】8月18日(土)・8月19日(日) 森ノ宮ピロティホール
【東京公演】8月25日(土)~9月2日(日) シアター1010
【原作】MAGES.「明治東亰恋伽」
【脚本】桜木さやか
【演出】吉谷光太郎
【音楽】tak
【振付】MAMORU
【出演】
森鴎外:荒木宏文
綾月芽衣:鈴木桃子
菱田春草:橋本祥平
川上音二郎:遊馬晃祐
泉鏡花:北川尚弥
藤田五郎:吉岡佑
小泉八雲:汐崎アイル
横山大観:橘龍丸
チャーリー:安里勇哉(声の出演)
アンサンブル:栗原沙也加、太田有美、下村彩、熊田愛里、佐藤優次、新開理雄
【公式サイト】http://kageki-meikoi.com/
【公式Twitter】@KagekiMeikoi
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(C)歌劇「明治東亰恋伽」製作委員会