尚 月地原作の大人気漫画『艶漢』(「ウィングス」連載中/株式会社 新書館)を舞台化した浪漫活劇譚『艶漢』の世界観をそのままに、歌謡エンターテイメントショーという新たなジャンルを確立した歌謡俱楽部『艶漢』。その第二幕が2018年4月11日(水)より東京キネマ俱楽部にて上演される。
エログロナンセンスな浪漫活劇譚『艶漢』に対して、歌謡俱楽部『艶漢』は芝居パートに加えジャグリングなど本物のパフォーマーも参加し個性豊かなオリジナル楽曲を歌い踊るなど、原作の世界観を新たな角度から表現した歌謡ショーが大きな話題を呼んだ。吉原詩郎役の櫻井圭登、山田光路郎役の末原拓馬(おぼんろ)、吉原安里役の三上 俊に、第二幕への意気込みや見どころ、さらには過酷なダイエットエピソードまでたっぷりと語ってもらった。
――歌謡倶楽部『艶漢』第一幕の上演が2016年8月。あれから約1年8ヵ月の時を経ての上演となりますが、最初に第二幕の開催を聞いた時はどう思われましたか?
櫻井:「あぁ、また帰ってこれるんだ」と思いました。第一幕でお客様と一緒に体験できた世界観を、さらにパワーアップしてお届けできたらなと思っています。
三上:今回の会場である東京キネマ倶楽部は、もともとキャバレーだった場所なので、空間の雰囲気も相まって新しいエンターテイメントが生まれるのではないかとワクワクしています。
――見どころの一つに衣裳もありますね。
三上:前回はタキシードや学生服などもありましたけど、今回も様々な衣装を着ることになるでしょうね。どんな衣装を着るのか、どんな構成なのかは、幕が開くまで詳細が分かりませんが・・・とはいえ、詩郎と安里は脱いでいる状態が多いことは変わらないでしょうね(笑)。
櫻井:今、脱いでる状態ってサラッと言いましたけど、『艶漢』をよく知らない人がこの部分だけ読んだら誤解されそうな発言ですね(笑)。
三上:ふふふ、楽しみにしていてください。
末原:俊くん、既にダイエット完了してますからね(※インタビューは稽古前に行われました)。
三上:いや、目標まであと1キロ。でもこの1キロがなかなか落ちないんだな。
櫻井:もう落とす部分ないですよね?
三上:そういう圭登はどうなの?心なしか“ふっくら”しているような・・・(※インタビューは稽古前に行われました)。
櫻井:追い込みます。でも、ラーメンが大好きだし主食のようなものなので、誘惑に負けて食べちゃうかも・・・。
末原:そんな高カロリー食を食べるなんて!俊くんを見習え。
三上:僕の主食はホウレンソウですからね。でも今年の冬は葉物野菜が高くて困りました。食べるものがなくなっちゃう。
末原:『艶漢』に出るようになって、皆、食べ物に関して相当詳しくなったよね。コンビニに入ると「これはダメだ。350キロカロリーもある」みたいな会話をしてたし。
櫻井:350キロカロリーが多いって、普通に考えたら「え?」ってなりますよね。
三上:僕たちの身体作りは、普通の人のダイエットとは違うからね。基本、食べていいものはないと思うぐらい。食べたら太るんだよ。葉っぱだって食べたら太るんだよ(笑)。僕は、それは声を大にして言いたいですね!
末原:「糖質ダイエット?甘えたこと言ってるんじゃないよ!」って感じだよね。
櫻井:過酷!でも『艶漢』の世界観を守るためにがんばります!
――さっそくダイエットの話が盛り上がりましたが、今回の歌謡倶楽部はどのように盛り上がりそうですか?
末原:今回も観客参加型ということなので、前回同様にお祭りのような感じになるんじゃないかな。キャストたちがお客様のすぐ横を通っていくような、より近くに『艶漢』を感じていただけるものになると思います。時にはお客様とコミュニケーションをとる演出もあるので、台詞を覚えるようなものではなく、役作りとしてより“本物”にならないといけないと実感しましたね。台本にはない突発的なことが起こっても山田光路郎としてリアクションを返せるようじゃないといけない。
歌謡倶楽部の見どころは会場に一歩足を踏み入れた途端、別世界に入り込んだような感覚に陥ることだと思います。それを提供して行くのが、僕らに出来る最高のエンターテイメントなのかなって思いますね。
櫻井:今の(末原)拓馬さんのお話を聞いて、僕もお客様への返しは吉原詩郎であらなければならないとか、もちろん分かってはいましたけど“より本物に”っていう部分では、もっともっと深く掘り下げなければならないなって気持ちが引き締まりました。本当に会場全体を『艶漢』の世界に出来ないと、歌謡倶楽部は成立しないと思うので、そういう意味でも新たなアプローチの引き出しを増やさないといけないですね。
末原:でもね、俺が演じる山田光路郎は朴訥(ぼくとつ)なキャラだったこともあって、最初に「登場人物が歌う」というのがピントこなかったんだよね。実際にやってみたら肌感覚で分かったけど、それこそタモリさんがよく言っていた「ミュージカルで突然歌うって、何で?」みたいな疑問が、当初はありました。
三上:そうだったんだ。僕は、人間だったら感情が高ぶった時に歌ったり踊ったりするのはごく自然なことだと思っているから、そこに疑問を感じることはなかったな。
櫻井:僕も、櫻井圭登としてではなく、吉原詩郎としてだから歌えるっていうのがあります。だからこそステージに立っている最中は、ちゃんと詩郎として観てもらえるように、その説得力は持たせるパフォーマンスをしないといけない。しぐさや視線なども意識しますし。
例えば傘を持って踊るシーンも「詩郎だったらどうやって傘を開いて、どうやってターンするのか」を何度も稽古をして、演出の伊勢さんにも相談しながら一緒に作り上げていきました。たまに見せるかわいさもポイントだし・・・とにかく「自分にしか作れない詩郎」を、もっともっと突き詰めていきたいです。
――プライベートで「今の自分、役っぽいな」と思うことはありますか?
櫻井:最近気がついたのは、コップの持ち方。気がつくと、そっと指を添えるような柔らかい持ち方になっているんです(笑)。あと普段でも肩を下げるのがクセになっていますね。
末原:光路郎は面倒見がいい役なので、稽古中や本番期間は自然と人との接し方が変わってくるところかな。いつもは猫背なのに胸を張るような姿勢になっていたり、「よし、光路郎になるぞ!」っていう時は姿勢を正すとスッと気持ちが入ります。
三上:僕の安里っぽい部分は、公演期間中になると人との距離感が分からなくなることですね。
末原:ソファーに座っていると俺にくっついてくるし、隙あらばチューされそうになるし、接触がめちゃめちゃ多くなるもんね(笑)。
三上:あはは!チューは別として、脂肪がないと寒いから、常に人の体温を求めている感じだね(笑)。あとは体力がないから、すぐ疲れちゃう。でもね、ただ痩せるんじゃなく、僕は安里の筋肉を目指しているので「ココは鍛えるけど、ココは鍛えない」みたいな、パーツごとに鍛えるっていうのをやっているんです。今の身体は安里でしかないので、肌を露出する他の役が出来ないのが悩みですね。
櫻井:三上さんの鍛え方ってアスリート的ですよね。
末原:先日行われた大阪のトークショーで、尚(月地)先生が俊くんの筋肉をスケッチして「この筋肉はこうなってるんだ。こう動くのか」ということを研究して、安里の演出に生かしたりしたっていう話を思い出した。本当にストイックすぎて、見ていて涙ぐましいですよ。
――安里を演じていて、楽しいことって何ですか?
三上:何でも楽しいですよ。安里って何をやっても許されるキャラクターじゃないですか。現実世界でやったら怒られるようなことも『艶漢』の世界だと許されるところがあるので、今回の歌謡倶楽部でも、観客の皆さんを巻き込んでめちゃめちゃ楽しみたいですね。それこそ「400人全員、抱いてやる!」くらいの気持ちでいきますよ!
末原:8公演で3,200人抱くのか・・・大変だな(笑)。
一同:(爆笑)!
三上:今回の会場はオールスタンディングなので、『艶漢』の世界に入り込みたい人はフロアで、ちょっと引いて眺めていたい人は椅子のある二階席でと、思い思いに楽しい夜を過ごしてください。
――“歌謡倶楽部”ですから、歌の占める割合が多くなると思いますが、今回は?
櫻井:前回と同じ・・・それ以上になるのでは?前回歌った曲だけでなく、今回は新曲もプラスされるので、それも楽しみです。
三上:前回歌った曲も、今回は違うキャラクターが歌ったりするみたいですよ。
末原:あの時「アイツ大変だな。ゲラゲラゲラ」って笑ってたのに、今回自分が歌うかもしれないんだよね。・・・ヤバイ、ヤバイ(笑)!
――エロティックできらびやかな非日常の世界に触れて、来場されたお客様がどう感じるのか、楽しみですね。
末原:歌謡倶楽部はまだソフト。「怖いよ」「エロイよ」を体験するならば浪漫活劇ですね。歌謡倶楽部はとにかく明るくて、暴力的なほどHAPPYなものを投げつけていきます!
櫻井:“HAPPYなシャワー”を浴びさせます!
三上:“幸せのオーガズム”を感じて帰っていただけたらいいんじゃない?
末原:いちいち言うことがエロいなぁ(笑)。
――ところで、2016年1月の浪漫活劇譚『艶漢』初演から2年以上が経ち、キャストの皆さんの関係性は変わってきましたか?
三上:そうですね。特にここ(三上・末原)の関係性は、だいぶ変わりましたね。最初はちょっと苦手でした。
――それは、今だから言える発言ですね(苦笑)。
末原:いや、直接何度も言われてます(笑)。
三上:拓馬とは、もはや“戦友”ですね。そして圭登は1作目から比べると芝居がめちゃくちゃ上手くなったのと、詩郎への愛がどんどん膨らんでいっているのが素敵だなと思って見ています。
櫻井:僕は三上さんと拓馬さんを「師匠」だと持っているので。ほかの現場では、なかなか出会わない“色”を持つ方たちなので。
三上:(末原を指差し)確かに、この色はそうそういないよね(笑)!
末原:いやいや!俊くんの色だってなかなかいないですよ(笑)!
櫻井:二人ともですよ(苦笑)。そういう意味では本当に貴重な現場というか、いろいろ吸収させていただいてます。僕は人見知りなので、最初は、“壁”を壊すのにちょっと時間がかかってしまったんですけど、浪漫活劇譚の第二夜でだいぶ二人の事を知ることが出来たかな?
――最後に、歌謡倶楽部『艶漢』第二幕を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願い致します。
三上:今回は、本当に新しい試み、挑戦的なステージになると思うので、一緒に盛り上がっていただけたら嬉しいです。さっき拓馬も言ったように、観客参加型のお祭りのようなステージになるので、一緒に歌謡倶楽部『艶漢』を創りましょう!
末原:台本はあっても、実際は来てくださる皆様次第で転び方がどうにでも変わる作品だと思うので、キャストやスタッフはあらゆる準備をして当日に臨みます。来てくれた“アナタ”の人生に影響を及ぼして、ほんの少しでも“何か”が変わるきっかけになるような一日になったらいいですね。そういう場所であるように必死に努力しておりますので、ぜひ遊びに来て下さい。お客様とのキャッチボールを楽しみたいし、純粋にそこにすごく左右される自分でありたいです。
櫻井:『艶漢』という作品を背負う以上、世界観を大事にするのはもちろんですが、それでも“攻めた”舞台にしたいです。歌謡倶楽部『艶漢』に来た方の日常が変わるくらいのインパクトのある作品にしたい。とにかく皆様に楽しんでいただけることが、僕たちは一番の幸せなので、そういう意味でも全力で作品を創り上げていきたいなと思っております。ぜひ一緒に盛り上がりましょう!
◆公演情報
歌謡倶楽部『艶漢』第二幕
4月11日(水)~4月15日(日) 東京・東京キネマ倶楽部
【原作】尚 月地『艶漢』(新書館)
【脚本・演出】伊勢直弘
【振付】當間里美
【楽曲制作】大石憲一郎
【出演】
吉原詩郎:櫻井圭登
山田光路郎:末原拓馬
吉原安里:三上 俊
六口:田上真里奈
湯上:狩野和馬
<幻灯署歌謡課>
高崎拓郎、G.K.Masayuki、森田祐吏(以上、KPR/開幕ペナントレース)
<DJ>
なか卯
<日替わりゲスト>
橘伸三:林野健志(11日) 早乙女水彦:堀越涼(12日) 佐倉春澄:村田恒(13日)
山田アグリ:小槙まこ(14日) 若林剣一:野田裕貴(15日)
<ダンサー>
生田麗恵 亀岡菜花 久保田真理 林 祐衣
【公式HP】https://www.clie.asia/adekan_show/
(C)尚月地/新書館
(C)2018 尚 月地・新書館/幻灯署活劇支部
【第1弾のDMM配信はこちら】歌謡倶楽部『艶漢』
【浪漫活劇譚第1弾のDMM配信はこちら】浪漫活劇譚『艶漢』
【浪漫活劇譚第2弾のDMM配信はこちら】浪漫活劇譚『艶漢』第二夜
(撮影/近藤明子)